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ハガネキ 〜彼女はメタルでハガネのやべー奴〜  作者: 爆散芋
2章 冷やし中k……新人冒険者始めました
21/202

20ネキ  登録してパーティ組んで後なんか面倒くさいの

 前回のあらすじ 


 冒険者になりにギルド(ハローワーク)に行きました



 ――――



 はい。聞いた通りに歩いてきたらすぐ見つかったんだけども……入るか。



 入る時にドア無いのかなーって思ってたんだけど、あ。両開きで内側に留められる仕組みなのね。 良いね、うえすたーん。


 そして中に入ってみたが、なんつーかよくある酒場も併用してますよって感じの作り? 



 はよ登録して飯の目途を立てなきゃなぁ……


 一通り周りを見回し、カウンターが複数ある場所の 「登録などその他相談」 と書かれてるプレートを見つけそのカウンターの前まで歩いてゆく。 

 表記プレートが置いてある親切設計でよかった……


「ようこそ。冒険者ギルドへ! 新規登録ですか? その他の相談ですか?」 


 丸眼鏡をかけた温厚そうな受付のお姉さんが話しかけてきた。


「えーと……身寄りが無いので登録証を作ってもらいに来ました」


「え? 身寄りが無い。ですか? ……よろしければお聞きしても?」 


「大丈夫ですよ。さっくり言うとですね。俺は旅の途中に山の中で転移陣に巻き込まれたらしく、シンシアからこのラン? ランランチップまで飛ばされたみたいで……」


「えっ!? シンシアから飛ばされてきたんですか!? そんなに強力な転移があるなんて聞いた事ないですね……」


「それ門番さんも言ってましたね。ついでに今、文無し身寄り無しなんですよ……それで明日食べる飯に困って勧められたのが冒険者でして……」


「随分と災難な目に遭いましたねぇ……あれ? 文無し身寄りなしと仰ってましたが、勧められた?」


「あ、それはですね。確か……た、タージェル商会ってとこのアル君の馬車がゴブリンに襲われてましたんで、偶然助けたら街の場所と手っ取り早くお金稼ぐ方法教えてくれたんですよ」


「あー……アル君今度こそ本当に襲われたんですね……あ、逸れましたすみません。それと、お話聞いたのと、今見ての感覚での意見なんですけども。えっと……」


「タマって言います。どうぞよしなに」


「あはい。こちらこそ。……ってタマさん結構お強いですよね? それで冒険者ではなかったのですか?」


「あー……まぁ、山の中でずっと籠って修行してたようなものでしたからね。世間と疎かったんですよ」


 嘘だよ。 ずっと遊んで暮らしてたよ。


「なるほど……だいたいの事情説明ありがとうございます。……それにしてもお強そうとは言いましたけど、相当ですねタマさん。後ろからバンバン威圧飛ばされてるはずなんですけど……はぁ。

 此処に来る新しい人にそういう悪戯するのは止めてくださいっていつも言ってるんですけど、懲りないんですよね彼等……」


「え? マジ? 後ろ?」 


 そう言ってカウンターから振り向いて後ろを見る。

 確かに何人か冒険者がテーブルから睨んでるね。

 半分以上はなんか面白そうなのが来たって感じの目だけど。

 マジ? 全然分からなかったけど……もしかして……俺鈍すぎ?


 そんな感じで見渡してると完全に俺の顔の方に視線を向けてるわけじゃないと気が付く。 


 ……まぁお前ら野郎だし。そら気になるなら見るよね。 

 おっぱい。  


 ……しょーがねーなー。(悪戯心)


 ニヤリと笑った後

 腕を組み、さりげなくご自慢の物をグッと持ちあげる。

 すると。ヒューヒューと口笛が飛び交った。 


 そして俺も親指を立てサムズアップで口笛に応える。

 いえーい。お前ら見てるかー?


「ンッン! オホン!!」 


 受付のお姉さんが大きな咳をつき、口笛を吹いている冒険者たちをじっとりと睨み、すると慌てて彼らは一同サッと顔を逸らしピューピューとわざとらしい誤魔化しの口笛を吹き始めた。


「全く……これだから男は。……っていうかタマさんもですよ! 振り向いたかと思ったらいきなり何してるんですか!」



「まぁ……みんな見てたし、サービスしてあげれば場の空気和らぐかな? と思って」


 おっぱい嫌いな野郎なんて居ないからね。 

 ホモを除いて。多分。


「はぁ……確かに和らぎはしましたけれども……おほん。では、新規登録を致しますので、この水晶に手を当てていただけますか?」


 そういいながらカウンターの下からゴソゴソと大き目の水晶玉を取り出してカウンターの上に置く受付嬢。



「なんぞこれ?」 


「登録用の鑑定水晶ですね。この水晶で情報を読み込んで冒険者証を作らせていただきます。あ、魔力紋(要するに指紋のような物)も読み込みますので、偽造対策もばっちりですよ!」


「へー、便利やねー。それじゃ、ほい」


 タマが右手をスッと水晶の上に乗せる。 

 すると、薄く水晶が発光し始めた。


「あ、来ました来ました。すみませんが、ステータス拝見いたしまー……ってぅえええ!?」


 ――――――

 ネーム  タマ

 種族   人間種


 ATK  A

  DEF   A

  VIT   A

  INT   D

  MGR   A

  AGL   D

  LUK   D 


 スキル 超鋼格闘術 Lv‐

 ―――――


「ん? どした? お、結構良いステじゃん俺」


 鑑定道具すら誤魔化せるとかガンテツマ〜ジでスゲーな。

 ……おっ。賢さもどってるぅー!  勉強した甲斐があったな、めっちゃ賢くなってるやん (戻っただけ)  


 (ちなみにINT(賢さ)に関しては一般人でもDが普通なのだが……勿論はタマは知らない)


「(小声)どした。じゃないですよ! 本当に冒険者やってなかったんですか!? ランクでいうところのA~S級冒険者の能力に匹敵しますよ!? ちなみにこの超鋼なんとかってなんです? 見たことないスキルなんですが……」


「いや、だから山に籠ってたって……後、それは体を鋼のように固くして攻撃にも防御にも使える技だよ。タブンネ」


 鋼のようにって言ったけどまんま鋼鉄ぼでーですし俺。 

 これもガンテツにそういう言い訳しとけば納得するだろうって言ってた。

 さすガン。(さすがガンテツ


「格闘家だったんですか? ……それで山に? ……ダブり反応は水晶からは出てませんし……確かに初めての登録ですね。……それにしても、こんな人が山に籠ってるなんて、シンシア大陸って凄い所なんですね……」


「そうでもないと思うよ(適当) そいで登録終わった?」


「あ、はい。お手を離しても大丈夫ですよ。もうすぐ出てくるはずです」


「出てくる?」


 すると水晶を固定している四角い台座からカードがムニーっと出てきた。

  あ、台座もワンセットなのね、水晶。



「はい。どうぞ、これで登録完了になります。

 ありがとうございました。……一応決まりですので最下のG級からの開始になりますけど……ギルドマスターに話通しておいた方がいい案件ですよねコレ」


「偉いさんに言うとか、絶対面倒臭いから内緒にしてくれよ。な?」


「えぇまあ。私も厄介事は嫌なのでスルーしますけども。ところで早速ですが、何か御依頼受けて行きますか? タマさんはGランクなので薬草採取などになりますが、土地勘……ないですよね?」


「そうだねー。右も左もわかんないし、そもそも、薬草の見分けがつかないね……」


  転生テンプレの鑑定なんて持ってないんでね!

  やっぱ鑑定ってチートだとしみじみ思うわ。

  主食が草でもない限りそんな見て分からんでしょ。

  ……草食系転生者とかベジタリアンか何かかな?

  俺は……鉱食系女子………。



  あっ。 俺の方がおかしい。斬新すぐる。


「他には…ゴブリンなどの討伐ですが………タマさんは盾職(タンク)向きかと……あっ。もし、タマさんが宜しければですけど、丁度良い依頼がありますよ!」


「ぬ? できるやつなら全然構わんよ」


「ありがとうございます。では内容ですが、このフカシの街の東門から真っ直ぐ、半日くらいの場所に森があるのは分かりますか? 」


「此処に来る時に見た森でいいなら解るよ」


  街の名前今知ったよ……フカシっていうんだ……


「ええはい。その森で大丈夫ですね。それで森の奥に居るオークが数匹森の浅い所まで来たとのことで、討伐依頼を受けたパーティが1組いるんですけど、依頼難度はFでそれほどでもないんですが、パーティの戦力が些か不安でして……」


「で、そのパーティーの(タンク)として。ってことね」


「はい。本来、F難度はGでは受けられないんですが、見させていただいた能力値で有りましたら特段不安はないと判断しましたので、そのパーティーの臨時の仲間として参加していただければ、私たちギルドも憂いが無くなって助かるんですよ」


「こっちはおっけーだけども、その一緒に行くパーティってのは今居るん?」


「あ、居ますよー。おーい! マルさーん! 此方に来てもらえますかー!?」


 受付のお姉さんが少し回りを見回した後、声を出して呼び、一組のパーティが此方に向かってきた。


「はーい。どうしました? マリーさん」


 人の良さそうな青年が此方に向かって走ってくる。


 受付の人マリーさんって言うのね。 覚えた。


「ちょ、ちょっと待ってよマル! 走っていく必要ないでしょ!」


「そうですよ~。室内なんですから歩いていこうよ~」 


 続いて、魔法使いっぽい服装のつり目少女と、対照的なおっとりしたタレ目神官っぽい服の少女二人が遅れてやってきた。


「マル君、ミリーちゃん、アイダちゃん、運がよかったわねー。クエストに行く前に助っ人が来てくれたわよ、タマさんって言う方よ。今日冒険者になったばかりで訳アリだけど、間違い居なく彼女はそこらの冒険者より頼れるから安心して!」 


「おいーす。よろしゅー」 


 片手を上げ、軽い感じで挨拶をする。


「あ、どうも、よろしくお願いします。G級のマルって言います。えっと……初対面で失礼だったら申し訳ないのですが、タマさん……大きいですね」


 確かにいざ対面してみると彼の頭の位置が俺の頭一個下ってくらいの位置だろうか?

 俺がデカいのか彼が小さいのかどっちだろうか?

 ……たぶん俺がデカいだけか。目算でこれとか俺幾つあんだろうな? 

 育つにしても、2m超えはしたくないなぁ……


「そうねー。こうしてマル君と並んでみると、タマさん大きいわねー」


「ちょっと!? マル! どこ見てそんな話してるのよ!」


「そうだね~。ミリーちゃんおっぱい無いもんね~」


「あ、あるわよ! ちょっと控えめなだけよ!」


「「……おっぱい?」」


 マル君と俺の声がダブる。


 ……あー。解った。マル君の目線がだいたい俺の胸の所来るんだわ。マリーさんは身長の話だけど二人は勘違いしてるみたいね。


「うぇ!? ちょ、違うよ! 顔が隠れてるからのぞき込むのが失礼かなって思って、少し下見てただけだよ!? 胸とか見てないから!……確かに大きいけど(ボソッ」


 あー少年、俺は構わんけどその最後の漏れた本音はイカンぞ。


「ちょ、やっぱり見てたじゃないの! ホントにアンタって奴は!」 

「あはは~マル君も男の子だしねぇ~」


 ほーら、聞こえてた。いやー若いね〜マル君。その年で既に2人ルートとかやりおる。


「はいはいはい。いつもの痴話げんかはそこまでにして。ほーら、ミリーちゃんもアイダちゃんも自己紹介する!

  ……そういえばタマさん室内でもフード被ってますけど、何か取れない理由でもおありで?」


 ナイス仲裁だマリーさん。 


「ん? いーや? なんとなく被ってるだけで取れない理由は別段ないよ。ほい」 


 フードを外し、しまってある髪を外に出す。

 ふぁさー っとね。

 そしてニッ と微笑む。


「!?」


 俺以外の4人が固まった。 うん。俺はもう門番の件で慣れた。

 あっいけね、やったらダメって言ってたね?


「はー。スタイルいいなとはずっと思ってたんですけど、タマさんめっちゃ美人じゃないですか?あ。髪触っていいです? すみません触らせていただきますね(クンクン……」  


「……」

「綺麗……」

「お~……」


「ほら。二人とも、固まってないで。挨拶する!(スーハークンカクンカ」


「あ、はい。 私は、ミリーって、言います。ランクはFです……」 


「あ、私の方はアイダっていいまーす。Fです~。お~……」 


 ぎこちなく二人が自己紹介をしてきた。そしてさっきからマリーさんが俺の後頭部に張り付いてる。 

 え? この人さっきの受付さん?

 同じ人物だよね?


「おーう。俺の方はタマっつーんだ。改めてよろしくな!」


 そういって俺は握手のために二人に手を差し出す。


「あ、どうも……」

「お~……」


「ところでさっきからマル君固まってるんだけど……」


「ほんとだ~」


「ちょっと!? いつまでタマさんに見惚れてんのよ!」


 べシッ! っとミリーに後頭部を叩かれ、マルが再起動。


「あっ。あの……その、こんな綺麗な人、見たことなくて……すみません」 


 ……。


 横に顔を向けしどろもどろしていたマルの顔を両手でがっしりと掴み、此方に顔を向け、目を合わさせる。


「っ!?」 


「いいかぁ〜? 人と話すときは 目 を見て話をするんだ。

 大事なことだぞ?」


「……は、はい……もう、大丈夫です」 


 目を泳がせまくっていた彼だが、両手でそのままがっちり固定してじっとしていたら、観念して落ち着いたらしく、こっちの目をしっかり見て話をしだした。 


「おー落ち着くのはえーな。意外に肝据わってんだね少年。いや、マル君」 


「マルで大丈夫です」 


「OK。マル」 


 そしてぱっ っと手を放して解放する。

 思ったより此奴のこと気に入ったわ。


「ささ、みんな自己紹介も済んだことだし、準備して早速東の森に出発してはどうかしら? 後の細かいことは歩きながら話せばいいと思うわよ?(スゥー……ハァー……」


 とりあえずマリーさんは俺の頭からいい加減離れてくれないっすかね?

 そのままだと張り付いたまま依頼に行きそうだったので引っぺがしてカウンターに戻しておく。


「ああっ!? 私のユートピアが!?」 


 いや、俺の後頭部なんですけどソレ。



「マリーさんも戻したし……それじゃ後は歩きながら話でもして依頼に早速いこうぜ?」


「はい! よろしくお願いします!」


「よ、よろしく!」


「よろしく~……私もタマさんの髪触っても?」


「……後頭部に張り付かなければ構わんぞ」


「やったー! では早速……おおっ! おー……」 


 ……なんかフェロモンでも出てんの俺?


「まぁ、このまま行こうか……」


「は、はい」


「ちょっと、アイダ……」 


「ミリーちゃんもミリーちゃんも! 早くぅ!」


「……」


 ススススススス…… とミリーも俺の後ろに無言で近寄ってきた。


 お前もかー!


 もう半ば無視しつつ出口に向かおうとすると、不意に声を掛けられた。



「ちょいと待ちなそこのおネェちゃん!」  


「おいおい、そこのガキども!」


「そのネェちゃんは俺らと依頼に行くんだぜ!」 


「「「この!!」」」


「クソーザと!」


「コーナと!」


「メクジーとな!」






 うえッ。  


 なんか狼の皮を頭からかぶった山賊っぽいハゲ三人組が声かけてきた!


 ハゲ の 3人組が!


 クッソメンドクサソウ!




 …………。 


 よし、無視するか。  


 無視しよ。

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