145ネキ ヤツの名は
前回のあらすじ
読者に比喩された一覧。
“モンジ○ラとオーロ○ゲの悪魔合体”
“ゴールド○モー ”
“120パーセントの某弟”
“天元突破”
“鋼鉄ジ○グ”
“ガオガ○ガー”
アルラウネとは?
……面白いので、ヨシ! (猫感)
――――
「─選べ」
森の奥から響く声が選択を迫る。
「お〜っと、出たね。じゃあボク、別の用事あるから頑張って何とかしてね〜、あとからその先に戻って来るから〜」
「あ、ちょ、早!? はっや!?」
髪を太く程よい枝に巻き付け、別の枝から別の枝へ。
振り子のように高速移動して元きた道をビュンビュン引き返し消えていった。
あっこれまんまター○ンだ。
大丈夫。 ちょうど良い枝葉や木々の隙間から降り注ぐ木漏れ日で見えてませんよ。 大自然ってすげー!
閑話休題。
「ふぅーむ、声は聞こえど気配は悟れず……なかなかの猛者の気配でござる……声の御方! 問答無用と申したが、幾ばくかの問答を許可願いたい! 仕掛けの時間稼ぎでは一切ござらぬ!」
大きな声で森の奥に問うダイチ。
すると暫くして、先程よりは近くから森の声が聞こえる。
「……よかろう。何を問う」
「拙者たちはは貴殿が近隣の森に立ち入る者をすべからく追い返す者が居るとの事で、此度は派遣され申した。そしてこの付近では少し前まで『隠蔽』 の結界が張ってあった事も結界が消えた後、判明しているでござる。つまるところ、“先に” “何かある”のでござるな?」
「……“ある” が、私は“お前達” を信用しない。 幾度も約束はした。……だが幾人も約束を必ず違えた。違えた者は総てこの手にかけた。引けぬ理由がある……話が過ぎたな、去れ」
「ふむふむ……大変申し訳なく存ずるにござるが、ここはひとつ穏便に……と。通して貰えるとは思ってござらん。故に“押し通って” 参るにござるが……よろしいかな?」
「……面白い。承った……話の出来る“敵” とは初めて戦る」
「では、一切の遠慮はござらぬ。我々は貴殿の平穏を脅かす“敵” 故に。ではゆきますぞ」
ダイチの宣言に合わせるようにリーフ、ナハト、ケッタ各々が臨戦態勢に移行。
─サワ……ザワ……と、風が木々の隙間を抜ける音。
少しの静寂が訪れた後。
“向こう” から仕掛けてきた。
何も無い箇所から突然数本の「矢」がダイチ、リーフに向けて飛来。
慌てる事無く剣の腹で落とし、または寸分違わず矢を矢で撃ち落とす。
“移動”しているのを伝えるかの様に発射位置をズラし、それを順次落としてゆく2人。
「ガサリ」と、発射位置とは別方向の草むらが揺れいち早く反応したケッタが音のした位置へと飛び爆ぜる─
が。
「ケッタ! 罠! 上でござる!」
「にゃっ!?」
ケッタが離れた瞬間、本命のナハトを仕留めるべく“ソイツ”はナハトの頭上を取り、ズタボロのローブに包まれ全身は確認できないが、その手にはナイフが握られており明確な、「殺意」が伺える。
未だ飛来する矢を防ぐ2人とは少しの離れ、完全に不意を疲れたナハトが杖を使い迎撃をしようとするが、それよりも速く、流れる様に杖を蹴り払って、続けてダガーをプツリ。刃が皮膚に届きそのまま深く彼女に突き立て─
「にゃにくそぉ!」
られなかった。
間一髪、身体を捻り手頃な樹木を蹴って戻って来たケッタの拳が間一髪ダガーを殴り飛ばした。
しかしローブの者は戻ってきているケッタを既に確認し確殺は間に合わぬと判断し、既にダガーから手を離しており、ひらり。と攻撃をいなす。
着地を狙って放たれたリーフの矢も転がって交わし、ローブの者は茂みへと身を隠す。
そして、隠れた別の木の枝の上からローブの者が姿を現し─
……者? そのローブは遠目に見ても1m程しかなく、 あからさまに
「人」としては小さすぎた。
「中々やる。魔道士を仕留めたと思っていたのだがな、良い反応速度だ。獣人のお嬢さんに助けられたな、魔道士のお嬢さん」
「大丈夫にゃ!? 杖にゃ!」
「ッ……大丈夫、薄皮切れただけだから……『治癒』……っあ?」
「にゃっ……?」
ナハトとケッタ、2人が同時に力の抜けた人形の様に倒れ掛け、なんとかもちこたる。 しかし、2人とも産まれたての小鹿の様に倒れぬようふんばるだけで精一杯だ。
「……コレは、脱力草の毒……!」
「ご名答。即座に毒の種類を見抜くとは畏れ入る」
「ナハト! 解毒は!?」
「致死性は、無い……けどすこぶる解毒しにくい……のがコレの毒……5分。5分ちょうだい。しかも抜きにくい調合されてるわコレ……だっるぅ……」
「にゃにゃにゃ……」
「リーフ、2人の毒が抜けるまで頼むでござる。此度の者、矢による陽動、別角度からの意識逸らし、そして1番厄介な魔法使いから仕留めるやり口。紛うことなき強者にてござるよ。そんな輩と戦う1番の方法。即ちタイマンが良いでござる」
「ほう……」
「“数”は驚異でござるからね、 故に脅威度の高い方後衛からかかったのでござろう」
「若いのに随分と聡明だな。……引け。去れ」
「貴殿は“実はとても優しい”のでござるな。……ですが拙者 “押し通る” と申した故簡単には撤廃できませぬ」
剣の切っ先をローブの者へ向けて宣言するダイチ。
「成程。覚悟も有る。……ならば応えよう。名も名乗ろう。そして散れ」
ローブの者が衣を脱ぎ捨て、その姿を顕にする。
─その者は、2頭身の豚だった。
そしてローブを脱ぎ去ると同時に、ダイチへと飛びかかる。
それを剣で受け止めお互い引かずに鍔迫り合い。
「我が名は「さばく の おおかみ」! ……推して参る!」