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5ネキ お約束のゴブリンがどこにも居ない

  さて。  


  おはやうございます。 良い朝っすね。 


  昨日は歩き詰めて夜中になったんで、適当な木に背もたれて寝ることにしました。


  うーん、Tシャツジーパンの薄着なんだけど全然寒くないんだよなぁ……

 寝ようとしたらまぁ寝れた。とかそんな感じ。

 スヤスヤリン。


  まぁ、もう遠く向うにうっすら森が無くなってるの見えたし、ちょうどいいやってのもあったんだけどね。

  んでちょっと話戻るけど、この服謎素材なんだよな。

  普通落ちてるときに破けてすっぽんぽんで墜落とか、見ると面白い話なんだろうけど、それが自分の場合は笑えねぇ。 



  まぁそこら辺はさすがに神様が丈夫な服でもくれたんだろ。 

 で、思うのが、パンツもしっかり女性用のなのになんでブラもセットになってないんすかぇ……普通、いや普通かどうかわからんやがセットで付かね?

  シャツをズボンに入れるの嫌い派なんすよ俺。立派なお山二つのお陰で下から風来るとスース―するんすよ。風通しすごーい!

  寒かねーけどさ。


  それは置いといて、この世界の標準服とかやっぱり欲しいよね。 

  この格好なんて私は転生者ないし転移者ですよ!! って叫んで回ってるようなもんだしな。クソTが標準だったらそうでも無いけど。


  神様の言ってることから推測するにこの世界に俺だけってことは無いだろうし、実際こうなってみるまでおとぎ話とかフィクションとかの話だとおもってたしなぁ……


  でもさすがにトラックで死ぬ奴なんて居るかぁ? 0ではないと思うけどなそんな居ないよなぁ。 ま、いいやそれは。


  後神様は話通しやすい(説明しやすい)オタクとかそういう系の選ぶ傾向があると思う。

  じゃなきゃ俺なんか選ばんでしょ。 たぶん。




  そいで昨日歩きながらちょいちょい大き目の岩とか見つけてーのぼでースペックのおチェックとかしてたり。

  とりあえずこの体。力が超強い。もー強いなんてもんじゃない。 


  普通(人間感覚)で持って握ることもできるけど、力入れるとめっさ力入れることができる。無限? 怖ッ。


  木の幹に手を当ててそのまま握って毟り取ったり、おんなじこと岩にやったらまんま同じことできたり。

  岩を毟るとかこれもうわけわかんねぇな。 


  後一度やってみたかったのが、生えてる木を引っこ抜いてぶん回して構えるっていうアレ。 


  誰も見てないのをいいことに調子乗ってポーズまで決めた後、急に恥ずかしくなって真顔で抜いた木を埋め直すまでした。

  戻す必要はなかったかもしれないがどうしても戻したい衝動に襲われたんよ……

  そんな昨日のことを思い出しつつ、森の切れ目が近くに見えてきたぜー。



  ……うーん、岩場?  


  緑生い茂った森とは一変して、今度は辺り一面灰色の岩場である。 


「うん、見た感じ山の(ふもと)まで体感半分って感じかな……にしてもファンタジー定番の最初の魔物はゴブリンか何かだろ。猪ってなんだよ、まぁいいわ。歩くかぁ……」



 そう言いながら岩場を登り始める。

  にしても魔物ここには猪くらいしかいないんですかね。

  などと思いながらすいすいーっと登り切ったら、なんか居た。

 

  フラグをいつの間にか立ててたらしい。


  あ、向うもこっち見た。 俺に気が付いたか。



「グ?」  



 ん〜 何というか蜥蜴。 4足歩行のタイプ。 トカゲ岩ってものをご存知ないだろうか?

  まんまあれが動いてる感じである。 体高1,5メートルってところだろうか。

 恐竜か何かかよ。



  トカゲ岩、間違った岩トカゲ君がのっそりこちらに歩いてくる。


  どうやら獲物認定された。



「グェコッ!!」  


  岩トカゲが叫ぶと、周囲に小さな魔法陣が浮かび上がって、菱形の複数の大小様々な岩が俺めがけて飛来する。  




 えっ。  



  剣と魔法の世界ってあの髭神も言ってたけど、やっぱ魔法あんのこの世界。


  岩が飛んでくることよりそっちの方がびっくりだわ。 


 そんなことを考えてる間に岩が目前まで迫る。それに対し俺は猫背両手ポケットの完全姿勢で迎え撃つ。

 綺麗にぶつかった岩は砕け散り、当りが悪かった岩は割れて逸れていく。  

  いやーー。

  音がね。 ドガドガやらチュインチュインやら鳴るわ鳴るわ。


  わが身だけど金属音ですなホントこれ。

  だってケーキ君より小さい塊だぜ? 避けるほうが面倒だわ。

  ……ハッ!?  シャツは無事か!? 穴あいてない!?



  急ぎ自身の服を確認する。 


  ほっ。 良かった。 謎素材のおかげで全然傷ついてない。  

  あー焦ったわ。UNI(Q)LO製はすげえな。

  一張羅なくして葉っぱで腰蓑(こしみの)作るとかさすがに嫌やぞ。




「グゥエ?」 



  獲物が放った魔法で倒れていないのが不思議なのか、小首を傾げる岩トカゲ。

 さして気にならなかったらしくそのままこちらにのっそりのっそり歩いてくる。



  此奴、俺が動かないんじゃなく魔法ですでに動けないとでも思ってるんだろうか、余裕でこっち向かってくるぞ。


  とりあえず俺の方もポケットから手を抜きつつ、どう奴が動くか観察することに。 


  そして俺の眼前にまで近寄って、その大きな口で俺を一息にのみ込もうと大口を開け――――



「うっ!? 臭っさぁ! なまぐっさ! 普段何食ってんだお前ぇ!」





「ゲ?」

 とっさに上顎と下顎に手を伸ばす。そしてそのまま力任せに口を閉じさせ、勢いのままに地面に叩きつける。



「!!?」


「そのまま噛めばいいのに臭っせぇ息かけてんじゃ、ねえ  よっ!」



「グェぶっ……」


 叩きつけからの間髪容れず振りかぶっての振り下ろし拳骨である。


  ゴシャリと嫌な音を出し、拳骨がめり込み頭をたたき割られ(潰されに近いが)岩トカゲはあっさりと絶命した。



  いやーーーうん。今のは無理。我慢できなかった。

  噛まれてダメージがあるのかも確認したかったんだけどあまりにも臭過ぎた。

 アレだ。硫化水素の臭いがする。 

  平たく言うと卵の腐った臭いだ。 

  すごく臭い。 思わずぶん殴るほどだ。



「あーーーー臭かった……今度からわざと噛まれるとかバカなことは止めよう」


  ……シャツに臭い移ってないよな?

 スンスン……OKOK。大丈夫。セーフセーフ。 


  この世界来て自身の体より着てる服の心配してる方が多い気がするわよ?

  早く一張羅脱却したいね。



  さて、服の安全も確認できたことだし、勢い余って殺ってしまったトカゲ君。どーすっかね、コレ。


  まぁ、やることは半ば解ってはいるんだが。


 ()()()()()()()()()()()


  解体とかしたことないんですけど異世界初の解体タイムと洒落込みますかね。


  ところで。

  私はナイフを持っていません。 そんな便利な物都合よく持っていません。


 だから、私 は こ う し ま す 。あ、そーれ!!



  両手で掴みバキバキへし割る簡単な作業ですね。 ゴリ押し極まれりですわ。

 うーん自分の高トルクがすごい。自画自賛だね。



  とりあえず今割った外殻ひとかじり。


  むーしゃむーしゃ……ゴクン。



  例えるならライ麦ビスケットっすな。 悪くない。

 全部ひっぺがすかとりあえず。



  ―――――

  ちーん。


  はい、皮っつーか外殻全部剥されたなんかかわいそうなトカゲ君一丁あがり!!(頭無し


  剥したやつはとりあえず横に積んでる。


  さ、ここからが本題。 ファンタジー魔物の定番。魔石はあるのか否か。 

  ケーキ君はどっか転がっていっちゃったからね。

  追うものめんどくさかったししょうがない。

  さっきも言ったがナイフは持ってない。 

  だが大丈夫。私にいい考えがある。 


  つまり。こう!!




  バリバリーと、AなんとかTフィールドに指突っ込んでかっ開く某人型汎用決戦兵器よろしく指を腹に差し込み、勢いで引裂く。


  ね? 簡単でしょ?

  完全力任せのごり押しだが、大丈夫。中に誰も居ませんよー。



  内臓など傷つけたら返り血でシャツが汚れそうなので配慮しながらの切(?)開ではあるが。


  袖をまくりだいたい心臓だろうという所に手を突っ込む。 

  うわぁ……ぬちゃっとして温かくて気持ち悪いナリィ……


  ぬちゃりぬちゃりとまさぐってみることしばらく。

 手に硬いものが当たる感触がした。


「……ビンゴ!」


  すぐさま掴み抜き取り確認をする。 

  手には直径10センチほどの灰色の玉が掴み取れていた。


「よっしゃ、やっぱあったか! 魔石」


  嬉しさを表す小躍りをしつつさっそくいただくことにする。  


  汚れた手?

  よく時代劇とかで見る剣豪が刀振って地面にビシャッ! って汁切る動作見よう見まねでやってみたらなんかできた。

  今度手刀なんかも試してみよう。



  そのまま齧っても良いけど僕はお上品なので手で割ってから食べ申した。


  見た目どおりかは分からんけど飴ちゃんだね。コレ。

  飴噛んで食べてる感じ。 甘くておいしい。


  なに味かって言われたら甘さ控えめの砂糖味って感じ。


  とかなんとか食レポしてる間に全部食ってもうた。


  ………。


  また見つけたら速攻拳骨かまして狩ろ。


 食材君第2号の誕生である。




  さて、割と大量にあるビスケット(仮)をどうやって運ぶか悩んでるうちに何かが近づいてきてるらしかった。 


  ふと、今度はどんな飯かと思って振り向いてみるとそこには身長3mほどのオレンジがかった色をした全身が岩の人型が立っている。


  後、喋った。



「……カみ、さマ?」


挿絵(By みてみん)


「はい?」


  え、違いますけど。

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