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ハガネキ 〜彼女はメタルでハガネのやべー奴〜  作者: 爆散芋
2章 冷やし中k……新人冒険者始めました
48/202

47ネキ 三馬鹿、やらかす

 前回のあらすじ



 俺! 参上!



 ―――――



 すげー偶然だったが持ち前のウェイトコントロールで何とか着地! (世間様では激突)

 何とか間に合って良かったぜ。


 運ばれてる最中にとにかく目立ってくれってコーイチに頼まれてたからね。

 どうせならとことんカッコつけしいしておきましょか。


 某新造人間の冒頭ナレ拝借して今適当に考えた決め台詞も言っちゃおうねー。

 どうせ言う機会なんて無いし。



 タマが煌々と輝くハンマーを担いだまま、先程と同じ声量で宣言。


「生まれ変わった鋼の身体。魔物の群れを叩いて砕く。俺がやらねば誰がやる。 俺の大切な(昼寝)場所を奪おうたァ、覚悟はできてんだろなぁ! 全部纏めてかかってきやがれ。残さず場外行きじゃい!」


 柄にくっ付けた鎖を目ビームでスパッと切り落とし、ハンマーをオーガーの群れに掲げてアピール。


 鬼達が挑発と受け取ったかどうかは解らないが、タマの啖呵の後、少しばかりの静寂から一転。


 魔物の群れたちが一斉に吠え、タマを叩き潰さんと殺到する。


 さぁ、マイクチェックの時間だオラァ!

 楽しいパーティーといこうぜぇッ!


 ……それにしてもこのハンマー眩しっ!?(台無し)



 ――――冒険者陣営壁上――――


「所長……今向こうに落ちてきたのって、タマさんですよね?」


「あはは……間に合ったみたいだね、へクマの増援は。……それにしても今の台詞といい、なんて格好いい登場してくれるんだタマ君は……オジサンも噂のファンクラブに入りたくなったよ」


「英雄みたい……」


「あ、やっぱフランちゃんもうそう思う?」


「所長。増援が間に合いましたようなので此方はいかがなさいましょうか? 所長の言うことが真実なら彼女はS相当だと聞いていますが」


「はっや!? もう下から戻ってきたの?」


「下の冒険者たちには巻き込まれるので死にたいなら戦闘に参加してください。私たちの仕事は討ち漏らしの対処です。

 と、釘を刺してきましたので、迂闊には前に出ないかと」


「うーんいつもながら有能過ぎね。オジサン怖い、まー叫ぶ手間が省けてラッキー。この際だからバレるだろうけど、彼女は星の落とし子だよ。 でも今の(くだ)りみるとあのキラキラ光る大きなハンマーも相まって流星だよねー。

 落とし子だけに流星とは中々洒落が利いてるねぇ」


「いえ。所長の洒落は微塵も面白くありませんが、彼女が星の落とし子という事実は驚愕です」


「オジサンはノーンちゃんがドライ過ぎてちゅらい……」



 ――――




「な、何だあの女!? 空からクソでかいハンマーと一緒に落ちてきたのにピンピンしてやがる!?」


「おい、もしかしてあの腰まである珍しい黒い髪、そしてあの美貌。もしかして噂のタマさんでは?」


「女神様だァ……輝く救いの女神様が降臨しなすったぁ……」


「あの巨人用のハンマーを軽々と持つとはなんて馬鹿力してんだあの女……」


「嘘だろ!? オーガー共が紙切れのように飛んでやがる……」


「ヤッシー屋のねえちゃんじゃねえかアレ!」


「この間の天井に突き刺さった馬鹿共みたいに彼女に喧嘩売らないで良かったわ……ブルリ」


「オーガー共があんなに……勝てる! これは勝てるぞ!」


「勝ったな……」


「ああ」


「俺風呂ってくるわ」



 ――――



「げぇっ!? あんな物軽々持てるくらい力あったのタマちゃん!?」


「この前お前の腕相撲空中10回転は腹が(よじ)れたな。だがあの腕力が本当だと言うなら納得だ。勝てるはずもない」


「くっそ! ならば最終手段だ! この戦い終わったらジャンピング土下座で腕相撲では勝てないのでもう慈悲で触らせてくださいって頼むぅ!」


「ペドロ……お前ぇ……」



 ーーーー


「「「流石俺らの姐さんだァ! なんて痺れる登場なんだ!」」」


「コーナ、オーガーなんて相手にしてる場合じゃねえ! 街に戻って住民やチビたち集めてきやがれ!」


「勿論だぜクソーザ、お前は商店街だ!」


「任しとけ!」


「じゃあ俺は呼んできた奴ら壁上まで案内してやらぁな!」


「「任せたぞ! メクジー!」」


 そして三馬鹿たちは異常とも言えるチームワークの良さで各個散開していく。


 これが後に伝説の発端になることを、タマも元凶の三馬鹿ですらまだ知らない。


 ――そして、乱闘開始から大体10分後――



「ちわーす」


 壁上で様子を見ているサクルたちのところにコーイチが音もなく降りてきた。


「お、コーイチ君も来たか。もう始まってるよ〜。あ、地味に戦闘服着てるんだね。その謎のやたら長いのに(なび)いてるマフラー本当に格好いいから普段からそれ着とけばいいのに」


「いや、仕事上目立っちゃ駄目でしょうに……ま、タマさんのお陰で今なら何やっても誤魔化せそうですからね。それじゃぁ俺も仕事してくるっすよ、タマさんのサポートですが」


「はーい。いってらっしゃい」


 そしてコーイチは何か唱えたかと思うと、足元から伸びてくる影に全身を包まれ、影の塊と化してタマの下へ飛んでいってしまった。


「所長、今の黒ずくめの御方がコーイチさんですか?」


「そうだよノーンちゃん。ああ、実際に見るのは初めてか。どう? 何処にでもいそうな顔してるけど彼も星の落とし子だよ。あ、コーイチ君のことは一般には内緒ね。ばらすと後でへクマに虐められるから。具体的に言うと金銭面で」


「それは非常に困りますので漏らすことは有り得ませんね。……それにしても、目の前に居るのに気配が全く感じ取れませんでした。とても恐ろしい暗殺者だと思います。さすがへクマ様の右腕と申しましょうか」


「最初は冷や汗だらだらだったけど本当に増援が間に合って良かったよ……って、なんで壁上に街の人上がってきてるの?」



「おーう! こっちだ街の奴ら! 此処からならタマの姐さんの活躍バッチリ見えらァな!」


「ガキどもは落ちるんじゃねえぞ! お前たちが落ちたら姐さんが悲しんじまうからな!」


「ジジババ共は俺たちが上までおぶさってやるから自力で上がれない奴は俺たちに声を掛けろ! 姐さんの姿見れないなんて勿体なすぎるらな!」


「おお……街の危機に光り輝く星と共に落ちてきた彼女は実は神の使いだったのか……なんと神々しく輝いているんだ……」


「輝きながら魔物を滅する様はまさに戦いの女神様じゃぁ……ありがたやありがたやぁ……」


「こんなジジババ共に優しくしてくれたタマちゃんは本当に女神様じゃったのかぁ……」


「太陽の女神様じゃぁ……」


「女神様に祈るべさ……」


「うおおおお!? あれ本当にタマねーちゃんか!?」


「す、すげー! かっけー!」


「ねーちゃんは女神さまだったのかー!?」


「とーちゃん! 見て! アレ! タマねーちゃんなんだぜ!」


「悪いオーガーなんてやっつけろー!」


「おい、まさかと思ってきてみりゃ本当にタマの嬢ちゃんだなありゃ……」


「本当だ……あのいつも公園で気持ち良さそうに寝てるタマちゃんじゃないかよ」


「じっさまたちが言う通り本当に神様の使いなんだろうか」


「お、俺さっき街の空に昼間なのにハッキリと流れる星を見たんだ! そしたら彼女の声で確かに「待たせたな」って聞こえたんだ!」


「俺もだ」「俺も」「オラも聞こえただ」


「じゃあ、本当に……?」


 ――――


「……クソーザさんたちが民間人を先導してタマさんのご勇姿を見させているようですが……しかも信仰が発生しかけてます」


「いや、うん。見れば解るよ……クソーザ君たち後でタマ君にしばかれなきゃいいけどね……」


「火を見るより明らかかと。今のうちに彼等の墓でも建てときましょうか?」


「いや死んでないから。まだ。うん。まだ……」




 ――――



 ♪すーぷらった スプラッタ スプラッタ すぷらった うーうー☆



 ……うん、あれ? こんな歌だっけか? どう見ても幼児教養番組にあるまじき歌詞だな。


 ま、いいわ。


 それもそのはず。


 現在大乱闘と言うか、絶賛タマさん無双中である。


 多分表記があったら画面左下の撃墜カウンターガリガリ回ってると思う。


 右に鎚をぶん回しゃあ、オーガーの群れは右に吹き飛び。


 左に鎚をぶん回しゃあ、オーガーの群れは左に吹き飛び。


 縦に振ればオーガー煎餅が、振り上げれば外野フライ。


 さっきまで眩しかったハンマーも血やら何やらでべっちょりである。


 鈍器は良いよね。斬れ味無くても威力落ちないから。あ、そぉい!


「グギャアアアア!?」


 い、よいしょお!


「オゴォ!?」


 ほいさ!


「グビャッ……」


 ヤッ、ハッ、フゥー︎↑!


「オワァァァァ……」



 そしてオーガー共を目視三割程減らした辺りだろうか。とても懐かしい、そして力の溢れるBGMが念話で聴こえてくる。


 此奴! 脳内に直接だと!?


(♪テッテレテテテテてってれててててテッテレテテテテ デンデデデンでんでででん)


 か、身体があの動きを再現してしまう! 駄目だ! 抗えない!(超ノリノリ)


 脚と腕をカクカクと動かしハンマーを真上、真横と完璧な90度の角度で振っては下ろし降っては下ろす。


 勿論機械に巻き込まれる事故の如く次々と撲殺されていくオーガーたち。


 死体を嬉嬉として回収しながらボソリとコーイチは呟く。


「スーパースター取りながら無敵キャンディ食べてるハンマー状態の人初めて見た」



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