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ハガネキ 〜彼女はメタルでハガネのやべー奴〜  作者: 爆散芋
6章 すったもんだシンシア
198/202

160ネキ 山? 谷? 今回そんなものありませんよ

 前回のあらすじ


 Q 芋の活躍は?


 A 別に農作物生活してエルフに竹槍特攻教えてるだけなのでカットカット。&美少女のペットでも十分贅沢過ぎるだろ。


 ーーーー



 鉄と人の音が止まぬ巨大都市“ヴィシソワーズ(ドワーフの国)”。


 今回のお話はガムをぷぅぷう膨らませガラの悪いチンピラさながらのていをしているメモとにらめっこしつつ頼まれ買い物をしている一応主人公ことタマさんではなく─



 ーーーー



 此処は複数有る冒険者ギルド施設を兼ねる複合型施設の一軒。


 通称「コソン〆(こそんしめ)亭」 正直呼びがややこしいので地元民はコンソメ亭と呼んでいる。


 建前は冒険者ギルドなのだが、えてして冒険者とは大概酒好きであるもので基本合理性によりだいたい何処のギルドでも複合している場合が多い。

 勿論例外も有るがこの国の国民性に置いては勿論そんなことは無く、複合型ギルドである。


 ─おや? ちょうど良い所に1人、男が建物内へと訪れた様だ。


 少し様子を見てみるとしよう。




「いらっしゃいませー、御注文ですか? お仕事ですか?」


「ああ今は良い、ありがとうな」


「かしこまりました、お見えになると思われますが、お仕事の方はお手の指す方になります〜」


「ありがとさん」


 男が店員兼職員の示す方に歩き、複数有る窓口のプレートを見回すかそれとも掲示板の募集でも覗きに行くか──と思案している所に、付近のテーブルで既に1杯やっている男から声がかかる。


「あんた此処初めてかい?」


「よくわかったな?」


「そりゃー窓口上の板なんか見流すのは慣れてないやつさぁ」


「成程、たしかにわかりやすいな、ところでアンタはなんで俺に声をかけたんだ?」


「なぁに、単純な話俺は此処に良く居て話とお節介が好きでやってんだ、良かったら俺に1杯奢っていかないか? 大体答えられるぜ?」


 話しかけられた男との会話を聞いてあるであろう付近の受付窓口の職員をチラリと見る。


 意図を察した職員は微笑んで両手で小さく丸を作り応える。


 ─様子的に信用しても良さそうなので男は1杯をその男宛に注文し、同じテーブルへと腰掛けた。


「ほい、ありがとさん。まずは話せるだけで良いから此処に来た流れとか聞かしてくれるか?」


「問題ない、片道護送の依頼で此処に来た。以前から此処に興味もあったのでちょうど良いと思ってな」


「じゃあしばらくここでゆっくりしていっても問題ねぇな?」


「そうだ」


「良いね、此処は良いおもちゃ(武器)屋見て回るだけでも1日じゃ足りねえからなぁ」


「生きる伝説の鍛冶師とやらも気にはなっていたしな」


「伝説? あぁガンテツさんそう呼ばれてんの?」


「なんでも勇者の剣を創り出した故話にはそう聞いている、ガンテツと申す方なのだな、俺も勇者とまでは行かなくともそのような方の作品が欲しいな、と、思うぐらいはするものでな…」


「あ〜わかる…めちゃくちゃわかるわぁ…でもガンテツさん基本武器売ってねえぞ」


「売っていない…?」


「あ〜いや売ってない訳じゃないけど、だいたい修理専門なんだわガンテツさんの店。アンタの獲物(愛剣)も持って行けば新品以上になって帰って来るぜ?」


「ふむ? コイツが直るのか?」


「よゆーよゆーなんなら大型魔獣用のバスターブレイドが根元からボッキリ折れたって数日でくっついて新品よ! 魔法だよ魔法。あの人に直せない武器はねーわ」


「それ程なのか…」


「まーよそ様で“伝説”って言われてるだけ有るよ。ほんでな、別にそれ1本だけでも良いがそれはそれとして脇にさす解体ナイフにしろ此処で新調して行きな。ガンテツさんに引けを取らない人ばかりだし此処で刃物防具買った日にゃもうよその街で買えないぜぇ〜?」


「場所を聞いても?」


「場所より人の名前で覚えときな。○○と○○と○○と〜〜…だ。 通りすがる住民に聞いて行けば皆教えてくれるぜ。ほれメモだ、貰っとけ」


「随分用意がいいな、毎回やってるのか?」


「そうだぜ〜なんならそのメモ店の人に見せりゃ割引いてくれるんだわ」


「よくできている、そして幾許(いくばく)かアンタの所に来るって感じか?」


「そうそう。わかってんじゃ〜ん、まぁ騙すとか一切ねぇし良い店ばっかりだから信用はして良いぜ」


「ふむ…信用できそうついでに此処のルールやら特殊な風習等、気をつけることはあるか?」


「やっちゃいけねぇ事? おにいさん教養ありそうだし大体は問題ねぇんじゃないかな? あーそうだなドワーフ族(ここの国の人)が酒好きなのは知ってるよな?」


「勿論」


「大通りの行商街でな、酒持って来て売ってるの見かけたら買いな。良いヤツあったら絶対買いな」


「何故だ?」


「言い方悪いがここじゃ酒が賄賂、まぁよそで言うとチップやそんな感じのもんになる。男女関係なくドワーフは酒に目がない。例外も居るっちゃ居るがレアケースだからまず大好きだ。買い物や頼み物の際にはチラつかせると得する」


「わかった、覚えておこう」


「それとたいして気をつける事でもないがあんまり嘘を好まねぇな、店の店主と話をして嘘を見抜かれると露骨に態度が悪くなる。だから嘘もやめとけ」


「気をつけよう」


「何色?」


B()


「すげぇじゃん。トラブルも問題なそうだな」


「治安が悪い様には見えないが?」


「あーいや当然良い。めちゃくちゃ良いなんならそんな奴はすぐにシバかれる、でもな此処は色んな奴が来るから特に此処(ギルド内)なんて面倒が毎日見れ─「どけっつってんだよ!俺は急いでんのがわかんねぇのかガキ!」─ほらな」



 ─少し離れた辺りで若い冒険者と年上の冒険者が揉めているようであった。



「なるほど」


「まーいい歳こいたおっさんの癖に若い子に当たり散らしてみっともねーみっともねー」


「何処でも無くならないものだな」


「ほんとね、なんでだろうね」


「止めに入るか?」


「いやしばらくは見とけ見とけ、横槍入ると職員も面倒だから少し泳がしてからそれに対応する職員があとから出てくるから気にしなくて─ぶフゥ!」


「うおっ」


「…えふっ、おふっ…ああいやすまん思わず笑っちまってな。言う必要無かったが必要になったわ。前言撤回、例外が来たぜ」


「例外…? 今2人に歩み寄っている長身の女性か?」


「そそ。とりあえず黙って見ときな、おもしろいもん見れるぜ」


「ふむ……ッ!?」


 ーーーー


「だから僕が先に番号(整理券)を貰ってるって言ってるでしょう!?」


「番号も何も俺が来た時ゃおめーいなかったじゃねえかよ! 空いてる窓に行って何が悪いんだ!?」


「そういう事じゃないでしょう! この窓は混む事が有るからそういう時は券をもらって順番に待つ決まりですよね!? それに他の人も順番に待ってるんですよ!」


「だから空いてるから行ったんだろうが!」


「だーかーらー! それは順番を皆守ってるからであって…「はいはい割り込みますよ割り込みますよ」!?」


「ぁあ!? なんだねえちゃん!」


「いやあんまりうるせーからもう収めに来たんだわ、えーとおじさんは空いてたから受付に来たんだよね」


「お…おうそうだ」


「ほんでおにーさんは順番待ちしてたけどおじさんが守らなかったから注意をした…でおーけー?」


「あ、はい」


 タマがガムをぷー…ぷー…と収縮させつつ少し思案し、ニッコリと笑いながら割り込みをした冒険者の肩に手を置き発言する。


「いやーわかるわーおじさん忙しいんでしょ? だから空いてるのに用事をすまそうとして何が悪いんだって事な!」


「お、おう話がわかるねーちゃんじゃねぇか」


「あ、貴女もです…」


 少し黙ってろと言わんばかりの圧と共にタマの人差し指が青年の口元へ指され、気圧された青年は言葉をつぐまされる。


「よーしじゃー筋通すかおじさん〜」


「なんだ急に出てきたと思いゃおまえ良いやtバブぅぅぅぅ!?」



 拳☆骨☆炸☆裂。


 問答のスマリイリースマッシュが男を襲い、床を突き抜け下半身が埋まる。


 頭上に星を廻し聞こえていない男に対しタマは言い放つ。


手前(てめぇ)はそこで終業時間まで最後の順番待ちでもしてろ。次同じ事やったら全身埋めてやっからなボケ」


 呆気に取られている青年の前に行き、今度は青年の肩に手を置く。


 一瞬びくつく青年であった。


「おにーさん年上にもきちんと悪い事は悪いって言えるの大事だからめげちゃダメだぜ、ことなかれなんてクソくらえだ、じゃ俺窓口横だからじゃーね、○○(職員)さ〜ん、シトリ(ガンテツの嫁)さんから納品メモ預かって来てんすけど〜、後修繕費ガンテツのツケ…」


 静かになっているギルドをよそにさっさと用事を済ませて出て行ったタマ。



 しばらくするとギルド内は何事も無かったかのように通常業務へと戻り、埋まっている男をスルーして受付の消化が進み、すぐ青年の番となった。


「Cの7番さーん、Cの7番さーん」


「あ、はーい…」


 ……

 …



 ーーーー


「な?」


「な? と言われてもな…有名人なのか?」


「そそ、ガンテツさんとこの用心棒、タマさんだよ。ここいらの界隈では“さん”をつけて呼ばない人はモグリだな」


「強いのか?」


「あ? あ〜……解ってると思うがやめとけやめとけ、気が狂っても喧嘩なんて売るなよ。あの人歩く治外法権だからね」


「ふむ?」


「あー別に信じなくても良いけどよ、あんな感じで自分を偉いと思って迷惑かけるA級パーティを決闘場で複数人相手に無傷でのしたりとか災害級の大型魔物をかかと落としの1発で仕留めたとか聞いてるから本当はどうかにしろヤベーよ」


「確かに腕は確かで有ろうが…治外法権とまでは行かないのでは?」


「ん? あーすまん。 細かく言うとあの人此処の王様ともめちゃ仲良くて融通めちゃくちゃ通せる上に前にどこだかよく分からん貴族さま蹴っ飛ばして私兵団が捕まえに来たとかでうん十人文字通り蹴散らしたって話だし取り押さえるのも無理無理、底知れない怪力持ちらしいから比喩無しに治外法権の権化だからね」


「そんなのがまかり通るのか?」


「通っちゃうんだなコレが。まぁ散々脅しといてなんだけど普通にいい人だからね、あの人。暇な時ガンテツさんの店言った時に居たら挨拶でもしてみたら? わかるよ」


「心得た…話を戻したいが他に稼ぎ場その他の事をもう少し聞きたいのだが…」


「いいよいいよ聞きな。その為に俺が此処に居るんだからな」


「ふむ、では……


 ……


 …


 ーーーー


「ただいやーす」


「あっおかえりタマちゃん! お使い帰ってきてすぐで悪いんだけどね、 ○○(知り合いの店主)さんから大釜の移設頼まれちゃってるんだけど大丈夫?」


「ん? あ〜いいよ。場所教えてくんろ」


「ごめんね〜いまさっき頼まれちゃったのよ、ちょっと急いでるみたいだから今日のうちにお願いらしいわ」


「へいへーい、おうぎーとお前も来るか? 案内頼むわ」


「あいあいッサーーーーーッ!!(ビュンビュンビュンビュン!)」


「跳ねるな跳ねるな、じゃーいってきやーす」


「お願いね〜」












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― 新着の感想 ―
[一言] >ガンテツさんとこの用心棒、タマさんだよ。ここいらの界隈では“さん”をつけて呼ばない人はモグリだな  つまり、さん付けしないと「さんを付けろよデコ助野郎っ!」なんて言われながら殴られると。…
[一言] 待ってました! 更新ありがとうございます!
[一言] 生きとったんかワルルルルレェ! 定期的に生存証明しないと潰してしっかり裏ごししてヴィシソワーズ(国家の礎)にするぞワルルルルレェ!
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