17ネキ アフターサービスがいいモノとは限らない
前回のあらすじ
楽しい時間は早い
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はい! 此方現場のタマでーす!
はい。今ですねー、
私は大草原真っ只中におります。
いや、草生えるとかのそういう意味ではなくてですね。
まぁ確かにあまりの出来事に草生やしてるんですけど。
まぁ、ちょっと時間を巻き戻して説明しましょか。
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「タマや、忘れ物は無いか?」
「いや、忘れ物っつっても最低限の持ち物以外ガンテツのボックスにはいってるじゃーん」
「まぁ、そうなんじゃが……こういった確認は大事じゃよ」
現在、ガンテツと一緒にドワーフの国に遊びに行くべく、旅路の準備中である。
「まぁねー。そいじゃ早速出発しようぜー!」
服装はさすがにシャツは周りから浮きまくるのでガンテツに作ってもらった旅人の服を着てるんだぜ!。
こう、どこにでも居る? ような如何にも流れの旅人って感じに作ってあって、地味の中にカッコよさがあって俺は非常に気に入ってるんだよね。いやこれ、くっそカッコイイわ。
アレか? 素材が良いからか? (自画自賛)
なんで旅人かって言うと、帰り道に俺を偶然拾って仲良くなったから国に来てみるか?
みたいな感じの設定で行くことに話がしてあったり。
マントに長ブーツとお洒落に着こなしてるぜー。自慢じゃないけどまいぼでーはスタイル抜群なのだ。
何を着ても似合うぜ? 着なくても構わんぜ?
あ、露出狂ではないです。
そんなことを思いつつ、集落の入り口に岩男君たちが集まって見送りに来てくれた。
「ボス、いッテらっしゃイ」
「おーう。どうせまた戻ってくるし、また日向ぼっこしようなー」
実際何年遊びに行っていつ戻ってくるかなど決めていないが、彼等の時間感覚はガンテツが来る間隔さえ昨日のように話すあたりすごーくゆっくりなのであろう。
まー……千年も寿命あればそうよね。
ちなみに体に生える苔は彼らにとって勲章(長生きの証)らしいよ。
ガンテツがお願いしてちょっとだけ分けてもらってるの見て何に使うの? って聞いたら霊薬の素材として優秀らしく、国に持って帰れば錬金術師とかに有りがたがられるんだってさ。
へー。ファンタジー。
ま、そんなこんなで、
ついに出発だ! という時に、
不意に空に青い魔法陣が浮かび上がり、どっかで聞いたことのある声が聞こえてきた。
『ヤッホー。おひさー! ワシじゃよワシ。神様だよ!』
「「……は?」」
空を見上げポカーンとするタマとガンテツ。
『い〜や〜ごめんね? 君送った後、ポップポイント間違っちゃったから補填してあげようと思ってたんだけど、あと五分くらい良いかな? って思ってたら6年も経っちゃってたごめんごめん、ハハッ。
後、基本的に送った後は当人がどんなに偉くても介入してはいけないルールなんで、さすがのワシでも更に上の存在に怒られちゃうからね。
いや、マジマジ。それで介入するための申請書送ってて受理されるのも遅かったのがソレも原因の一つなんだよね〜。
まままま、さてさて、ちょっと読み込みまで結構時間あるし、何か聞きたいことある? 許可もらってるから、割となんでも答えられるよ〜』
……久しぶりなのに初っ端からテンション高く捲し上げてきましたね……ガンテツはフリーズしてるし、丁度いいから前々から気になってたこと色々聞いちゃろ。
「俺の体重やたらクソ重くて不思議現象てんこ盛りなんすけどうなってんの? 後、乗り物乗れなくて困ってるんだけど……」
コレ。とにかくこれが一番聞きたかった。これさえ解決できれば他は正直この体に困ってることなどまず無い。
『え? ああ、体重? ああー、それね。創る時につい、テンション上がって能力盛り過ぎちゃって質量キャパオーバしまくって悩んでたんだよねー。
直さないでそのままだと地面が負けて面白い事になっちゃうし、どうしようかな〜って時にね、転生者特典のキャパの大部分食ってるアイテムボックス能力ちょーっと改変して、体重をボックスの亜空間に仕舞えるようになれば能力下げずに万事解決じゃね?
って! ことで! 君のストレージ機能は体重の処理に割かれてるから君アイテムボックス能力ないんだよねーハハッ。ウケるw。
まぁ、そこは個人の能力だけじゃなく道具としてその世界にあったりするから自分で見つけたりして何とかして?
今のは直してあげられない代わりに、今聞いた乗り物に乗れない不具合調整して君の最低体重調整やらめんどくせー電磁波云々調整してあげるからそれでイーブンってことで……ね?
こんなアフターサービスできるのも今回だけよ〜?』
エッ。
俺最初から持ってなかったんじゃなくて、あるけど体重専用になってるから無いって事かよ。
まぁ……言ってたようにボックス持ちのアイテム見つけれれば解決するから良いとして、乗り物の仕様変えてくれるだけでも超有り難いわ。
最低体重とか、いまいち解らんけど、とりあえず乗れるってなるならそれで全然良いわな。
今までの如何にも的な説明とかあっさりちゃぶ台返すのはすげーな神様。
「……神なぞおったんじゃな……」
あ、ガンテツが再起動した。
「だね。 落とす位置間違えたの謝りに来たみたいだよ、だいぶ遅くなったけど」
ほんっとーにな! 6年経ったわ!!
おかげでガンテツと知り合えたのは僥倖だけど。
『……オッケー。 調整終わったよ。君の最低体重は100Kgになるよ。
今から転送するからその頃にはしっかり変わってるはず』
「おっも! ……え? 転送? 今から俺ガンテツと一緒に行くんだけど……?」
『エッ?』
「えっ?」
『マ? 今から本来ランダムで最初行くはずだった場所に転送されるんだけど……』
「いや〜……今更要らないです。送られても困るんですけど」
『マジかー。HAHAHA! やっちまったわー……どーしよ』
「あの……もしかして中止とか……できないやつすか?」
『うん。中止ボタン作ってないわ、メンゴ。今足元からゆっくり粒子になって送られるね』
ファッ!? 確定事項!? マ――――ジカヨ!?
そうこうしてるうちに足元がふわーっと、透けてきた。ヤバみ凄い。
『ま、まぁ別の大陸に行くだけだしね? たぶん戻ってこられるよきっと うん。 ただまあちょっと遠いかもしれないけど……ドンマイ!!』
ドンマイじゃねぇよ髭ぇ! マジでどうすんのさ。今からガンテツと行く予定だったのに!
「タマ、お前……消えるのか?」
「いーや。さっきヒg……神様も言ってたけど別の場所に飛ばされるだけ。すぐガンテツのとこに戻ってくるぜ」
「なんじゃ。また会えるなら問題ないわな、いい機会じゃ。
すぐ戻ってこなくていいからゆっくり旅しながらでも戻ってこい、 世界見て回るいい機会じゃ、お主ここら一帯しか知らんしな。
ワシのことは気にするな。……まぁ、国に戻ったらのんびり仕事でもしながら待っとるわい。
勇者の件の仕事も終わったしここに来る理由もなくなったからほぼ国に居ると思ってええ。
なーに。国に来た時ワシの名前出せば無下にはされんよ。すぐ会えるわ」
「ガンテツ……」
ほんまいい奴やで……
ところで もう体半分透けてきた。そろそろヤバい……
「……そうだな。いろいろ見て回りながら会いに行くさ。じゃあ、ちょっと行ってくるな!」
「おう! 行ってこい行ってこい! 土産話楽しみにしとるぞ。 あ、きちんと教えた通り自重はするんじゃぞ! 絶対な!?」
「大丈夫だって! それじゃぁ、行ってき──
此処で完全に粒子になり、 俺の意識は少しだけ途絶えた。
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そ
し
て!
話の冒頭に戻るわけなんすけど、いざ送られて状況確認すると割とクソい状況だったぜ。
カッコ付けて会話してる場合じゃなかったね!
食べ物とか荷物は全部ガンテツのとこだよ! 畜生! ふぁっきゅーー!
今持ってるのは、着てる旅人の服と簡易アイテムボックス機能付き洋服お着換えセット(服しか許容しない作り)と装備してる開閉ギミックの付いた面白シールドガントレットしかないんだよなぁ!
はーーーーマジあんな神様を神棚作って祭ったやつはどこのどいつだぁ!?
絶対賢さ低いわそんな奴。俺には解るね。
さて……どうしよ……特に当てもないし。
目の前にある街道っぽいの道に沿って歩いていってみるかぁ?
何かあるかもしれないし……
このまま立っててもしょうもないのでぶらりぶらりと歩いていく。
……結構歩いてるけど……暇やね。こう。何かないんすかね?
そこらに落ちてた木の枝を適当に振り回しながら歩いてると、遠くに何か見えてきた。
んー? アレは……馬車? んでもって……何か引き連れてる?
いや、追われてる?
追ってるのは……緑の……人?
あ。馬車、石に引っかかって横転した。ちょっと近寄って見にいってみよ(野次馬