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ハガネキ 〜彼女はメタルでハガネのやべー奴〜  作者: 爆散芋
2章 冷やし中k……新人冒険者始めました
47/202

46ネキ 鋼の流星

 前回のあらすじ



 大切なお昼寝スポットを守るため、急げタマ! (主にコーイチが)

 走れタマ! (主にコーイチ)



 ――――――




「うーわうーわ……こりゃー凄い団体様が見えてきましたよっと」


「所長、アレ……緑だけじゃなくて赤とかチラッと混ざってませんか? ……レッド種はBはあったと思います……そして奥に見えるはジャイアント種が1匹、まぁ、リーダーと言ったところですか、……勝てますかね? なんかもう集まった冒険者さんたちは所によりビビり始めてますけども」


「まーマリーちゃんの言うことも分からんではないけどね。勝てるかはわかんないし、何人犠牲が出るかもわかんない。

 でもね、この街に馴染みが無い人たちは避難でてんやわんやだけど、住民の殆どが避難しようとしないんだよ。ははっ、笑っちゃうよね? 「避難しても生活できない。どうせ死ぬならこの街がいい。それにサクルさんとこのギルドなら何とかしてくれる」

 って皆言うんだよ? はーもう。そんなこと言われたら僕は死んでもこの街護らなきゃいけないじゃん? 皆逃げれば僕たちも避難できるのにね」


「……どうせ最初から死んでも護るつもりなのに適当に言う」


「ははっ。フランちゃんはいつも厳しいなぁ」


「所長。臆している冒険者たちには既に一人ずつ丁寧に氷柱で絞めておきました。これで多少なりとも活が入るでしょう」


「えっ!? いつの間に? ……あ。ホントだノーンちゃん今から大変なのに怪我させちゃ駄目でしょ? ……魔力大丈夫?」


「今から決戦が始まるのです。この程度のものは怪我に入りません。魔力も十二分に残っています、刺してきた氷柱に関しては勿論見た目だけなので実際は軽く殴った程度のダメージですので。……全く、冒険者足るもの魔物の数が多い程度で臆するなど、情けなさ過ぎます。最近評価が上がってきている三バ……クソーザさんたちを見習ってほしいものです。今も壁の下で士気を上げるように活動しています」


「え? 何処何処? あ、ああ……本当だね。なんかもうあの3人はタマ君の信徒と化してるよね。どうやってあの話聞かないトリオ手懐けたんだろうねー?」


 ―――――


「野郎共ー! オーガーの一山や二山なんて物の数じゃねえ!」


「遂に弟子入り認めてくれた姐さんにいいところ魅せるチャンスだぜ!」


「魔物相手にビビる冒険者なんざスライム以下の雑魚野郎だ! さっさと荷物まとめて尻尾巻いて帰んな!」


「あ!? 何だと! ふざけんじゃねえよハゲ! てめえらより多く狩ってやるからな、見とけよ!」


「スライム以下なんてほざいたこと後悔させてやっからな!」


「こんな奴らに煽られるほど落ちぶれちゃいないんだよ! お前らが二山なら俺たちは三山だ!」


「俺もタマさんファンクラブに入れてください(ボソッ)」


 ―――――



「いやー、ここまで聴こえてくるよ。彼ら上手く煽ったねぇ」


「きっと、彼らもタマさんの髪の素晴らしさの虜になったんですよ」


「いや、そんな変なのは君だ「あ゛?」いえなんでもございません気のせいでございますほんとすみませんその顔マジで怖いんで勘弁してください」


「分かれば宜しい」(ニッコリ)


「はい。以後気を付けます」

(タマ君……君は魔性の女だよ……)


「所長……そろそろ魔法の射程範囲……」


「あれ?フランちゃんか。ノーンちゃんは何処?」


「ノーンさんは、他の職員全部連れて最前線から魔法ぶっぱなして少しでも数を減らすって言って下におりていきました」


「ホントだー……何だかんだノーンちゃん熱血の節有るよねー」


「所長。またそんな言葉漏らすと……」


「あ。こっち見た。えーと、あの手の動きの意味は……お、ぼ、え、て、ろ。

 ……うーん恐ろしい地獄耳」


「懲りないですね。そろそろ作戦開始の号令掛けたらどうです?」


「そうだねー。へクマの所から増援来る予定だったけどやっぱ間に合わなかったのかな。ま、戦闘中に来てくれるでしょ。それじゃぁ、総員、作戦開s「所長! 感知に長けた職員から緊急連絡です! 街の裏から何か高速で戦場予定地まで飛んできます! 上空を見てください! 光っているアレです!」


「え?」





 職員の報告と同時にクソーザたち3人がいち早く反応し空を指さして叫ぶ。


「おい! 空を見ろ! あの輝くのは何だ!?」


「鳥か!?」


「魔物か!?」


「いや!」



「「「タマの姐さんだ!!!」」」






 ここから時は少し(さかのぼ)って話をしよう。




 ――――




「はぁ……はぁ……も、もう無理っす……少し休ませてください……死んじゃうっす……」


「だらしないぞ青年。せっかくの美女をお姫様抱っこできるっていうラッキーイベントなのに」


 現在の場所は戦場の反対側。街の西の方である。ほぼ街の目の前ではあるのだが、遂にコーイチの体力が尽きて地面に横になって満身創痍のコーイチと、プリプリ怒っているタマである。


「いや……お姫様が100Kgなのはどうかと……それにこの時間で戻ってくるのは……人運びながらじゃあキツいっすぅ……」



「はーもーしょーがねーなー。今にも俺のお気にのベンチが無くなるかもしれないっていう一大事なのに」


「10分くらいこのまま横にさせていただければ、なんとか体力回復するっすけど……」


「その10分が惜しいから代わりに今から言う物を持ってたら出すが宜しい。試しにやってみたいんだよね」


「構わねっすけど……」


「じゃあまず、とても大きい鉄球かハンマーって無い?」


「鉄球は無いすけど売れない大き過ぎるハンマーなら丁度持ってますけど……はいっす」


「あんのかよっ……て! うおっ! 眩しっ!?」



「これ巨人用のハンマーなんすけど、素材に光輝鋼(こうこうこう)っていう素材使ってまして。ただ製作の際配分間違えたみたいで昼でもクソ眩しいっすわ。夜間の灯に本来は使うんですが眩しすぎて売れない商品です。 お値段金貨10枚のセール品でございます」


「他には?」


「普通サイズしか無いですね」


「じゃあコレに決定! 後デカくて丈夫な鎖!」


「麻酔かけた魔物の拘束用アダマント鋼製の鎖なら……」


「あんのかい! じゃあそれで決定! 料金は後払い!」


 事も無げに巨人用ハンマーを豪快に横倒し、おもむろに拘束用の鎖を近づけるタマ。


「ハンマーと鎖で何するんすか?」



「まぁ、見とけって……必殺! 目力ビーム圧着溶接!」


 タマの言葉と同時に目から加減した熱線が放たれ、ハンマーの柄の端部分と鎖が同時に熱せられ、両側から腕力による圧力で素材同士を完全に接合させる。


「おーし。こんなもんか」


「……ハンマーフレイル?」


「まぁ、そんなところだ。じゃあ俺は先に飛んでるから後から走ってこいな?」


「え? 飛んで?」


 そして鎖を掴み、そのまま振り回して駒のように回りながら暴風を発生させ、更に力を込めて遠心力を高めてゆく。


 さながら今のタマは範囲内の物全てを破壊する竜巻駒である。



「え? え? まさか……」






 十二分に遠心力を高めたところで角度と飛ぶ方向を合わせ、先程まで飛ばされないように重くしていた体重を最低数値に戻す。



 すると当然、回しているハンマーに引っ張られて街の向こう側にカッ飛んでいってしまった。


「ヨーソロー!……


 後には破壊痕と破片から避難していた横たわっているコーイチのみが残る。



「マジかー……思い付きでそれやったんすかタマさん……」




 そして時は戻り、街の反対側の戦場上空。




 ――――――




「おーおーおー。適当試した割に飛ぶわ飛ぶわ。風が気持ちいいなコレ! できれば今度は投げた柱に乗りてぇな」




 冒険者軍団と行進するオーガーの群れの間。戦場の中間地点に流星と化したタマは狙いをつけ(体重操作で軌道弄った)─


 格好付けのために、空中でその巨大な光り輝くハンマーを手繰り寄せ、肩に担ぐようにして片膝立ちで地面に着陸(激突)した。



 凄まじい轟音が響き、突如割って現れた謎の物体に冒険者とオーガーの両雄ともその降ってきた物に対して視線を集める。


 土煙が晴れ、ハンマーを担いだ片膝立ちの姿勢からゆっくりと立ち上がり、そして一言。

 街の中にいる人たちにも聴こえるほど大きく。

 されどその声は透き通り、高らかに。


 彼女は言い放つ。





「待たせたな!」

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