3ネキ ごはんとバグステ
前回のあらすじ
アイアムアメテオ。
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さて、なんか気持ち腹が減ってきた。
小腹がすいたなー……程度なんだけども、先程から奇妙な感覚に襲われている。
川縁に石が沢山転がっててぇ……その中に綺麗な粒が混じった原石みたいな石がちらほらあるんだけどォ……
それが綺麗だなーは勿論解る。 でも美味しそうに見えるのはどうなのコレ。
うん。自分でも何言ってるかわからん。なんか美味しそう。石なんて食ったら腹壊しますしおすし、というか石なんて硬くて食えんわ。
「でもなー……やっぱ美味しそうなんだよなぁ……」
例えるならクッキーを認識する感覚。 頭では否定しつつ、体はその石を拾い上げる。
「メダルかじる真似くらいのアレだから……ホンマに石なんて食えんから……」
そう自分に言い聞かせつつ口元に運び、ひと齧り。
――――ムシャリ。
「……ふむん?」 むーしゃむーしゃ。 -----ゴクン。
「食えた。石を……?」
不味くねぇ。不味くないのだ。なんつーか乾パン。
いや、石が乾パンとか意味不明もいいところだけど、食えたわ。
俺なんつー顎と歯してるんだ。
うーん……解らん。 ここは草とか生き物でも狩って肉食うような場面だと思うんだが、いかんせん居る気がしない。なんでやろな?
(実際は普通に生き物は居るのだが、自身の落下の衝撃で生き物が逃げている事など彼女は当然知る由もない)
とりあえず石が食える。つーことは、飯がそこら中に転がってんのか。食いしん坊にとっちゃ天国みたいなもんやな。
腹も膨れるしなんかもう全部髭のせいにしとけばいいやっていう動じない心で納得しつーつ。
異世界人はみんな石食えるんだろ。そんなもんだろ、と。
謎理論で納得して、そういえばステータスとかおファンタジーな事言ってたわね髭神様。
……
(ボソッ) 「ステータスオープン」
“ブゥン”という音と共に、半透明の日本の文字が書かれた板が浮かび上がる。
「みれるんかーい」
半分冗談で言ったワードに自身で突っ込みを入れながらステータスプレート(仮)を見る。
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ネーム・ タマハ
種族 ・ 鉄人(固有種
ATK ―
DEF ―
VIT ―
INT D
MGR ―
AGL D
LUK D
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……なんだコレ。まず名前がダッセぇ。 すげーダサい。
絶対適当だろあの髭?
んで見てくださいよこのステータスぅ、確かにそんな頭回るような性格じゃないけどさぁ……“ATK(攻撃)”と“DEF(防御)”と“VIT(体力?)”と“MGR?(魔法防御?)”。
表記 ― ってなによ? 無いのか? よーわからん。
えぇ……? 食べ物いっぱいだやっほうとなってた矢先これだよ。
ステータス見なきゃよかったわ。
んで種族 鉄人? なんだその28号的な生き物は? 固有? 俺だけってことか?
……お? ダメ元タップしたら詳細見れるわね。どれどれ……
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「鉄人」
とある神によって生み出された岩人突然変異種。
全身が岩石のストーンマンに対し、限りなく人間種に近い見た目をしているのが特徴。
全身が生体金属で構成され、その体躯は非常に柔軟かつ頑強。
金属の特性が、普段非常に柔らかいが衝撃を受けた個所が瞬時に超硬化、更にはその衝撃を吸収、活動エネルギーへと変換する器官を持ち合わせる。
また、鉱石が主食だが、有機物も分解し熱に変えることが可能なので食性が非常に広い。
金属比重が非常に重く歩くだけで地形に影響を与えるほどの超重量。コレを自身が発する特殊な電磁波によって重力影響を弱めている。
其れにより、本来の体重ではできない機敏な動きが可能。
岩人同様怒ると赤熱し、凶暴化の可能性有。
性格は岩人同様非常におおらか。
また、岩人種特有の体内で発生させた高熱を口腔、眼球に集め放出し外敵を駆除するための攻撃手段としても使ってくるので口や目が光を帯びたら要注意。
ってつらつら書き起こしましたけど、そもそもこんな超生物を僕の世界に送り付けるのをやめてください先輩。
創造の時に悪い癖出して盛りに盛ったでしょ? 絶対。
by創造神
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………
うーーーん。なんつーか俺人間じゃないのね。
確かに鋼のようなとは言ったけど物理的に金属にするなんて予想しないんだよなぁ……
大怪獣よろしくな説明文っすねこれ。何コレこの存在が災害みて―なやつ。
後DEF……防御? 云々が‐だったのは紙っぺらじゃなく表記がバグるくらい高いのね。
段差で足くじいて死なねーのは有り難いけど。
そんで体重。 超比重って俺デブって事ぉ?
説明聞いて意識したらなんか無意識に出してんなーとは感じる。
フォースだ。フォースを意識するんだよ……(適当)
ふむ?、一回意識して切ってみ――――
“ズドンッ!!” と腹に響くような非常に重重しい音と同時に周囲がすり鉢状に陥没、どんどんと大地が歪む。
うわーお! アカンやつやコレ! 地形変わったじゃん!?
そのまま切ってたらマントル直行するんじゃねって勢いやん!
何処の重力魔法やねん!
あっぶねー……デブってレベルじゃないじゃん俺。ショックだわー……
フォース()を戻して愚痴りつつ次の文を見て、ある文字が目に入る。
“口”と“目”に “熱”……?
え? ビーム出せるの俺。 マジ?
へー。へーーーー……(ソワソワ)
えーっと……こう、なんか漫画とかでよーある丹田から湧いてくるエネルギーを目に持ってくる感じで、 こう! むぅーん……あっ、ついでに声出して雰囲気だしたろ!
「はあッ!」
今度は重重しい音ではなく、シュピッ! という空気を裂く鋭利な音が鳴り、眼前の大岩を貫通。
勢いよく? と言って良いか解らんけど、俺のね? 両目からね? なんか出たわーとか思ったら、視線の先にあった大き目の岩に斜め下に向かって多分2センチ径の綺麗な穴が開いていた。
「自分でやっといてこれ怖えーな……後適当にで地面に向いて撃ったからどこまで入ってるか解らん。もしもーし? ブラジルの人聞こえてますかぁー?
……。 とーりーあーえーず……そんな力んでないからそこまで入ってはいないだろうけど……」
口は……まぁ今度でいいわ。 それにしても目からビームとは神様浪漫が解っておらっしゃる。
称賛というか信仰もんですわコレは。 内心超ウキウキやで。
そんで説明文の最後を見r
あっ。
わーお。これ苦労人のにほひがする。好き勝手やる先輩に苦労する後輩まんまですやんコレ……?
愚痴やね? 最後コレどう見ても。普通、説明文に愚痴書くかぁ?
説明文に泣く泣く世界の項目に俺の項目を編集する神様の背中が見えるのは気のせいじゃないだろうたぶん。 多分。
俺だって自分のグッピー飼ってる水槽にマグロぶち込まれたら泣くわ。
あんまし派手に暴れないように生きるから……ごめんな?
多分何年かしたら俺この誓いすっかり忘れてそうな気がするけど。
にしても岩人? さっきからちょくちょく説明文に出てくるが文字タップして関連表示できるか……あ、できたわ。 親切やな此処の神様。
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「ストーンマン」
全身が岩石で構成されている魔法生物。(魔獣目岩石魔獣科)
よくゴーレムと見た目が似てるので一緒にされがちだが歴とした生物。
つたないものではあるが、言語も話し、理解できるほど高い知能を持つ。
生息域によって体を構成する物質に差異はあるが、雄がアダマンタイト、ミスリル、などの鉱物系、雌がエメラルド、ルビーといった宝石系とはっきりとした違いがあるのが特徴。
主に体を構成する鉱石や宝石の原石などを主食とする。
昔はドラゴンマウンテン以外にも生息していたが、人間種などによって狩られ現在はドラゴンマウンテンに生息する数十頭のみを残す希少種。
雄雌お互いに生命力を均等に分け合うという特殊な習性を持ち、長命種ではあるが必ず番い、一緒に生涯を終えるという特殊な習性を持つ。
生涯を終えた番の骸の核は死後もお互い引合う波を出しており、その素材を使って加工された指輪などはストーンマンにあやかり、永遠の愛を死ぬまで誓う、という意味の結婚指輪として非常に高価で取引される。
現在まで数が減ったのもその特性故であるが。
また岩人に関して絶対に留意しないといけない事案だが、彼らの子供を攫ってはいけない。
成体までになる100年の間、親は子を情深く愛し続ける。
過去、岩人の子供を攫い、怒り狂った群れに滅ぼされた王国の御伽話が伝承される。
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ほえー。関連検索有能やな。
知りたいことばっちりですやん。
何か見た感じ気は優しくて力持ちって感じやね。
ん? 魔獣目岩石獣科ァ?
んで俺、 それの突然変異? だっけよな。
人間離れしてたのは解ってたけどさ、
ファッ!? つまり俺魔獣ですやん!?