24ネキ ポークサンド
前回のあらすじ
はがね タイプ には でんき は きかない !
タイプ 相性? なんですかね?それは。
(すっとぼけ)
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さーてさて。
ミリーちゃんがおこからのその後は、特に何もなく、強いて言うなら戦闘になった時の役割の取り決めやね。
それぞれの役割が前に出ての足止め引き付けが俺。マルがメインアタッカーさん。ミリーが状況によっては魔法で攻撃の援護、アイダが補助と回復。
もっぱら俺とマルが働くわけだけども、魔法は体力と違って回復が緩いらしいからね。当然ちゃ当然。
(今さっき知ったわ)
極論言ったら俺で全部片が付くんだけども、そんなことしたらパーティの意味ないしね?
そう言うの面白くないし。
んで、おしゃべりしてるうちに森の少し手前まで来たんですよ。
こないだアルが襲われたのはただのゴブリンじゃなくて、ちょっと賢い進化種の 追剥ぎゴブリン って いう種類らしい。
森の奥で待ち伏せして集団で叩いてくるゴブリンにしては珍しい奴らだったんだって。
奥に居てすぐに隠れるから見つけるのが大変とか言ってたけど、アルが釣ってきたからね。
はい、確保ですよ。
ま、俺にゃ色違いでもなきゃわかんねーけど。
「さて、目的地付近に着きましたし、あまり森の方に近寄っては危ないと思いますので、この付近で野営しましょう」
「解ったわ」 「おっけー」
マルとミリーの二人が腰のアイテムボックスから何かをぽいっと投げる。
投げた物は、そのまま空中で ボムン! と広がり地面に展開、着地する。
……おー……よくある三角型のテント? 投げるだけで大きくなるとかさすがファンタジーしてんな〜って思うわ。
「えっと……先ほども聞いたんですけど、タマさん本当にそのまま野宿するんですか?」
「ん? ああ、へーきへーき。なーんも持ってないし。それにそこら辺の岩起こして腰かけて寝りゃ俺は十分だよ」
ちなみに普通は誰かが寝ずの番をしたりするんだけどこの子たち魔除け香の結界なんてアイテム持ってるとかなんとか。
便利だなぁ……
魔物避けはもちろんのこと、効果範囲も広めとか。んでもし、範囲内にはいってきた魔物や人物がいる場合大きな音が出て知らせてくれる。 と。 便利過ぎひん?
……新人(金持ち)は割としっかりアイテムもってんなぁ。
逆に言えばそれだけしっかりしてるってことだと思うけど。
「でも、さすがに夜は冷えると思うんですよ。よければですけど、僕の方のテント使ってください。男用なので身長が高いタマさんでも入れますよ」
「えー? 言っとくけど俺がテントに入ってお前が外ってのは無しだからな。それにめっちゃミリーちゃんがお前のこと見てんぞ?」
「ゑ?」
マルがゆっくりと後ろをふり向く。
「……これ以上増やさないわよね?」
顔の影どうなってんだ?……こえー……
「ま~ま~。ミリーちゃん落ち着いて~。マル君が優しいのはしってるでしょ~。それに何だかんだ私たち2人から増えたことないじゃない~」
「そ、それはそうだけど……タマさん綺麗だしもしかしたら……」
「ないない。俺は君たちからマル君を取ったりしないから。ただまぁ、いい男なのは間違いなし、マル君から来られたら考えてもやらんけど」
ちな俺は前世野郎だっだけども性別の概念は愛さえあればどうでもいいようなスタンスでーす。
あ。俺は男色ではないです。 好きになった相手の性別は問わないって話です。
は? 大気圏から衛生生身で衛生お持ち帰る何処ぞの塾長とか野郎でも惚れるでしょ?
「……マル?」
「しない! そんなことなんてしないから! ね!? なにか目が怖いんだけど!?」
あー。からかい過ぎたわ、犯人は俺だけど。
「も~二人とも早くご飯の準備しようよ~」
痴話喧嘩を既にアイダが鍋とその他調理セットを出して食事の準備をしていた。
「あ、ごめんよ。早速準備しようか」
「……もう」
おー。アイダちゃんナイスタイミング。ゆっくりに見えて実はできる子ね? 3人そろっていいバランスしてるし、仲がいいのはいいことだね〜。
食事の準備自体はすぐ終わり、出来上がったのは野菜と干し肉の塩スープ。
野菜は街が近いので新鮮なのが使えるのがgood。塩味は肉から勝手にいい味出るのでお得。
「さあ、できました。よかったらタマさんもどうぞ」
「お、ありがとう。それじゃ頂くかな」
持ち物ナッシングな俺なので晩御飯は奢ってもらうことに話がついてる。その分明日俺が頑張るって約束したけどね。
そしてまともに料理食べるのなんてたぶん初めてでは?
あ。普通に飯はガンテツが食べてるの見てたけどおいしそうなヤツ(鉱石が)いっぱい近くにあったからね。 あ、うん。べつに初めてじゃなかったわ。たまに横から貰ったりたりしたわ。久しぶりなだけだったよ。
「「「それじゃ、いただきます」」」
4人で出来上がったスープを飲み始める。お供は焼いた硬めのパン。
「……お、美味ぇ」
「そうですか。お口に合ってよかったですよ」
実際味覚に関しては前世とそんな差異はないんだけどねー、体感で感じる食事にカロリー不足感が有るだけで問題は無いよ。
こう、なんていえばいいんだろか。
わからん! とりあえずスープおいちい。
あくまで表現での話であって実際はなんも解りませーん。俺専門家の学者待たれる。
んで飯飯と関係ない余談。
ガンテツと俺が大好きなヤド酒 “隠者の滴” 。
アレは普通割って飲むようなほど濃いもので、普通の人は薄めないと飲めたものではないらしいね?
まぁ、本来は火つけて相手燃やす燃料なわけだしな!
油ですよ油。あるぅこぅるぅァ(巻舌)ですよ。
ま、油だろうが何だろうが俺にとっては美味しいので無問題です。
そしてほがらかに雑談しながらのご飯タイム終わり。
「さて、それじゃあ明日に備えて寝ましょうか? ……タマさんはホントに外で良いので?」
「だーから気にすんなって。明日で稼げたらちゃんとテント買うから、ね? 焚火だけそのまま残してくれれば大丈夫だよ。ささ、そのお香? だっけ何か来たら鳴るんでしょはいじゃーお休みー」
そういって俺はさっさと持ってきた(引っこ抜いてきた)岩に腰かけて寝始める。
こういったのは多少強引だけどごり押すべし。 ゴリ押しは世界を救う。
「…はぁ、解りました、では、お休みなさい。明日はよろしくお願いします」
「おーう」
数回のやり取りの後、マルの方も観念したのか、自分の方のテントに戻ってゆく。
そして夜は特に何かあるわけでもなく、朝を迎える。
夜の襲撃イベントとかめんどくさいだけですよ! ある訳無いだろ! ファンタジーか!?
ファンタジーだわ此処。
「おはようございます。タマさん」
「んあ? ……おー。……おはよう」
謎の鼻提灯がパチン! と弾けるのと同時にタマの意識も覚醒する。
「朝食食べたら森の中に向かいましょうか」
「ふぁ~……おはよ……」 「 スヤァZZZZ……」
同時に少女二人の方も一緒にテントから出てくる。 ……一人立ったまま寝てませんかね?
鍋に残ってる野菜スープで朝食を済ませる。あー……鉄が食べたい。The iron。
俺的にはちょ〜っと一品足りない気分。
テントは折り畳み式でかなり小さくなった後に〔ストレージ〕って唱えると掌サイズまで小さくなった。うっへすっげ!
折りたたむ必要は中に人が居て呪文で巻き込まれるケースが出たのでひと手間入れて事故防止の仕様にしたらしい。 テント怖ッ。
そんなこんなで野営の片付けも終わり(全部しまうだけなんだけどね?は〜便利便利)
「さあ、行きましょうか」
「うーす」 「わかったわ」 「は~い」
3人同時に返事をする。
さーさーさー、初めてのオーク? 討伐ですよ。どんどん狩ってしまっちゃおうね〜。
「依頼内容では2~3体ほどの目撃情報ですが、気を抜かないようにしていきましょう」
「うーい」「わかったわ」「おっけー」
そして森の中に入ってたわけだけども。
……奥に居るって聞いたけど? あれ? もう居ますやん? アレ2足歩行のいわゆるオークとか言われてる豚さんでは?
「ちょ、森の奥に居るって話じゃなかったの!?」
「静かに……確かに3体。こちらには気が付いていないですし、ばらけていますね。……奇襲しながらの各個撃破していきますか、タマさん。前、頼めますか?」
「任されたわ。ん、じゃ、昨日は見せなかった盾の面白機構みせちゃおっかな〜。あ、マル君は俺が押さえ込んだ奴の首狙ってくれ」
「首ですか? 解りました。やってみます」
「え!? あの馬鹿みたいに硬い盾にまだ何かあるの?」
「たのしみ~」
「よし。じゃあ……いきます!」
マルの掛け声と共にまず俺がオーク目掛けて茂みから急襲。そのあとにマルが続き、後にミリーとアイダが控える。
俺は走りながら拳を打ち鳴らして盾のギミックを作動。よく分からない機構で最初に骨が展開、形成されてそれに追従する様に小さな破片が拡がり、シールドへと変形を開始する。
「ブー? ブ!!」
オークの1匹が此方に気付いて驚きながらも戦闘態勢に入る。が、
この間既に盾の展開が終わり、そのまま向かって駆け、タマは握っている盾のグリップを半回転させ、もう一つのギミックを作動させた。
すると盾の下半分が真ん中から割れて、いわゆる蟹のハサミ、シールドクローアームとなる。
「なっ!? あの盾、割れるの!?」
「お~!?」
「はい、固定完了っと」
勢いのまま、反射で防御に使われた手持ちの棍棒らしき物を強引にハサミで弾き、大きく開いたツメの隙間にオークの両腕事挟み込む。
え? どんな原理かって? 100均のマジックハンドと同じような機構だよ。多分。
シンプルで頑丈。設計の際リクエストしたら「そんなもん使いこなせるのお主以外無理では?」って言われた……原理は人差し指で絞めてるだけだからね。うん。高トルク最高!!(逃避)
「ブー!? ブギーッ!」
おーおー。暴れる暴れる。無駄だぜぇ? このまま絞めてギロチンな芸当も可能だけどもそこはパーティである。
「マル」 「はい!」
俺の後ろから駆けてきたマルが身動きを許されないオークの無防備な首を一刀のもとに刎ねた。
「おっしゃ! このまま次! 右の奴だ!」 「はい!」
2匹のオークも此方に気が付いたようでドタドタと走ってきた。 さーどんどん挟んじゃおうね〜。
「ほいさ」 「ブ!!?」 「せやぁ!!」
流れる様にに2匹同時に抑え込み、同じ手順で片づける。
はい。依頼しゅーりょー。
まあ、初心者の依頼なんてこんなもんですよね。
「おーし。おつかれさーん」
「……正直楽過ぎます。普段はもっと苦戦するのに」
「お~い」
お? ちょっと離れてた後衛組もこっちに追いついてきたな。
「ふぅ……今回私たち出番なかったわね。……タマさんの盾、ハサミにもなるんですか。攻防一体ですね……」
「お~! かっこいー!」
そうかそうか。アイダちゃん、君は浪漫が解るか。
「お、二人とも来たか。まぁ、この盾は俺の力あっての盾だから真似するんじゃないぞ?」
「真似できませんって……昨日の夜の時に石引っこ抜いたのも見て驚いたんですけど、タマさんって見た目の割にすごい力持ちよね……」
「力持ち~!」
「おう! 足はそんなに速くないが、阿呆みたいにパワーは余ってるからな」
「ほんと凄いですよタマさん。僕がオークの首刎ねるまで少しも動かさなかったんですから」
「いえーい」
ニッコリしながらガショガショとハサミを開閉させてアピールする。
「あはは! カニさんだ~」
「いえ〜い 。カニさんやで〜」
「……さて。何故こんな森の入口付近にオークが居たのは解りませんが……解体して持ち切れる分だけ持っていきましょうか」
「ねえ、マル。それなんだけど、タマさんが居るから解決するんじゃ……?」
「え? あっ。……タマさん……大丈夫なんですか?」
「おーけーおーけー。こんなん余裕よ」
「わ~い! 全部持って帰ったら報酬いっぱ~い!」
「まさかこれ程状態良く倒せるなんて思ってなかったですしね……昼頃には街に帰れますよ」
「でも、なんで森の奥に居るって情報のオークがこんなに入口に居るのかしら……不思議ね」
「もしかしてもっと強いのが奥にいたりして~」
アイダちゃんのそれは世間様で言うフラグでは? まぁそんな事ねぇわな。
「奥に……まさか、ね。まぁ今日のところは引き揚げましょうタマさr
「グウオオオオオオオオオォォォォォォォォォッ!!」
突如、森を裂く咆哮が響き渡り、木々をなぎ倒し此方になにかが向かってくる。
「な、何よこの咆哮は!?」
「あわわわわ~」
「二人とも落ち着いて! ッ!?……アレは、オーガー!? 何故こんな所に!?」
一行の視線の先には身長3mはあろうかという緑色の巨人が現れた。
勿論頭部には天を突くような雄々しい角が生えている。
「ゴァァァ……ア! ガァァァァァ!」
少し周囲を見渡していたオーガーだが、すぐに一行を発見し、吠えながら此方に向かってくる。
なんだ此奴。いきなり出たと思ったらこっちに来やがって……
ん? アイツの角……ちょっと気になるな?
(小腹空き)
「いけない! みんな逃げるんだ! ミリー! すぐに撃てる何かで目を眩ませて!」
「ちょ!? いきなりは無理よ! それにあんな動いてる頭に当てるのは難しいわ!」
「ぴ、ぴーんち……」
「クッ。こうなったら僕が奴の気を引く! オーガのー相手なんてタマさんでも無茶だ! だから早く「ちょーっと待った。そういう美味しい役は年上の役目だって親に教わってねぇか?」
一応俺設定では19ってことになってるのよね。はい。
実年齢()の6はさすがにアレだしガンテツにだいたいの所で誤魔化してしてもらいました。さすガン。
ということで俺今19歳。 ティーンですよティーン。
「タマさん!? ……でも、無茶だ! 腕力でオーガーに勝てるわけがな「いーから、見てろ。俺に、任せな」
「!!……はい」
さーて〜、鬼君。この面白盾クローモード(特にいいの無いので適当に呼びました)、略してカニタマさんと力比べと洒落こもうぜ!
 




