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ハガネキ 〜彼女はメタルでハガネのやべー奴〜  作者: 爆散芋
2章 冷やし中k……新人冒険者始めました
20/202

19ネキ  こちらタマ。町に潜入した。

 前回のあらすじ


 星になったゴブリン

 そして大根




 ―――――――――――――――― 




 ポッコ、ポッコ、ポッコ、ポッコ…… 


 現在、助けた商人の馬車に乗ってのんびりと馬の蹄の音をさせながら移動中である。

 いやー乗り物の件で一瞬考えたけど、神様きちんと謎の調整してくれてたみたいだねー。

 其処は感謝するけど、飛ばされたの差し引くとうん……って感じ。



「えーと、確かタマさん、でしたよね? 改めてありがとうございます。僕はアルって言います。偶然タマさんいなかったら僕きっと食べられてましたよ、ははっ……」  


「いーってことよ。俺もここが何処か解らなくて困ってたところだし、お互い様よ」 


 名前の件に関してはガンえも……ガンテツがステータス偽装のアイテムを首に付けるチョーク型に作ってくれたので、それでステ含め名前も偽装してる……らしい。

 余談やが「ワシのを見抜ける奴なんてそれこそ数えるほどしかおらんし、万一見抜けてもお主のステが意味不明すぎて偽装の方を間違いなく信じるじゃろ」 って言ってた。

 いや、ほんとあのおっさんなんでもできるな。  




「え? 何処だか解らない? タマさんは何処から来たんですか?」


「ん? 確か……シンシア大陸? だっけ?」


「エッ」 


「どした?」 


「えっと……その。此処は……ランランチップ大陸っていう場所で、確か、シンシアは2つ挟んだ大陸なんですけど……」



 えっ。



「まーじでぇ? 確かここに来る前に空に浮かんだ魔法陣に吸い込まれて気が付いたら、此処だったんだけど」 


 嘘は言ってない。嘘は。そして神様飛ばし過ぎでは?


「だとしたら、転移の罠でも作動したんですかね? でも、大陸間をまたぐなんて聞いたことがないし……タマさんの恰好から見るに、旅の途中に偶然巻き込まれた。 っことでしょうかね?」 


「え? あ、うん。そうそう。仲間と移動しようとした時にさ、俺だけ巻き込まれたんだよね。おかげで着てるもんくらいしか持ち合わせがないんだよ。金もないし」 


 推理力たけーな。助かるけど。

 そしてこれも嘘は言ってない。金も持ってない(そら使う必要なかったしね)


「そうだったんですか。災難でしたね……えっじゃあ……タマさん街に向かうとは言いましたが、これからどうするんですか?」


「そうなんだよね〜正直なーんも当てがないんだよ。はぁ……どーすっかな……」


 金もねぇ! 飯もねぇ! そして一番酒もねぇ! ないない尽くしで気が滅入るぅ!!


「あの……」


「ん?」 


 小さなため息をついていると、横から声を掛けられる。


「余計なお世話かもしれませんけど……さっきの見させてもらった限りでは、タマさん、結構お強いですよね? でしたら、街に行けばタマさほどならすぐに稼げると思うんですよ。

 すぐにお金が欲しい傭兵さんとかは、兼業でやってたりしますし……あっ、もしかしてすでに冒険者ですか?」


「いーや。山ん中ふらふらしてたりしてたから冒険者なんてやったことないよ。んで、俺、知り合いも居ないし、身分証明できるのも持ってないけど大丈夫なの?」


「あっはい。町に入る時に身分証明できるカードなどが無い旅の人とかは街に入る時に銀貨1枚とられちゃいますけど……たしかタマさんお金も持ってないんですよね?

 でしたら、お礼も兼ねて僕がお金出させていただきますので、入る時は安心してください。

 それとそういった身分の不明な人たちの身分を証明するためのものが冒険者証だったりしますので、是非登録したほうがいいと思います。

 それで、登録できましたら、是非町の西の方にある「タージェル商会」って所にいらしてください。大通り歩いていけばしばらくした場所に見えると思います。

 あ。冒険者ギルドは、今から行く門は東門なので門入って少し左に行けばすぐ見えますよ」 


「へー。身寄りのない奴の救済措置もあるのね。そっか、冒険者かー……わかった。ありがとう、早速そのギルドって所に行ってすぐお前のとこに合いに行くさ」 



 やっべー……入るのにお金必要だったんか……助けといてよかったー。マジよかったー……街に着いたとしてもお金なくて門前払いになるとこだったわー……


 これからなるべく襲われてる馬車見たら助けとこ。


 えーと……確かお金の単位は1銅貨=10円で 10枚で1銀貨 の十倍方式で  10銀貨分の価値が大銀貨、大銀貨100枚分の価値の金貨。


 えーと、10円が1銅で

 100円が1銀

 千円が一大銀貨で

 十万円が1金貨と。



 うん。覚えてたわ、ナイス記憶力!

 まぁさらに上が有るらしいけどどうせお前さん金に興味ないじゃろってガンテツに言われた。

 一応教わってたけどほんと今金が必要になるとは思わんかったわ。


 飯が。酒が。いやーお金って大事でしたね……

 そこらに鉱山有れば堀にでも行くがそんな環境あるようにみえねーしどうすっかな……



 そんなこんなで会話していると、結構移動したらしく、街の門が見えてきた。 

 しっかりと町の周囲が高い石の壁に囲まれていて、魔物の侵入を防ぐ作りになっている。


「あ、タマさん、門が見えてみましたよ」  

「ん」


 そして一旦門番に馬車を止められ、一度確認をさせられる。 



「お。アルじゃないか。身分証は……よし。タージェルさんとこの馬車だな。ん? その隣に居る女性は誰だ?」 


 あ、ですよね〜、やっぱパッと見わかるよねー。アルが襲われてる時余裕がなくて見てなかっただけか?


「あ、彼女は僕が街道の外れでゴブリンに襲われてる時に偶然近くに居て、僕を助けてくれた方なんです。

 それで、どうも旅の途中に転移陣の罠でシンシア大陸からここまで飛ばされてきたそうなんですよ」


「なんと! ゴブリンに襲われたと? そして転移トラップ? そこまで遠距離に飛ばす罠もあったものなのか……

 ふむ。 まずはそこの御方、アルを助けてくれてありがとう。

 大方此奴のことだからまた近道しようとして森を通って今度こそゴブリンに襲われたんだろうな」


「ギクッ」


「ハハ、やはり図星か。だがまぁ、良い薬になっただろう。これからは多少遠回りでも安全な道を通ることだ。

 そうすれば俺らの仕事も減って楽になる」 


「はい。肝に銘じます……」 


 此奴常習犯かよ!! チラッと横目にじとーっとアルを見ると、さらに申し訳なさそうに縮こまる。


「さて、悪い人ではないのはアル君の話で確認はできたが、一応決まりでな、すまないが被ってるフードを下ろして顔を見せてくれないか? 顔の解らない人間入れるのは門番としてちと問題になるので、外せない理由があったりする者が居たりはするのだが。その……」



 この門番さんこの少しの会話で真面目で人情あるってのがにじみ出てるね。そういう人ほんと大好きだわ。よくある意地悪門番とかの展開かと思ったけどそんなことは全然なかったね。



「ん? ああ。なんとなーくかぶってただけだから全然問題ないよ。ほい」 


 そういって顔を隠してたフードを外し、顔と髪を出す。 


 そして門番が目を見開いて驚く。


「っ!? ……こいつぁは美人さんじゃないか! 門番やっててもこんなの、そうそう見ないぜ? アル。お前って奴はこの人に助けてもらって本当にラッキーな奴だな!!」


「いや……確かに僕も顔見た時はビックリしましたけども、それどころじゃなかったんで」


「まーじで? 俺そんないい顔してるの? 人とそんな会わんから解らんけど……」


「そんなも何もアンタ、言葉遣いが男っぽいのがアレだが、その顔でニッコリと微笑まれてみろ。何も知らん男は間違いなく堕ちるぞ?」


「へー」 


「へーってタマさん……自身がお綺麗なの自覚してないんですか」


「はぁ、こんな旅人も居たもんだな……」


「ええ、そうですね。そして飛ばされたばかりで、身寄りが無いとのことで冒険者登録して身分を作ってみてはいかがですか?

 ということで街に来たんです。

 あ、タマさん実はすごーく強いんですよ! 事実僕が助かってますし、ギルドに行けばすぐに登録できるとは思います」 


「そうだな。身寄りが無いんだったらすぐにでも登録したほうがいいし俺らも助かる」 


「門番さーん。あーる君」


 二人が話してる最中、声をかけ此方に意識を向けさせる。


「ん?」「はい?」


 そしてすかさず にっこーと頬に人差し指を当ててのあざといスマイル。  


「「う!?」」 



 2人とも手を口に当て即座に俺から顔を逸らす。 


 えっ。ちょっとした悪戯でやったんだけどそんな効果あんのコレ。 まーじで?


「……マジ? 悪戯でやったんだけど……」


「うっン! オホン! と、とにかくだな! 確認は出来たので通っていいぞ!! えーと……」


「タマさんです」


「そうか、タマ君というのか。町の中はガラの悪い連中もいるだろうから、やはりフードは被っていった方がいいだろう。君のような容姿だと間違いなくそういうのが絡んでくるだろうしな」


 この門番さん紳士かよ。こういう人ほんと好きやわ。 

 というかやっぱそういうのはお決まりで居るんだね。


「ありがとう門番さん。いや、うーんと……名前は?」


「サジャンだ。東門はだいたい俺が番をしている」


「ありがとうサジャンさん。丁寧に忠告してくれて、ほんでしばらくこの街にお世話になると思うから、よろしくね?」  


「おう。よろしくな! それとさっきの悪戯はあまりやらないほうがいい。君の場合はいかんせん破壊力が高くてしょうがない」 


「あ、ハイ」 


「じゃあ、タマさん僕はこのまままっすぐ西区まで行きますんで、後ほどお会いいたしましょう。それまでにお礼の用意はしておきますんで」 


「タージェルさんに怒られておきます。の間違いだろ?」

 

 サジャンがニヤニヤしながらボソッと言う。


「うッ」


「おっと、悪い悪い。ほれ、早く行きなさい。次が来てしまう」 


「ひどいですよサジャンさん! まぁ、ほんとのことですけど……それじゃあ、失礼します」


 そういってアルは馬に指示を伝え足早にポコポコと去っていった。



 さーてそいじゃ俺もギルドってとこで身分登録でもしてくるかねぇ。


 そうしてフードを被りなおし、サジャンに手を振りながら左に歩き始め、「冒険者ギルド」ってデカく書いてある剣がクロスさせてある建物の前にまで着いた。 


 あ。俺文字読めたのね。日本語じゃないのに。

 ってことは文字も書けるんかね? 



 まぁ……とりあえず……入るか。  

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