番外ネキ potato The Dropper
─何処でもない何処にでもあるようなちきうと呼ばれるような呼ばれないような、
─何処にでもいるような、これはそんな男の数奇なお話─
はァ〜〜今日も朝が来る。 クッソみてえに暑いしのもないし煩い蝉も聞こえなくなってくる季節。
年中秋で良いんだよ季節なんか……
心の独り言を思いながらもスマホのアラームに起こされ、洗面台にて覚醒。
これだけは何があっても欠かすつもりは無い「習慣」をするために男は草履を履き、庭へと出る。
「お〜今日も元気元気、冬迄たっぷり太れよ〜お前達……」
家庭菜園に植えている野菜を育て、食べる事が趣味の男であった。
現在は根菜系、 じゃがいもに熱が入っている様だ。
「水ヨシ虫ヨシ鳥避けヨシ! さァ〜仕事の準備すっかぁ……」
散水を終え、渋々と支度をするかとしようとしたその時─
空が一瞬光り、何事かと上を向く男。
「お? なんだかみなr─
男は光に呑まれた。
─りか? ん? んん?」
ふと周りを見回すがいつもの見慣れた風景ではなく、有るのは家と庭、そしてそれ以外何も無い只只白い空間になっていた。
……ロー……ハロー……ハローハロー、あ、日本語か。どうもこんにちは、僕の声が聞こえるかい?
「うお!? なんか聞こえる!?」
お、聞こえるみたいね、OKOK。早速だけどどういう状況か解ってる?
「あーいや、ありきたりな貴方は神様でこれから僕は転生しま〜すとかそういう流れでしょ? コレ」
YES、YES! いや〜やっぱり巷にそういう噂広めとくとほんと説明はぶけて良いよね〜!
「こう、そういうの本当にあるんすね、てっきりフィクションのものだと思ってましたけどあるもんなんすね」
そうだね〜、本当は結構あるんだけどフィクションで建前建てといた方が事前知識として楽なんだよね〜。
「随分とメタな神様っすね、大体そんなもんなんですか?」
いや? 僕がこんな感じなだけで君達の神話でも色んな神様居るでしょ? 僕らも結構個性あるんだよー。
「はァ……ちなみに貴方はなんて呼べばいいんですかね?」
僕? 僕はまだ存在を観測されてないし、これからもされないから適当に神様で良いよ〜。
「結構凄い神様なんすね……」
自慢じゃないけど結構いいところ神だからね〜。君達にわかりやすく例えると全宇宙の元締の直属とかそんなん……まぁNo.2で良いかな? ただ僕より上はもうサーバーみたいなもんだから実質僕最高神。イェーイ!
「えぇ……そんな事俺みたいな一般市民にぽんぽん言って良いんすかソレ」
まぁ、別に言ってもスケールデカすぎて話さない方が楽だとは思うよ。 消すことも出来るけどそうしない方が面白……信仰も結果なんか貯まるので美味C。
「面白いって言いかけたよこの神様……」
そりゃおめーさん言っちまえば神なんて享楽主義よ。ワハハハ!
「あ〜まぁでも話はできそうな神様っすね」
お? わかるぅ?? いや〜君良いセンスしてるねぇ! 気分良いからちょっとくらい贔屓しても良いよ! そいじゃ〜本題に戻ろっか?
「あ、はい、それなんですけど、なんで俺は此処に来たんですか?」
来た理由? 先に謝っとくけど、君達がなんか作業しててうっかり手に持ってる道具滑らして慌てて取ることが有るよね?
「そっすね、咄嗟に拾おうとしますね」
そそ。そんな感じで慌てて掬ったらちょっと抉っちゃったんだよね。それが今の君と家その辺。
「ああそんな感じなんすね……大体理解したので戻して頂けると有難いのですけど……」
あ〜〜それなんだけどね、君には悪いけどもう無理なんだわ〜。
切り取っちゃったせいでできないことは無いけどめっちゃ大変なんだよね、向こうの管轄にも申請入れて巻き戻すとか大々的にとかで色々……まぁ悪いようにはしないからここはひとつ別の世界に……ね? 頼むよ〜
「えぇ……例えるなら硝子が欠けたから欠けた破片は溶かして別の硝子に使うとかのニュアンスなんすかね」
そうそれ! いや〜君随分とイイネ! だから手間的に君に色つけてセカンドライフ送って貰う方がとっても楽なのよ!
「ええはいスケールは違えどそういうのは大変だと察せますから優遇してくれるだけでも有難いと思います」
そう? じゃあ要望とか有ればまぁなんでも聞けるよ! イケメンにしろとか王様の生まれになりたいとか……
「いやぁ……そういうのいいんで前世の記憶消してどっか見繕って貰って良いですかね」
あ〜悪いけど記憶消しは駄目よ、ごめんね! こういう場合は集まる信仰の関係で消さない方が助かるのでコレも折れてくれよな〜
「神様も色々大変なんすね……」
まぁ君達は君達、僕達は僕達で色々あるのさ。
「じゃあ特にイケメンに〜とか金持ち〜とか無くて良いので何処か穏やかに暮らせそうな……」
あ、ちょっとまって。
「はい?」
なんか君調べたけど中々面白くてすごいね? 君もしかしてめちゃくちゃ人間食べてた?
魂の総量って言うか人間のそれじゃないよ、ハハッ
「いや怖い事言わないでくださいよ! 俺は自分の庭で野菜植えて食べるのが大好きなだけですって!」
あ〜、野菜! 野菜ねぇ! 納得納得、それなんだけどね、君とっても大切に野菜植えてたでしょ?
「そりゃもう手塩に」
それがなんかすごくてね、魂宿るくらい大切にそりゃもうね、そんなもんばっか食ってたからそれはもうえげつない事になってんだわハハッ、なにこれおばけ? これだから神様はやめられないね! 面白すぎる。
「えぇ……? あーでもそう聞いて植え方間違ってなくて良かったって思いましたね、ありがとう、ごちそうさまでした」
もしもし、俺俺、そう僕神様……面白い魂見つかったから良いとこ送りたいんだけどどう?……前僕があの子送ったあっちが良さそう? おっじゃあ、そこで! OKOK、お菓子は振り込んどくからさ、じゃあよろしこ。
「……誰かと話してたんですか?」
うん、そうそう。 次の君の生まれる世界は剣と魔法のファンタジーって感じのなんでもアリの楽しい世界だよ! 向こうに行った後は悪逆非道の大罪人でもヨシ、世界を救う英雄になるもヨシ! 好きに生きてね。
「別に悪い事止める気はないんすね」
まぁ悪い事いい事は君たちのルールだからね、僕達がどうこう言うのは野暮なんだよね。
だから好きにやっちゃって良いよ〜。
あ、「僕」はの話だから現地の神様は言う権利が有るのでそういうのは違うとわかって貰えると助かるよ。
「あぁそこ辺りは弁えられるので……」
いやほんと珍しいね? こう、結構皆イケメンモテモテ云々かんぬん言ってくるの多いよ?
「枯れてる訳じゃないっすけど俺は良い大人なのでこう……中学生男子が何も考えずに言っちゃうような感じはちょっと……」
おほほほ、ほんと面白いわね君、じゃあ、記憶はあれど見た目そのままで森に居てなんやかんやで住み着くの好きそうじゃない?
「あ〜そういうの好きですねえ」
OKOK、言葉とかそういうめんどくさいのはこっちで何とかしとくからさ、好きにやっちゃってくれや。
「ありがとうございます」
君聞き分け良くて助かるよー。
「いやぁ……こういうのって神様が僕らの目線にあわせてくれてる訳ですし増長して歯向かうのは違うって言うか……」
むほほほほ、やっぱ君僕は大好きよ。
あ、何時もなら大体付くお決まりの無限収納とかあるんだけど君なんか規格外っぽいね、ごめんね。 なんか埋め合わせしとくからさ。
「そこ辺りは餅屋でしょうしお任せしますよ」
悪いんだけど人間の枠に収まらないからなんかにして良い?
「お好きにどうぞ(こういう時変に注文するとろくな事ないからなぁ)」
ほいほい、それじゃあ、次に目覚めた時は異世界転生しちゃってるからね、楽しいセカンドライフやって来るんだよ〜!
「なんか色々とありがとうございます、それでは失礼? しまし─
…………
……
…
あっ。
やっべ。
そう言えば庭にも魂もう1個あったじゃん……
あーあーあー、コレもう混ざりくって無理だなこりゃ……
随分となんとも言えない感じになっちゃったけど…… 良いか! 結果面白いからOKだよOK!
……一応起きた時にごめんねの紙くらい添えとくか。
不意の事故で許してにゃん☆
……っと。
OKOK、可愛く書けたね。
ヨシ!