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ハガネキ 〜彼女はメタルでハガネのやべー奴〜  作者: 爆散芋
2章 冷やし中k……新人冒険者始めました
37/202

36ネキ 怪しい計画と駄菓子屋(武器屋)

 前回のあらすじ


 強いのは肝臓だけではなかったおじさんズ



 ――――――――





 ―――とある国境付近の洞窟―――



「おう、帰ってきたかツカ」


「はいボス。首輪は割れてましたが無事回収でき、偽装で3匹オーガーを頂きまして森に放っておきました、調査は入るでしょうが氾濫(スタンピード)の予兆としては十分かと」


「ご苦労だったな。クク、よもやダンジョン氾濫(スタンピード)が人為的に起こされるとは思いもしないだろうよ。……森近くのフカシの街だったか? あそこは流通も良い。奪ってダンジョン化するには丁度いい場所だ。オマケに養分(人間)もたくさん居るだろう」


「オーガーの大軍で街を押し潰して、更に勢力拡大して国に戻ってくる算段ですね」


「おうよ。これで俺達を国から追い出したヨシヒコのガキもお終いだ。なーにが星の落し子だ、富なんて他国から奪いゃいいのによ! お縄にされそうになって何とか逃げてきたが、神は俺を見放していなかった!」


「それがダンジョンマスターとかいうアイツですね?」


「おう、確かに俺達に売り込みに来た時最初は何の冗談かと思ったが蓋を開けてみりゃどっこい、本当に何かしらの養分さえあれば何も無い地面からオーガーが湧いてきやがるじゃねえか」


「ダンジョン内であれば道具のように隠せるのも驚きでしたね」


「全くだ。生きるダンジョン核とは恐れ入った」


「何故私たちの所に来たのが不思議ではありますが……」


「不思議だろうがなんだろうが裏切られなきゃいいんだよ。アイツは俺たちを利用してやるって目をしてやがる。隠してるつもりだろうが俺の目は誤魔化せん。こっちも利用してやれば良いだけのことよ」


「お互いの利益ですね?」


「そうだ。アイツは目立ちたくないらしく、俺らを隠れ蓑にするつもりだ。俺たちが奴を(かく)って尚且(なおか)(ないがし)ろにしなきゃまず裏切られることは無い」


「もし裏切ればお前のことを広めるとも言ってますしね」


「あくまでもそれは保険だが、お互いに抑止がないと片方が調子に乗っちまうからな」


「でも何故今この話を?」


「なーに、こうやって話に出して確認して計画に穴がないか確かめるとたまに気づきがあっからな。どうせ此処は俺たち以外居ねぇ」


「なるほど。ところで例の首輪の件ですが割れたことにより、進展がありました」


「ほう?」


「ダンジョンで作った魔物は溢れる以外では外に出れず、コアを模した首輪で命令しなければやつ以外の言うことは聞きませんでした」


「それと割れたのが何の関係があるんだ?」


「はい。ダンジョンから解き放たれた魔物は野生化しますが、簡単な話最低3つのことさえ言うことを聞かせられれば良いのです」


「3つ?」


「出ろ・目標を潰せ・終わったら消えて養分となれ、ですね。この3つの命令だけなら小さな欠片を体内に埋め込んでしまえば半分野生化半分ダンジョン産のオーガーができるわけです。大量に作っても格納できますので非常に多くのオーガーを作れます。まぁ、濫造なだけに作って出した後は命令の変更が出来ないので、遂行して養分になるだけですけど」


「なるほど。首輪で完全にコントロールする必要は無いのか」


「はい。私も砕けた欠片を見て先程試したらドンピシャでしたよ。ついてますね私たち」


「ああ、本当にな。やはりこれはヨシヒコの野郎に復讐の機会をくれた神様に感謝しないとだなぁ」


「無神論者のボスがよく言いますよ。とにかく、算段としましては量産した際にどうやって動かすかが解決しましたので、このまま近隣の獣などを元にしつつ時折人間も殺してオーガーの数を揃えます」


「おう。人はあまりやり過ぎるなよ、絶対にバレちゃいけねえからな。これでもうしばらく我慢すれば山賊もどきみたいな真似ともおさらばよ……」


「その辺は心得てます。では私はこの旨をダンジョンマスター……ロッジに伝えて魔物の増産させてきますね」


「ああ、そういや奴はそんな名前だったな」


「それでは失礼します。クローマク様」


  言葉と同時に部下の男、ツカッパーは下がって何処かに行く。


「おい、返り咲くまではボスと呼べと……相変わらず仕事の早い奴だ。まあ、いいだろう。直にボスと呼ばせるのも終わる」



  ─1人、男は洞窟の奥。不敵に笑い、計画の穴がないか再度思考を巡らせる。




 ―――――――――






 ――――所変わりフカシの街だヨ!――――



  やっほーい、俺だよタマちゃんですよ〜


 今日もいい天気だわ。 こんな日は日向で寝るに限る。ベンチよーし。お日様よーし。開封済みのジュースよーし。

 ささ。寝るべさ寝るべさ。


 そんないつもと同じ感じで寝てたんだけど何か今日は五月蝿(うるさ)かったので目が覚めてしもうた……


 タマが謎の鼻提灯を弾けさせつつ寝惚け眼を擦りながら覚醒すると、目の前にはお久しぶりの3人が居た。


  ……何の用すかね。


「あっ。姐さん目が覚めましたか!」


「今日は土産があるんでさ!」


「きっと俺らの修行が足りないから弟子入りが駄目だってことで、腕を上げて狩ってきた魔物があるんでさ!」



「……で、その土産ってのは?」



「これです! 今着けて差し上げまさぁ!」


  そう言って3人はタマに謎の毛皮を被せ1人が鏡を持ち待機する。


  え? 何被せたの。俺は鏡を覗き込み自身の姿を確認した。


「とっても似合ってますぜ!」


  鏡を見た俺の頭にはリスっぽい皮が被されていた。


「これはデスリスっつー奴の皮でさ! 今の姐さんとても愛らしいですぜ!」



  ……可愛いかぁ? 虚空になっている毛皮のリスの目がなんとも言えない怖さが出てるんだけども……って言うかこれ何かくさい! 獣臭い!そして何かニッチャリしてる! きちんと(なめ)してんのか!?



「お前たち、これくれるために俺起こしたの? そんでこれ臭いんだけど?」


「そうでさ! 狩ってすぐ剥がしてきましたぜ! 早く喜んでもらおうと思いまして!」



  ……うーん有罪(ギルティ)

 お前たちの謎のテンションと臭い皮のコンボで眠気が吹っ飛んだわ。よって判決。

 晒しポッポーの刑にしょす。



「……よーし解った、お前たちちょっと付いてこい。後この皮はちょっと持ってろ」


  俺は良さそうな場所を探し、地面をふんわり柔らか仕上げに踏み(ほぐ)す。


「さて、弟子入りの話だったな」


「「「させてもらえるんで!?」」」


「アホか却下だ却下! 剥いだばっかの皮被せやがって! くっせーんだよ!」


  言葉と同時に一人ずつ掴み、柔らかくした地面に首から上だけを残せるくらいに加減して投げ埋める。


「「「グワーッ!?」」」


 そして近くで遊んでるちびっ子たちの所まで走り、お小遣いを握らせて鳥の餌を買ってこさせた。


「買ってきたぜタマねーちゃん! 後友達も呼んできた!」


「よーしナイスだ。そして追加のお仕事をあげよう。今買ってきた餌をあそこに埋まってるおじさんたちに当てるようにして撒き続けるんだ。撒き終わったら適当に助け呼んできてくれる?」


  俺は増援の子たちにもお小遣いを握らせる。


「わかったよ! あの変なおっさんたちだな!」


  最初に頼んだ子を筆頭に三馬鹿に向かって餌を撒き始める子供たち。そしてすぐさま(ポッポー)たちが三馬鹿たちに群がり、餌を啄む。


「「「グワワーッ!」」」



「……よし。あいつらはこれで良いとして……」


  スンスンと自分の匂いを嗅いで確かめる。うへぇ、ちょっと臭……風呂入るかぁ……


  そんな感じで公園を後にし、風呂でさっぱりしたのは良いがさっきの一連のせいで寝る気が失せた。


  現在特に目的もなく街の散歩をしてるわけだが、ふと武器屋の看板が目に入る。

 ……そういや普通は武器とか使いますもんね。俺みたいに何にでも使える面白盾で済ます奴なんて居ないですしお寿司。


「ちはー」

 

  そう思い、軽く冷やかす程度に暇潰すかぐらいの気持ちで武器屋に入っていく。アレだ、ホームセンターの商品見てるだけで時間って経つよね。色んな便利グッズ見てて実際買いはしないけど時間は潰せるとかそんなん。


「おう。いらっしゃい、何か探してるか?」


  店のおっちゃんが声を掛けてくる。


「んーにゃ、冷やかしに寄っただけだよ。何か入りたくなってね」


「そうか、まぁそこそこの物しか置いてねえがゆっくり見てけよ」


  冷やかしにも良い対応してくれるおっちゃん嫌いじゃないぜー。と思いつつ並べて置いてある武具とは別に、鉄の筒に乱雑に立ててある剣の束に興味が湧く。


  ……アレは、中々良さそうですな((ヨダレ))


「おっちゃん、あの雑に刺してある剣の束は何?」


「ん? アレは出来がイマイチな二級品だよ。それでもいいって物好きが居るんで置いてあるんだよ」


「へえ……一本幾ら?」


「あんた見たところ篭手が武器みたいだが、そんな剣使ってどうすんだ? 一応一本大銀貨二枚だが……」


「全部頂戴!」


  筒に刺してある剣を数えて30あったので、60大銀貨をカウンターに置く。


「えっ!? 全部ってあんた練習用ぐらいしか使い道無いやつだぜ? それに女のあんたが全部持てるのか? 場所言えば運んでやるが……」


「おーう、ありがとねー。んでこう見えて力は有るから大丈夫よ?」


  ひょいと筒を肩に担ぎあげ、店主に見せる。


「おおう。マジで軽々と持ちやがったな。こいつはたまげた……」


「あ、できれば筒も置いとくのに欲しいんだけど……お幾ら?」


「その前に聞きたいことがある。なんで剣を欲しがった?」


「え? だって二級品だろうがいい物はいい物じゃん?」


  ええ、とても美味しそうでございます。


「カーッ! 嬉しいこと言ってくれるね! 筒はサービスだ! 持っていきな」


「マジで? ラッキー。 ……あ、おっちゃんおっちゃん。また二級品が溜まったら買いに来ていい?」


「そんなに欲しがるもんかねえ? まあ、いいさ、買ってくれるに越したことは無い。また来な」


「おっけー、また来るよ。じゃーね!」


  空いてる片手でサヨナラをして、軽い足取りで宿の方へと戻る。

 大量のおやつゲットだぜ! 早く帰ってつまも。

 インゴットでも美味しいのではあるが、打った剣は例えるとよく練られた水飴のようにまろやかで美味しいのよー。


 二級だろうがなんだろうが俺にっては関係ないのでお得なお値段でおやつが買えてホクホクなのだ。


 ……さすがにこの勢いでお金使うと無くなりそうだから偶には働くか?

 とりあえず帰っておやつタイムだ!

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