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ハガネキ 〜彼女はメタルでハガネのやべー奴〜  作者: 爆散芋
6章 すったもんだシンシア
180/202

146ネキ ワサビは取りすぎるとむせる

 前回のあらすじ


 脱力草(ダルシンド)は水分の多くなる5の月、川縁の苔に交じって生えてくる。 綺麗な水でしか育たずに、すりおろして空気と反応させると成分が変化、気化したソレを鼻から吸い込む、皮膚に触れる等々すると即時に、月曜日の朝、しかもマラソン大会が有る並の気だるさに襲われるらしい。



 ちなみに植物的にはワサビの仲間。




 Q 豚さんに効いてないのは?



 A 毒使いが毒うっかり効いたら間抜けやん。少量摂取の繰り返しで耐性付けてるよ。(飲まされてしごかれた模様)



 ――――



 ─森の中に剣戟の応酬が響く。


 おおかみがダイチの剣を弾きつつ飛び込み、それを仰け反って躱す。


 交差した瞬間にもダイチが肘鉄を(こころ)み、おおかみが裏拳で相殺。


 弾かれるがおおかみが樹木を蹴り跳躍、ダイチが跳ね起き復帰で違いざまに数回の斬撃のやり取り。


 しばらく応酬が続き─ダイチが渾身の唐竹割り。

 それをおおかみがダガーを交差して受け止め、弾きつつバックステップで距離を取って仕切り直す。


「おおかみ殿と申されましたな、……お強い」


「……人間、名は?」


「ダイチと申す者でござるよ」


「ダイチ、お前も相当やる」


「お褒め頂き恐縮にござる」


「連れを纏めて引返すつもりは?」


「まぁ選択肢には上がりますが剣を交えた手前、白黒つけてたいでござりましょう?」


「……違うな。今までと違う。初めて見るタイプだ」


「拙者も興が乗ってきました故に、提案が有りまする。此方は貴方の命等々を獲るつもりは毛頭ござらん、そして、仲間の手出しも無し。このまま一騎打ちで決着をつけたくあり申す」


「確証は? 私が回復した仲間に挟撃されない保証は何処にある」


「─此処に」


 そう言い放ったダイチは剣を鞘に戻して自身の首を指し、両手を挙げて無抵抗の意を示した。


「ダイッ……」


 リーフが叫ぶよりも疾くおおかみの得物がダイチの喉元へと迫る。皮膚に刃がくい込み─


 そのまま振り抜かれた。


「……チ!」


「……薄皮を斬られて尚反応しない、と」


「肝は冷えた所ではござらんかったが拙者の慧眼が露見してしまいましたな(早口)」


 首は落ちてはいなかった。


 おおかみが繰り出した刃は薄皮“だけ”

 を切り即座に引き戻していたのだ。


「面白い! 乗った。ダイチ、お前は本当に見所がある。その度胸を買って1つ騙されるとしよう」


 おおかみから小さな葉に包まれた物が投げ渡され、中を確認するダイチ。


「これは?」


「傷薬だ、疑うか? 棄てても構わん」


「成程それでは有難く」


 葉の包みを剥がし、ひとすくいし四角く柔らかいバターの様な軟膏を躊躇なく血の滲む自身の傷へと塗り込む。


 すると傷口が柔らかい緑の光に包まれ、ゆっくりと傷が無かったかのように塞がる。


「……おお! これは?」


「なに、此処には色々生えてるんでな、多少の心得が有る。……残りは返さなくても良いぞ」


「これは良い物ですな、そして見事なお手前(調合の腕)。……さて、リーフそういう事ですので2人の面倒でも見ていてくだされ」


「……言っても聞かなさそうね……それに()()は嫌いでしょ。わかったわ」


「あい助かり申す。……そしておおかみ殿、お待たせしましたな。……話の最中に律儀に待たなくても宜しかったのでは?」


「偶然だが俺も()()は嫌いでな、なに、構わんよ」



 そしてお互いに少し場所を移して剣を抜き─

 見合う。


 ダイチがこっそりと“鑑定”をかける。

 そしてピクリと眉を少し反応させた。


「─()()な?」


「成程これは骨が折れる所ではござらん……そして解りますのか?」


「“見てくる” 奴もいる。 と教わったものでな、この魔力の感じは「見た」流れだ」


「いやはや世界は広いですなぁ! これだからこの仕事は愉しい!」


「そうだな、こんなに心躍るのは久しぶりだ!」



 その言葉を皮切りに、誰が開始を宣言した訳でもなく交戦を再開した。


 再び激しい鉄と鉄の擦れ、ぶつかり弾く甲高い金属音。


 ダイチが見た“鑑定”でみた物は─


  ̄ ̄ ̄ ̄

「さばくのおおかみ」


 ・種族 ヘッドポークマン(特異個体)


 ・***


 ・***


 ・****(鑑定遮断により閲覧不可)


  ・異 能 生 存 体


  ̄ ̄ ̄ ̄



 そしてしばらくが経ち、


 未だ激しくも何処か愉しそうに剣を交える2人


 毒が抜けて回復がしたもやる事が無いので顛末を見守るリーフ、小腹が空いたので菓子を服の裾から取り出してかじるナハト、草の上にシートを拡げてくつろぎ始めたケッタ。

 ……なんか2人程お茶をし始めたがまぁうん。

 リーフは内心此奴ら放って置けば良かったのでは? と思い目頭を抑えていたが、2人に説得されて渋々休むことにした。


 少し離れた所にケッタが一口で補給出来る果実を置いておくと、おおかみとダイチが通りがてら回収、戦闘しつつもお互いにしゃぶしゃぶと取り合って離れて行ってしまった。


 ……マラソンの補給所かな?



 そんなこんなでもう少し時間が経ち─


 森の中を高速で振り子移動する緑の影とその影に抱えられる何か……人? 人だ。


 それがダイチ達の所へ向かっていた。

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― 新着の感想 ―
[一言] ……なんか急に、ウドのコーヒーを飲んでたら気管に入って咳き込むイメージが? と言うか、出荷しようとする度にどこかへ消えるらんらんとか、どこまで反則ならんらんよ? (´・ω・`)おほー!
[一言] しゃぶしゃぶと…………なるほど、後で豚しゃぶにするんだな相分かった。後で解体しやすいように首を一突きで仕留めるか、電流を流して脳死状態にすると傷が少なくてすむ。1番いいのはガスで仮死状態にさ…
[一言] なんかこう、シリアスになりきれないよね まあ面白いんだけど
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