156ネキ モンストゥァーでリポDなエナジー的なアレ
前回のあらすじ
べこsの処理の最中、しらこの方を不意に見るリーフ。
(中々凄い弾幕してるわね……スマ姉さんにも負けてないんじゃないかしら……)
圧倒的速度により零れるしずくは形を変え魚弾に、発射待機の魚はしらこの周囲に滞空し、壁の役割も担う。
(……?)
ふと違和感に気付き、リーフが魚群を注視─
説明しよう! 特に言及はしていなかったがリーフちゃんはお目目がいいのである!
は? 弓持ちの目が悪いやつがあるかだって?
ええいうるさいうるさい!
そういう輩は左右に逆回転する百合の間に無理矢理差し込んで合法的極刑だ! よし余計な事言うのはいなくなったな!
閑話休題。
zoom。
zoom。
ずーーーむ。
(魚群に紛れる1匹だけいつまでも射出されない魚太郎顔の魚弾)
(なんかお兄さんみたいな顔のヤツいるーーーーーーッ!?)
ーー
アッそうですねあらすじあらすじ。
はい後そのお兄さんがピンチ。多分危険が危ない。
ーーーー
巨大赤べこのストンピング。
爆音? と共に辺りに砂煙が舞い、太郎の安否が問われる。
─おや? 何かが煙と一緒にきりもみ回転で飛び出し、景気よく数回バウンドしてダイチ達の方へと転がって来た。
「……ぶァー! セーフ! せーーっふぅ!」
「無事でござったか太郎氏!」
「流石にミーもおせんべにはなりたくないゾイ! 咄嗟に爆風を利用して間一髪って所ギョね!」
「今語尾ズレてませんでした?(頭のアレ、ポンと急に生えるんだ……)」
「気のせいだギョリーフちゃん! 太郎はキチンとキャラを守る魔族の鏡と言っても過言じゃないザウルス!」
「もしかしてさっきあたま打ちました?」
「でぇじょぶだリーフ、魔族はキャラ硬い事に定評があるにょりん」
「……」
「はいリーフ、なんか気持ち柔らかくてよく跳ねる当たっても痛くないゲル的なコラーゲン質の投げ捨てても土に還るひんやりした清潔なナニカ」
「おまえはっ、会話にっ、入って、来るなっ!
(トゥルペチプルル〜ン!)」
「とろみッ!」
「にゃっ!?(跳ねたゲル玉を追う猫)」
「お兄様、無事だったんですね。まぁあまり心配はしていませんでしたが(頭のアレブチポイー)」
「ににゃっ!?(それも追いかける猫)」
「ア゜っ!? ご無体な! もっと心配して♡ ところでこんな固まってたら皆轢かれるギョ! 早く散……」
「ダイチさんが既にちょっかいかけてこちらから気を逸らしてますが?」
「アイツ有能」
「リーフ♪」
「アッ! そんなもの拾って来たらダメよ! 捨てていいやつなんだから! ……太郎さんこれ爆発す「不意もぎは結構強い衝撃でも充てなければ大丈b「ニャッシャローイ!!」「「!?!?(葉&魚)」」
やった! ネコがやったぜ!
振りかぶりコラーゲン玉と時間差で投擲され、ゲル玉は砂付きの不快感を与えた後、跳ね返り赤玉の弾道をわずかばかり下にずらす。
結構な爆発が膝裏へ。
一瞬、赤べこの体勢を崩した。
『!?』
「ケッタないっすうに─ござ、ぬっ!?」
決定的な隙を逃さずダイチが剣に謎エネルギーを纏い赤べこの頚椎にトドメの一太刀。
─を加えたのは良いが、 如何せん甲殻は勿論のこと、密度の高い筋肉と頑健な骨に阻まれ途中で勢いが落ち─ 否。
ケッタは風矢爆弾にてダイチの剣の柄目掛け急降下ライダーキック。
リーフは砂を巻き込んだ矢も同時に放っており、眼前で炸裂させ情報の処理の隙を与えない。
ナハトはべこの顎下から影を伸ばし硬質具現化させ、漆黒の拳にてアッパー。
それぞれが噛み合い、べこの切断に成功する。
……が。
勢いそのままに頭を捨て去り逆走。
そう。 赤べこの「本当の頭」は 「逆」である。
「やはり尾っぽでは問題ないでござるか!」
「ダイチ! 追うわよ!」
「逃げてないにゃ」
「……逃げてない?」
「どういうことだギョ!?」
赤べこが目指した先は『洞窟』があった場所。
“現在”は、 “謎の水”が、こんこんと湧いており「泉」になっているが。
おもむろにケツ……否、「本来の頭」を勢い良く付け、飲み始めた。
飲む。飲む飲む飲む、飲む。
泉はあっという間に飲み干された。
『……グァァブゥゥゥゥゥ〜』
鳴き声なのかゲップかはたまた屁か、(絵面的に)大層な音を立てた赤べこが痙攣を始める。
「ちょっと、様子がおかしいわよ!」
まず猛烈な勢いで肉が盛り上がり、骨が伸び「尾」が再生した。
長く、首長に、尾らしく。
そして「2足」で逆立ち(立ち上がり)、下半身(上半身)が怒張。
隠れていた本来の昆虫顔も露出、複数対の複眼が怪しく光る。
さしづめ首なし昆虫巨人といった所だろうか。
背中が隆起、複数枚の羽が生え─
これはまずいと判断したダイチが咄嗟に切りかかろうと跳躍するが、変異の方が速かったようで、羽ばたきの風圧による吹き飛ばしを受け、ダイチは地上へと、べこは上空へ。
『ツバ……サヲ、サズゲルゥーーーーーッ!!』
赤べこの大気を震わせる咆哮。
「うむぅ! 間に合わなんだでござった!」
綺麗な着地! 10点!
しらことリーフが既に対空射撃を仕掛けているが、汎用の効く「腕」と化した頑強な鋏に全て防がれてしまう。
「うっそぉ!? 今のでピンピンしてんの!?」
「ひびどころかかすり傷1つありませんね……私の攻撃だと通りそうな所がないみたいです」
「ダイチ! アレここで仕留めるの?」
「勿論! 現在拙者達を警戒して留まっておりますが、逃走を優先されてしまったら逃げた先で何があるかわからんでござる!」
「飛び道具持ち役なんだけどさぁ! さっきのやつ結構良いのぶち込んだけどあの感じじゃ全練り撃っても怪しいわよ!」
「にゃーッ……」
「うーんケッタもダイチと同じ吹き返されるみたいね〜……やべぇな、コレ!」
「ダイチさん、何か策はありますか?」
「う〜む……剣をロンギ〇スよろしく投げると言う案もござるが、切った手前中々丈夫だったでござるし……リーフの矢でも傷ひとつ無いのを加味すると変化前より硬くなっていると思った方が良いでござろうなぁ……」
「ロン……何!? 良いから私もぶっ倒れるくらいのやつ練り込むからソレで何とかするわよ!」
「にゃーッ……(吹き飛ばし引き付けちうねこ)」
「まぁ、手傷はあるんでね? ダメな時はナハトちゃんに任しとき」
「私も何とか注意を引けるように努力してみま……お兄様?」
ふとしらこが兄が先程からいない事に気が付き、周囲を見回す。
「あっち! 泉の方……うぇぇ!?」
「お兄様!?」
太郎は見つかったが、何を思ったのかふらふらと泉に吸い寄せられていて、べこが飲み干したものの人が飲むには十分すぎるほどの量が残っており、何を思ったのかノータイムで泉を太郎もすすっていた。
「んぉぉおおお! この弾ける喉越し! そしてえも言われぬ甘さ!その……フフ……力が漲って来ましてね」
「ちょっと、アンタのお兄さん身体からなんか凄い煙出てるわよ!?」
「これは……まさかッ……進化!?」
「進化ァ?……ナハト!」
「説明しよう! 私ら魔族は結構ふとした事でエネルギーを得るとパワーアップしたりしなかったり覚醒したりしなかったりするのだ!」
「雑ぅ! ……しらこさん?」
「ええハイ。実際したりしなかったりします、……もしかしてご存知ない?」
「いやぁ……アタシらはないかな……そういうの」
「フン、これだから雑にパワーアップできたりできなかったり進化したりしなかったりできない種族は……」
「いやいやいやいや……」
「お兄様ー! なんで急に拾い食いしたんですか! 晩に甘焼き食べる予定だったじゃないですか!?」
「おっ♡ そうだったそうだった……って違うギョよしらこちゃん! アイツがこれでパワーアップしたならミーたちもパワーアップ! そう! 見てくださいよこの触覚! みなぎりすぎてバッキバキですよ!」
「あっ、……うわぁ! なんか太いし血管浮いてるぅ、うわぁ!」
「ヒェ……お兄様」
「はい古の戦士ティブが発明したとされる空間認識を微小に歪める半透明の空間張り付きプレート、通称“配慮板”添えとくでござるね(シュバッ!)」
「君結構な戦闘してたはずなのに凄い器用だギョね!?」
「卑猥で草」
「うわぁ……うわぁ……」
「お兄様……」
「ノォォォォン! 違うギョね! このッ! こんな……はい」
「あ、はい(取って叩きつけると思ったら律儀に返すんだ……)」
「ともかく今からミーは今からパワーアップするギョ! とくとご覧あれッ」
「ええっ!?」「まさか……」「ほう」「なんですと!?」「にゃーッ……」
そういうと太郎は全身に力を込め、肉体を急激に変化させてゆく。
「はァァァァァ!」
まるで怒張した海綿体だった触覚がシュッと引き締まり超圧縮。細くもしなやかな触覚に。
「お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ん!」
ミチミチモリモリと服を服をはち切らんばかりに肥大化した筋肉はなんだかんだいつもの太郎サイズにまでなり、
「おびゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
肩や膝等から禍々しい程の突起が生え、徐々に縮小し服に穴だけが残る。
「むぅぅぅぅぅぅぅぅーーーん!」
そして天空の覇者を司る程の悪魔的剛翼が生え─
何事もなかったかのように引っ込む。
─そして、幾多の変態を終えた。
「フフフ、これにて魚太郎……完 全 変 態ッ !」
「な、何も変わってねぇーーーーーーーー!?」
リーフの魂のツッコミ。
「お兄様? 真面目にやってくださいね? で、何かあるんですよね?」
「あ、ハイ、あります」