136ネキ バイトの話がありますよ
前回のあらすじ
ござる一味と離別。
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「……はぁ? 中身が足りてないぃ?」
「あー……まぁそういうことなんだわ。ほれまずはコレ返すぜ。元の場所にしまっといてくれだそうだ」
「お、さんきゅ」
「そんで細く言わせてもらうとな? 指示通りに追って追いついたのは良いが、そこそこ中身捌かれちまってな、散った荷馬車各個に追うの大変だわ、しかも追って今すぐ返ってくるかはわからん。……つーことでだ! ここは1つ俺の財布から出せるだけ出して補填。ということでなんとか許しちゃくれねえかな」
「んー大体わかった」
「お! すまんな! 話のわかる……
「袋帰ってきただけでも十分だ。別に金は要らねーでよ」
「……ぷッ。マジで紙の言った通りだなこりゃ」
「え? なに? 何か言ってたアイツ?」
「ああ。“多分物品帰ってきたなら多少減ってても気にしないんじゃないすかね? まぁー補填の話は切り出すといいと思うっすけど”……だってよ」
「なんだアイツ紙っきれのくせに予知能力者……いや予言書の1ページか何かかよ。ま、いいやおかえりマイバッグ」
「一応もう1回聞くが結構な額だぞ?」
「いやぁ……金にゃー困ってねえしな。ほれ」
そう言って財布兼用のアイテムポーチを腰から取り外し逆さに振って金貨を手に出す。
……が、数枚程チャラリチャラリと出てきただけでそれ以降は全く出てくる様子がない。
「……うん? ちょっと机借りるわ。ひーふーみ……7枚? 金貨! うん出ねえ? 銀貨! あっ、出るわ出る。……銅貨! あばばばばすまん零したわ」
金貨を呼べど出てくる気配は無く。不具合かとついでに銀貨と銅貨を呼んで見るが出るわ出るわの大洪水。
零すのを一旦止め、回収を終えて再度金貨チャレンジ。
しかしやはり出てくるのは7枚。
「あっるぇー? 結構貰ってた気がすんだけどなあ? 詰まってんのかー?」
「なぁ、俺が見た感じ別段ソイツがイカれてるようにゃ見えねえが……例えばデカい買い物とかしたか?」
「いやー俺別にクッソ金貨使うような買い物はしてないと……ん? そういや、してはいねーけど沢山使ったのはあるな?」
「十中八九それなんじゃねーか? んで、その使ったってーのは?」
「財布スられて飲んだくれてたおっさん見つけたから適当にくれてやった」
「あー成程おっさんにかー! ……は?」
「なんか貯めた金らしくてすげーしょぼくれてたからつい」
「……いーやーいつもの感じなら俺も大笑いするんだけどよ。ところで大体どんなもんだった?」
「ん? うーん……覚えてねぇ……テキトーに一山零したから……」
「いや〜……兄貴がご機嫌なわけだわそりゃ。おめぇさんみたいな豪気なのか馬鹿なのかわっかんねえのなかなか居ねえもん」
「金にゃー困ってねえしな? 俺が溜め込むより田舎のかーちゃんにサプライズしようとしてるおっさんにくれてやったほうが金も喜ぶべ。……ちょっと待ってごめん今困ったわ。ハハッ」
「おめぇさん此処出たらどの行くつもりなんだ?」
「たしかー……友達がドワーフだったな。とりあえずそこに向かう感じ」
「ドワーフつったら鉱山都市だな多分。金無くて大丈夫か? やっぱ貰うか?」
「要らねーつッてんだろ。無くなったら無くなったらで稼ぎゃなんとかなるわ。幸い腕っ節には困ってねえからな」
「成程。じゃあ俺に1つ提案があんだけど、どうだ?」
「なんぞな?」
「近々祭りがあんだよ。この街で。腕っ節の凄さは兄貴から聞いてっからな、仕事って形で受けてくれねえか? 弾むぜ?」
「えー? ちょっとめんどくさ
「なんなら終わった後の鉱山都市直通便も俺の権限で融通する」
「よし、気が変わった詳しく聞かせろ」
「OK、交渉成立だな。んじゃまずは……