21ネキ 投げる神あれば拾う神あり
前回のあらすじ
ジョブゲットとパーティ結成
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「へぇ、やっぱ3人は幼馴染なんだ」
「はい。まぁ、いつも二人に引っ張られる感じですけど……」
「なによ! マルがワンテンポ遅いだけでしょう!?」
「まぁまぁ二人とも落ち着いて~、いつもこんな調子で3人仲良しなんですよ~?」
現在さあ出発だ。となったは良いが、アルの所に行く用事を思い出して4人で移動中である。
え? なんか絡まれてた? えーと……たしか……
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「げぇっ!? 迷惑3馬鹿!?」
突如横から入ってきた謎の3人組に対し、マリーさんが苦そうな表情を浮かべる。
「入ってきた時から見てはいたがなぁ!」
「まさかフード取ったらこんなべっぴんさんだったとは!」
「と! いうことでアンタは俺らと一緒に依頼に行くんだよ!」
なんだ此奴ら。
一緒に行く理由の意味が全く解らねぇ……そして一人が言えば済むセリフを3人綺麗に分けて言ってきやがる。
チームワーク抜群だな……
「なんてったって俺らはCランク様だからな!」
「向かう所敵なしだぜぇ!」
「最近街を騒がせてる珍種の追剥ぎゴブリン共を倒したからなぁ!」
お前たち逐一言葉の後に ! 付けなきゃいけない病にでも罹ってるのか? ヤンキー漫画?
「今さっき上がったばかりですのに……それに討伐したゴブリンの死体がなんか変なんですよね……まるで高所から落下したかのような死に方ですし、彼らにそんな力があるようには……いやでも死体持ってきたのは間違いなく彼らですし……」
マリーさんがブツブツ呟く。そしてなんだか聞き覚えのあるワードが耳に。
んー? ゴブリン? 追剥ぎ? 落下?
ポク、ポク、ポク…………チーン。
あーなる。(なるほど) そして謎がすべて解けたぜ。
この事件。 犯人は……俺だぁ!
……俺かぁ……
投げたの街だったのね。真上には投げなかったけども……そんな遠くまで投げてたかー。
よ〜し。ややこしくなるからだまっとこ。
んでこいつらどーすっかなー……うん、無視しよ。
「さ。マル、ミリーちゃん、アイダちゃん、さっさと行こうか。あ、マリーさんありがとうございました。それでは失礼しますね」
「あ、はーいどうもー。ちなみに受付プレートには登録云々書いてますけど、此処基本的に空いてますので、他のカウンターと同じように全部こなせますからいつでも来ていいですよー。後是非また髪触らせてくださいウェヒッ」
「お、おう……」
触るって言うより吸ってますよね? 猫は吸うとは聞くけど人はなぁ……とか思って軽く引きつつそそくさと3人引っ張って出ようとする。
すると
「お〜っと! 待ちな〜! いきなりオーク退治なんてGになったばかりの冒険者が行くようなもんじゃねぇんだよ!」
「そうだそうだ! ガキどもはすっこんでろい!」
「俺らが代わりに行ってやるからな!」
回り 込まれた。
ハゲ から は にげられない !
めんどくさっ!
……えー? お前ら悪い奴なの? それとも良い奴なの? そして周りの見てる冒険者達が、うわー。めんどくさい奴らに絡まれたなーって目してのわかりやすー……
うーわー、もう俺もなんか面倒くさくなってきた。
……ヨシ! こういうのは相手黙らすに限るな?
「なにを言ってるんですか! 依頼の横取りは規約違反でs
反論しかけたマル君の口をスッと塞ぎ、3人をちょっと固めて寄せて、はーいこっちね〜、そう、そこ。 ほんで待ってろのジェスチャーをする。
何か言いたげだったが、すぐに頷き、俺から3人ともちょっと離れてくれた。
「おいハg……そこのおじ3人。ちょ〜っといいかァ?」
「お?」
ササッと3人に近寄よって〜、二人の頭を掴んだ後一気に寄せて〜、すぐさま俺は頭を振りかぶりーの。
「ん?」
あ、そーれごいーんとな!
「がっ!?」「ぎっ!?」「ぐっ!?」
3人同時の頭突きだぜ!
そしてモロに食らった三人はあっさりと伸びて床にダウン! K,O!
アイムWin!
ま、一応手加減というのは練習したからね。そこん所は大丈夫大丈夫。
世間様でアイアンヘッドは怯み3割ってところだが、俺ならなんと10割ですよ! ツヨイ!
そして3人が倒れた後に片手を上げ、指は人差し指と小指だけ立てる。
所謂 “ ウィッー!“ のポーズであ〜る。
一回やってみたかったんだよねーコレ。
実はハン○ンさん ウィーッて叫んでないらしいけどね。
まぁ、そういった小話は置きつつ。
「おー!? つえーぞねーちゃん! 良い〜頭突きじゃねぇか!」
「見た目の割にワイルドだねぇ!」
……お? 意外にギャラリーの反応いいな此処。
そうか、異世界でも ウィー! の良さが解るか!
「……大の大人3人同時に一発でとは、タマさん本当に強かったんですね……」
マルがボソッと呟く。
「ん? まァな! さ〜て、まずは外に行こうか。みんな見てるし」
「あ、はい」
そのまま倒れた3人無視してさっさと外に出よ。
通る途中チョイチョイ称賛の声をかけられたけど、ウィー! で返しておく。
よーし。異世界にハン○ン広まれ〜?
「なんだかよくわからない人たちだったわね……」
「あーそっか。ミリーちゃんまだクソーザさんたち見たことなかったもんね~」
「さて。外出たし準備して……あっ、アル君の所行くの忘れてた」
そうだった。登録してた後行くの完全にすっぽ抜けてたわ。
あーどうしよ、3人と一緒に行くってなっちゃったしなぁ……
「え? タマさんはアル兄さんをご存知なんですか?」
「ん? あー。ゴブリンに襲われてるアル君を助けてこの街教えてもらって……ん? 兄さん?」
「えぇ……兄さん近道する悪い癖まだ抜けてなかったんですか……魔物が出るってみんな口酸っぱく言ってるのに……あ、すみません。つい愚痴が出てしまいました……はい。タージェル商会の所のアルって人のことですよね?」
「うん。そうだよ」
「それでしたら、間違いなくアル兄さんで間違いないですね。そこまで似てないのは、兄さんとは母親が違うんですよ。別段急ぐわけではないので、よろしければご案内いたしますよ」
へー。名前似てて、わりかし外見も似てんなって内心思ってたんだけど、畑違いの兄弟か。
急いでないって言ってるし実家っぽいからお言葉に甘えて案内させてもらおうかな?
「まーじで? 兄弟だったの? あ、じゃあ、お願いしよっかな」
―はいカット。
って感じで、えーと……ハゲ3人の名前……たしか、ク……クソ……メクーソ と ミミクーソ と ハナクーソだっけ?
そうそう。 思い出した。確かその3クソさっさとのして今、会話しながら大道理歩いてる最中ですよ。
そんで冒頭の、おしゃべりしながらの移動に戻るってわけ。
聞いた話マルたち3人は冒険者に憧れてて、なれる年(15歳)に最近なったばっかなので早速登録して冒険者始めたみたいねー。
二人だけFなのはマルが少し遅くの生まれだったので登録が遅かったのが理由との話。
「え!? タマさんずっと山の中で修行してたの!?」
「よく山の中で生活できますね~」
「ああー、まぁ、家はあったし食べる物にも困らなかったしね。結構快適だったぜ」
本当にな! クッソ快適だっだよ。俺には。(ここ重要
「……あ。着きましたよタマさん。此処がタージェル商会……まぁありていに言えば実家なんですけど」
お。そんなこんなで雑談してるうちに着いた……ってかでけぇな! 此奴いい所の坊ちゃんじゃないか?
「ただいま。ゴーンさん」
「はい。マル様おかえりなさいませ。……随分とお綺麗な方連れてますけど、また増やしたんですか?」
門番がニヤニヤしながら軽口を言う。
軽口言えるあたり仲はよさそうで。
「ちょ、違いますよゴーンさん!? この人はアル兄さん助けてくれた方で此処に用事があるって言ってたから案内したんです!」
「ああ。そういえばついにアル様も襲われたとか言ってましたね。全く、今までが幸運過ぎたんですよ」
アルぇー…… お前の近道案件みんな知ってる事案なの? だとしたら懲りないというか逆にすげえなお前……
「まぁ、それはさて置きまして、お客様でしたか。ささ、どうぞお通りください」
門番のゴーンが綺麗なお辞儀をして進むように促す。
「あ、うん。ありがとう。……えっと、応接室はこっちの方です」
そんな感じで中に案内されーの。
しばらく待っていると、アル君が出てきた。なんかすごく申し訳なさそうな顔してんな。
「あ、タマさんお久しぶりです。来ていただいて申し上げにくいんですが、その……親方が今丁度出かけてまして……たぶん帰ってくるの明日くらいだと思うんですよ……」
えっ。まじかー……
「あー……そうなの?」
しばらく静寂が続き、隣に座っていたマル君たちに声を掛ける。
「なんか……ごめんな? 案内までしてもらって。……依頼いこっか?」
「……そうですね。父が出かけてるとは僕も思いませんでした……すみません」
さー! 東門にもどるか! 内心ご都合主義でトントン進んでくれとか思ったけど、居ないもんはしょうがない。
よくあることさね。
……戻る時に復活した3クソと出くわさないよな?




