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ハガネキ 〜彼女はメタルでハガネのやべー奴〜  作者: 爆散芋
6章 すったもんだシンシア
171/202

140ネキ マッハJJJ

 前回のあらすじ


 カーン……カーン……


 バチバチバチバチ……


 ピッ。ピッ。ピッー……ガコォン……


「……お主、店の一角で何建設してるの?」


「台」


「ああそう……台。……台ぃ?」


「台」


「ああうん、頑張ってくれたまえ……」



 いつになく目が本気であったが、ま〜たいつぞやの発作だろうと、アルドはガンテツの方を軽く見るが黙って首を横に振るだけで彼は何も言わない。



 まぁ無理に止めない辺り一過性のものだろうと認識し、さして騒がしい訳でもないので彼も普段の読書にふけ込む事にした。



 カンッ。カンッ。カンッ。


 コーン……コーン……コーン……


 バチッ、バチチチチ……


「ふひっ、 フヒヒヒヒヒィ……」


 やだこの蟹っ子、ちょっと怖いとアルドは内心思った。



 ―――


「“ついてきてくれ” って言われてついてきたけどホントに町の外まで歩くんやな……」


「まーな。“見せたいもの” は町じゃちーとばかし目立つもんでな」


 ゼットに連れられ、ギルドの裏口からスイスイと人目に見つかりにくい建物と建物の間を練り歩き、一般には開放していない門から町の外へとタマを案内した。


「おー、もう町の外なんてはえーな」


「ま、あの町は俺の庭みたいなもんだからな。……さーて、そんじゃぁ、“呼ぶ” か」


 町の外、軽く周囲を見渡して特に問題無いなと判断したゼットは、おもむろにポケットから出した煙草1本と変わらないサイズの笛を力強く吹く。 しかし音は鳴らない。

 いや、()()()()()


「うお!?」


「は!? “聞こえる” のか!? アンタスゲェ耳してんな」


「まー他所様とちょっと違うのは自覚してっからな」


「ハハッ、飽きねえわ、こりゃ」


 可聴外の「音」に少々驚き、耳を小指で軽く掃除し、フッ。と吐息で吹いたタマ。


 ─その時。


 何かが遠くの森から飛び立ち、低高度ながらもかなりの速度にて飛翔してくる物体が迫る。


 耳掃除をしつつも、飛び立つのと同時にピクリ、と片眉をひそめて反応を示したタマであったが、同時にタマの表情の変化を見ていたゼットが微笑みつつ片手で“大丈夫だ” のジェスチャーをしたので、「飛翔物体」の接近を許す事にした。


 その物体は、タマ達目掛け一直線で飛来し、目標手前にて速度を緩め丁寧に、かつエクセレントに着地した。


 艷めく黄金の鱗。 力強くも流麗なる翼。 生まれながらに空気抵抗を計算したかのようなシャープなボディ。


 “竜” でなく、 “飛竜”。 2本の脚で獲物を蹴殺し、しなやかな尾には必殺の毒を隠し持つ天空の強者─


 そして彼は翼を広げて高らかに吼える。



 彡(゜)(゜)「んごォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」



 そう。 ワイバーンだ。


 ちよーっと、顔は何かの空似かもしれないが紛うことなき天空の強者、ワイバーンだ。


 ワイバーンだね。ワイバーンだろ?。 ワイバーンだな。


 YES! ワイバーン。


「よーしよしよし、いい子だ」


 彡(^)(^)「ンゴー」


「……はーこりゃまた随分と面白い顔の竜だこった……」


「だろ? ちょいと顔はユニークだが、こいつぁギルド御用達の超早馬でな、殆ど1人用だがどんな所もひとっ飛びよ」


 彡(-)(-)「フスー(鼻息)」


「お、コイツおっちゃんの言ってる事わかんのか?」


「おう。コイツはかなり賢くてな、希少種も希少種でギルドにも2〜3頭しか居ねえんだわ」


「へー」


 彡(゜)(゜)「ンゴ、ンゴゴゴゴ?(人間さん人間さん、僕の今日のお仕事はなんですか?)」


「お!? コイツ勤勉やんけ!? ほんとにやきう顔かコイツ!?」


「なんだタマちゃん、こいつらの生息地のヤーキウ高山知ってんのか?」


「あー、いや。知らん、けども俺の所でこの愛嬌? ある顔はやきう顔って言うんだわ」


「おもしれぇ偶然もあるもんだな」


「そうねー()」


「おっと、じゃあ、えーと……確か首のタグに……コイツはナンジェか。ナンジェ、お前の仕事はこの大きいねーちゃんをドワーフの国まで届ける事だ。 “着陸場” でいいぞ。向こうのOKは出ている」



 彡(●)(●) 「ンゴッ!(了解!)」



「(……鳥顔なんだよなぁ)」



 ワイバーンが屈んで地面に伏せると、背中に鞍と椅子の騎乗用一式が見える。


「じゃ、乗って落ちないように備え付けの帯で身体を固定してくれ」



「おー意外に座り心地良いなこれ! ……ん? でもなんでこんな高そうなもん用意してくれたんだ?」


「そりゃアンタ仮にもこの街でそこそこえらいギルドの頭が盗品を取り返すって豪語したのに半端でしたからそのままで良いです。 で海の神が許しても俺自信が許せねぇからな。 別んとこで見栄と格好つけんだよ」


「……成程。おっちゃんいいセンスしてんなァ。じゃあ俺有難く空の旅楽しんじゃおうかな」



「ワハハ! 楽しめ楽しめ! 冒険者の1人にコネで飛竜便使ったって町の奴らに言いふらしたくてたまらねぇぜ!」


(゜)(゜)彡 「ンゴ? (OK?)」




「おう! じゃあなタマちゃん! おめーみてぇな面白ぇのはいつでも歓迎すっからよ! 寄った時にゃあ仕事のひとつでも聞きに来い!」



「おーう! “約束” だぜー!」


 ゼットに別れを告げて、

 少々体重のあるタマを問題なく、力強く羽ばたいて低空飛行で人から視認されにくい所まで飛翔した後、一気に加速、本番の高高度飛行を開始するワイバーン。


 風が頬を叩き、景色が加速し、 雲を置いてけぼりに。



「おお……」


 雲を突き抜け、地上はるか彼方、雲界の景色にタマが舌を巻く。


 彡(-)(-)「ンゴ……(これより吾輩ナンジェ、本気で飛びますゆえお気をつけくださーい。 尚、お座席には耐風圧の備え付けがありますので気持ち良い風を受けて当便をお楽しみくださーい……では……)」


 彡(●)(●) 「ンゴッ!(飛びます! 飛びます!)」







 加速。 戦闘機が如く大気に尾を引きマッハで景色を置き去りにする。


「おお!? うっひょぉぉ……










 ─そして。




 現在高山都市ヴィシソワーズ、飛竜便発着場。


「……着くのはええな!?」


 タマ。



 遂に故郷? に着いちゃった♡

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― 新着の感想 ―
[一言] 身長差あるから台作るのかな?
[一言] ネキ乗せて飛べたのか…あれネキって体重増減可でしたっけ?
[一言] つまりヤーキウ高山の、知能が高いワイバーンは334の数字には敏感だと? その数字を見ると、悲劇を巻き起こす。 難儀やな~。 な阪関無
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