150ネキ お茶会とお茶泥棒
前回のあらすじ
新キャラ多すぎやん
ーーーー
「あっ、ちょっ、マメノキ様先に行かないデくださいよー」
マメノキの出てきた“門 ”から後を追って出てきた者は、蟻だった。
二足歩行で多少言葉に癖があり黄色の頭部保護帽子─いわゆるヘルメットを被っているが、
まぁ蟻だった。
「おや? 洞窟蟻かい? 話をする子なんていたんだね、マメノキ君もついに仲間作ったと思ったら珍しい子にするとは」
「いや、別に仲間って程でもないが……まぁその説明をする為に連れて来たんだわ。ホリベ」
ホリベと呼ばれる蟻の彼がメットを外して軽く頭を下げ、再度被り直して話を始める。
「アァはいそれではお話変わりまシてまずはよろしくお願い致シます、初めまシて。既に出ましたすケど“ホリベ ”ちゅーモンでス、巻き巻きでお説明させて貰いますガ、ワタシらの趣味とマメノキ様の住処がガッチャンコして、まぁワタシらも趣味さえ出来ればそれで良いのでなんやかんや契約して話せるようになっテ働かせて貰ってるワケですワ。……いきさつ気になりまス?」
「是非ぜ「やめろジン、話が長くなって面倒だ」
「左様でスか」
「うーん残念」
「俺は忙しいんだ、今日もわざわざ来てやったのは一言くらいは教えてやろうって言う気まぐれだからな」
「じゃあその気まぐれの理由を是非聞かせて欲しいなぁ」
「ふふん、しょうがないな。仕方ないから話してやろう、そう、あれはある日の事! 俺はダンジョン拡張の傍らコイツらを見つけてな、排除しするつもりだったんだが横穴の出来が思ったより良かったんでな、まぁ寛容な俺は許してやって俺の野望の手伝いをさせてやってたのさ」
「ほうほうなるほど」
「そして偶然古代遺跡を掘り当ててな、その遺跡にあったモノが俺にピッタリだったって訳だ、このゴーレムマスターマメノキ様が魔王へとなるべく混沌の神がプレゼントしてくれたんだろうってな!」
「魔王? そりゃきっと相当なヤツなんだね?」
「勿論、そしてお前達には俺の邪魔をするなよって言う釘を刺しに来たのよ」
「な〜るほど、その辺は不可侵条約に違反しない限りは僕達も何もしないから安心してよ」
「おう、それじゃ俺は忙しいから戻る。おいホリベ、行くぞ」
「はいはいうけたまわりまシた、それでは皆様おいとましまス」
高らかに笑うマメノキと、ヘルメットを外し会釈して被り直し後を追うホリベ。
2……人? が“門 ”をくぐって帰ると“門 ”は消えてしまい、一室が静かになった。
「マスター、嵐のように去っていったマメノキ様とやら……」
「ああ」
「マスターとキャラダダ被りでしたね」
「そっち!?」
ロッジが椅子から軽く滑り落ちる。
「そうなのかい?」
「はいジン様。それはもうもしかしたら生き別れた兄弟かもしれません」
「マリエさん? 君は一体僕の何処とあのマメなんとかってのを被せたのかな?」
「3枚目な所とか」
「確かに僕は2枚目とは自分で思っちゃいないけどアイツよりは上の2.5枚目って所じゃない?」
「おや、私てっきりマスターは53枚目程行ってるかと思ってましたが」
「僕の顔はパイ生地かな?」
「自分でゴーレムマスターとか仰る辺りとか」
「確かに似てるけど僕普段から言ってたっけ???」
「友達いなそう」
「今の立場で友達居たらおかしいよね?」
「ですが現在はそんな事無かったですね、ここにおられる皆様おりますし」
「認定早くない? あでもまぁー……うん、そうだね」
(会話が面白いので聞きに徹する微笑む外野)
「他にも無理やり被せようと思えば幾らでも……あっでも決定的に違う所ありましたよ」
「ねえ、今無理やりって言った? 言ったよね? で、違う所って?」
「ホリベ様も予測の範囲に過ぎませんが優秀な御方でしょう。しかしスーパーでウルトラなパーフェクトかつ瀟洒なマスターの配下で有る私の存在は唯一無二なのでもう勝ったな風呂入ってくるでございます」
「この初対面の多い場面でいつもと変わらずに慇懃無礼かましてくるのに?」
「いえ、だいぶ温情で控えておりますよ?」
「表現を?」
「表現を」
「じゃあ敢えてお聞きしますがマリエさん? 僕と君はどういう関係だい???」
「それはもう良いお肉のステーキとそれを引き立てる添えのコーンですね」
「あぁなんだわきまえて……いやちょっと待ってそのコーンは……」
「ご心配無く、私でしょうね」
「よかったぁー……」
「ちなみにマスターはブロコリです」
「お肉だれぇ!?」
安堵から一転テーブルを叩いてナイスツッコミのロッジ。
やり取りを眺めていた一同であったが遂にセフィが堪えきれず笑い出す。
「わーはは! お主らもしかしていつもそんなやり取りをしとるのか! うむ! われはまつ毛
お前を気に入ったぞ! ロゥに良い服も着せてくれたしな!」
「睦まじく素晴らしい関係にございますね」
「へーへーこの血も涙もないヤツと仲良く見られてわたしゃ大変幸せにごぜーますよ!」
「まあ血も涙も持ち合わせておりませんが油と冷却液なら流れております故」
「屁理屈やめてね???」
「わはは! いやゆかいゆかい! なんならもっと前から来とけば良かったのう!」
「セフィちゃん大きい時は歯牙にもかけなかったからねぇ」
「まぁわれもロゥに別れる前は結構な暴君じゃったからの、魔生何が起こるかわからんもんよな。えーと……」
「ジン様ですよセフィ様」
「そう! ジンとやら、また有れば呼べ」
「勿論勿論。いやァ魔生何が起こるかわからないのは同感だよ」
「……帰って良い?」
ロッジとセフィグループとは別。 そろそろ良いかとモイが尋ねる……が、ジンとマッカォがまだ早いとひきとめた。
「まーまーすぐ帰るのはちょっと勿体ないからお菓子だけでも食べていってよモイちゃん」
「そうよモイちゃん、今回のおやつはワタシが用意したのよ! ジンに任せても適当なモノしか出さないんだからもう! ほら! モインちゃんも説得して説得して!」
「モッ」
モイの横に浮かんでいる白毛玉が一言発する。
……それで伝わるのか?
「……まぁモインが言うから味見くらいは……ん、美味しい」
「モッモッ」
仕方なしとの事にて1口焼き菓子を齧る。
……が、 ことの他美味だったらしくサクサクサクサク手が止まらずあっという間に少々からげっ歯類へと一丁上がり。
「ね? 今回は美味しいでしょう?」
「ん。ふぉれならまはきへもひい」
「ワタシ沢山作ったしお土産分もあるのよ」
焼き菓子が美味と聞いて特にアクションがなかったちゅうn……ガーンの右手から影か伸び菓子を呑み込む。
「う、ウメェェーッ!」
「ふむ? 我にも1枚頼……「ジブンデトレバァ?」
「…うまし。甘美なる供物」
「本当だ美味しい美味しい、これなら次からマッカォに頼もうかな(サクサクサクサク)」
「アナタがあまりにも無頓着すぎるのよジン。こないだなんか何よアレ、固めた砂?」
「いやァ買い出しに出かけて街廻ってたら冒険者用の携帯食か何とかで似てたからさぁ〜、みつけたしもうこれでいいかなって買ったらハズレだったねぇ」
「じゃあ次からワタシが用意するわよ」
「お〜け〜」
「おいひい……(サクサクサクサク)」
「うまし(サクサクサクサク)」
「美味しい美味しい(サクサクサクサク)」
「……嬉しいではあるけどそんなに欲張ったらアナタたちお腹壊すわよ?」
一方ロッジセフィ。
「うまーい! ロゥ、作り方覚えて帰るのじゃ!」
「かしこまりました」
「……へぇ、いい味してるじゃん」
「マスター私マッカォ様に是非お訊ねして参りますねではいってきますソレでは」
言うが早いかロッジの返事も聞かずにマッカォの所へとクッキーの作り方を聞きに行くマリエ。 そして少し遅れてロゥ。
「まつ毛、お前の所のアイツ本当に機械なのか?」
「僕はロッジって名前があんの、君だって銀ロリだとか言われたら嫌でしょ、セフィ様とやら」
「うーむなるほどぉ。あいわかった、われは寛容なので一理あると認めよう。ついでに様でなくてもわれはきにしないぞ?」
「へーへー大変有難くてもう感無量ですわ」
「ところでお主のところのアレが焼き菓子を口にした途端様子がかわったんじゃが?」
「……んー……あー。悔しかったんじゃね、美味しくて」
「ほーあれはそうだったのかー……ほんとに機械か?」
「わかんね」
マッカォに2人が弟子入りしつつ特に問題もなく水面下の知られざる会合があった最中─
はい。例のヒゲ。 例の店。 例のネキ。
豚さんもいなくなり(帰した)溶けてるぎーとの顎を撫でつつアルドの茶を横から盗み─
「そうだ、京都に行こう」
「キョートだかなにか知らんが言えば淹れてやるから我の盗るのやめて」
次回、キョート編。
……何処だよ!