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16/202

16ネキ  俺のスローライフは死んだ

 前回のあらすじ  


 蟹の口が思ったより悪かった。(タマは知らない




 ――――――――――――     



 ヤッタゼ。   


 大量の鱗と歯、(流石に全部は折ってない)ゲットだぜ!   



 まぁ当然麻酔も何もないから、ま〜た白目剥いて痙攣してるのはちょっと悪いかなーって思ったけど、欲に負けちゃったからね。

 仕方ないネ(言い訳




 そういや当初の目的忘れかけてたけど、鑑定鏡あるうちに地龍君鑑定しーとこ。 



 ――――――――――


 偉大なる(グランド・)地龍(アース・ドラゴン)(個体名アルド


 RANK S




 数ある地竜系列の中でも「龍」を冠する最高位の竜。

 吐くブレス攻撃は地を穿ち岩を削り山に風穴を開け、地形を変えてしまう。

 ドラゴンマウンテンの頂上に座し、悠久の眠りを好む。

 彼の眠りを妨げるものは砂塵の塵となるのみ



 ―――――――――――――――――






 ………。  


 えー……。 


 何この凄い強い奴ですよ感が出てる説明文。 やたら丈夫ではあったけど、そんなに強かったかー? 


 そいで、この鑑定鏡いいなー超欲しいわコレ。俺自分以外見れるやつ持ってないし。


 とりあえずお土産は沢山採れた(もいだ)から山降りるかー。


 あっその前に最初この謎体重で乗れるかの検証しよしよ。 


「ぎーと君ちょっと止まっててね」


「ギ」


 そろりそろりと万が一もあるので潰しても大丈夫なように殻の縁に手を掛け、ゆっくりと登ってみる。

 ……登れた。そんで重そうには見えてない。  


「そのまま動いてみて―」


「ギー。………ギ、ギ……」


 動かない。 



「ピクリとも動かないんだけども、……あっ。…動けない?」 



「ギー!」  


 はいそうですと言わんばかりに、右鋏を振り上げアピールするぎーと君。 


「……降りるね……」



「ギ」



 乗った時とは違って普通に砂煙を上げながらゴゴゴゴガサガサ動くぎーと。



 ……。


 うーん潰れは何故かしないけど(軽減OFFモードにしたらもちろん潰れるが)乗ったら乗ったで重くて微動だにできない……と。  



 なんだこの俺のクソ仕様の体重。  


 仮の話になるけど当然あるだろう船馬車に乗れないとか移動全部徒歩とかなにそれ? 


 船とか沈没からの海底直行コースですやん?


 水中の底歩くとか緑色のブロック取ったM字の配管工じゃねーんすよ。 


 あまつさえ生き物に乗れなかったら楽もできないし早く着きたかったら 走れ。と。  

 うーんよく聞くわ〜ぷ〜とかで一瞬で長距離移動したり高速移動普通にできるような奴とかは居ると思うけど、オール徒歩系主人公は聞いたことないなぁ……今世ラッキーかと思いきやこれはデメリット凄いデカいのでは? 

 飛行? 瞬歩?  そんなのあるなら教えてくれ。 



 今まで生きてきて乗り物とか考えなかったから気づかなかったが、ガンテツ1年くらいで仕事終わっちゃうし帰るらしいんだけど、仲良くなった事だしちょっとくらいは見に行こうかなーって気分にはなってたんよ。   



 はー。 悩んでもいい解決策思いつかないし、極論歩くのは嫌いじゃないからいいかぁ……あ。でも旅はしない。


 戻ってくるのがクソめんどいからしない。 

 今決めた。  


 俺は絶対に長旅なんてしない!  


 このまま降りてもいいけど、地龍君に一声かけて帰るかー。




「おはよーございまーす」   ビクンビクン……


「……おはやうございます」    ビクンビクン……



「そんなずっと痙攣すっか? お前みたいな頑丈なのが」   

  スヤァ………




「よ〜し……今からお前の尾先を少し切り落としてやる。それまでに起きろ」


 その言葉と同時にタマがジャンプして飛び上がり、空中で一回転し勢いをつけ、片足をまっすぐ水平に伸ばしそのまましっぽ目掛けて高速落下させる。  

 いわゆるギロチンドロップであった。


「あっすみません今起きま 

  ズダ――――――――ン!!   


「あびゃーーーーーーーー!!!?」    


 綺麗に切れた。 ほんとに足の長さ分以下の尻尾直径しか切ってないのでそこまで長く切ってないよ。

 早速体重の有効活用である。

 メリットは生かさないかんで。  


 そしてなんかもうドラゴンらしからぬ叫び芸が板についてきた地龍君、ドンマイである。 



「ちょっと前から起きてたろ?」 


「ハイすいません狸寝入りはよくないと今身をもって学びました……」


「よろしい。 じゃあせっかくだしこの尻尾は貰ってくね」 


 俺はそこまで肉好きじゃない(石のほうが美味い)からガンテツにでもあげちゃろ。


「あ。そうそう、もう特に山頂に居る意味ないしもう山から下りるから一言くらいはと、思ってね」


「う、うむ。気を付けて帰るがいい(できればもう来ないでください)」


「そいでお前お腹減ってるって言ってたじゃん? そんで良かったらだけど、余ったお肉あげるから元気出しな?」  


 そういってドサドサとアイテムボックスから山になるほどの小~中型ドラゴンの死骸を積み上げる。 

 これが人間基準だったら飯おごるぜ!! と持ち上げといて親戚のおじさんなどが皿に盛られてくる感じのなかなかの鬼畜具合なのだが……


「おお! かたじけない! これだけ食えればまたしばらく寝て過ごせるわ!」


 大丈夫だったようだ。 ドラゴンには親戚は他人に含まれるらしい。  


「そうかそうか。中の掃除ついでにまだたんまり岩トカゲとかもあるからドンドン食え―」


「おお! おかわりまであるとは! 貴様が此処に来て良かったな。さあ、食いだめるぞ!」



 なんだかすごい感謝してますけどさっきまでまでその感謝してる相手にほぼ全身の鱗と甲殻と歯とおまけに尾っぽまで取られてるんすよ地龍さん……  


 タマは意図してないであろうが、さんざん落として最後に救いを出すよくある詐欺の手口に似ているのは知らぬが仏であろう。     


 おかわりが終わるころにはタマもぎーとと山を下り、ぎーとも途中の巣で別れ、久しぶりにマイホーム(ガンテツの工房)に帰ってきた。


 ちなみに道中の中型地竜の洞窟は行ってない、もう完全にめんどくさくなってスルーした。


 うん。家は落ち着く。 

 俺のではないが。   




「……で。 こないだやたら山頂が五月蠅かったり地震が起きたりドラゴンの咆哮が響いたりしてたのじゃが……? 事の顛末を聞かせてもらえるかの?」


 あ、はい。言うから言うから。 だからそんな怖い目でボロボロになったリュック漁りながらこっち見ないでくれ……  


 地龍よりガンテツのほうが怖い。 

 良い子のみんな、ここテストに出すよ。




 ―――――。



「……はぁ~~~~~~~~~~~~~~あ」


 顛末を聞いたガンテツがデカい溜息を吐く。 



「地龍を叩きのめしたぁ? しかも伝説級の個体を? あ~~~~~もうお主が勇者やればわしが王に剣作らされるとかいうクッソめんどくさい仕事受けなくて済むんじゃねえのか?  言っとくけどな、その! アース!グランド! ドラゴンは!! 魔王なんかよりずっと強いんじゃぞ?  それを? 泣かした? 


 あーーーーーーーーーーーーもう理解の範疇超えて笑いも驚きも出んわ! 呆れる一方じゃよ!」



「……ハイ……」    



 現在正座で説教真っ盛りである。

 確かに力では勝てるかもしれないが友達にそんなことはしないし何より飯事情の生殺与奪は完全に向こうなので勝てる気がしない。  

 原石と精錬した金属では美味しさが違うのよね。うん。


 嫌じゃ!妾はもう薄味の石など食いとうない! 旨い金属が食いたいのじゃ!


「いいか。 ワシは今、今日をもって確認した。国に連れてってやることはやるがお前さんはいささか規格外もいいところで非常識すぎる。  だからわしが徹底的にそれなりに自重を教え込んでやる。 いいな?」



「あの、お腹空いた……」


「い   い    な     ?」  


「はぃ……」

  


 説教中だろうが腹は減る。 やむなし……



「ったく……ほれ、何を取ってきたか言え、それで何か良いのがあれば精錬してやる」 



「ヤッター! やっぱガンテツ大好き! ほっぺにちゅーするか!? ちゅー!」 


 即座に満面の笑みに切り替わりガンテツに抱き着きほっぺにちゅーをしようとする。

 それで美味しい飯が食えるのだから大した価値などない。



「要ーらーんー! 止めろ! 何回も言うが身長と胸を小さくしてから出直してこい!」


「ああん! いけず!」


 グイッと押し出され一旦仕切り直させられる。 


「で。中に入っとるもんは?」



「その泣かした地龍の鱗甲殻と歯としっぽ」


「ふむふむ……鱗に甲殻に歯にしっぽ……ふむふむ……はぁ!!????? お主なんてもん取ってきてやがるんじゃ!!?」  


「だってリュックボロボロにしちゃったし、お土産たくさんあったほうがいいかなって思って……」


 タマが両手の人差し指を向かい合わせツンツンとしながら申し訳なさそうに言う。


「あーもういちいち驚くのに疲れてきたわい……まぁその素材は有り難く使わしてもらううぞ。リュックなんぞこんなもんすぐ直るわいな。それにしても測ったようなタイミングじゃのう……」


「っていうと?」


「いやなに。仕事で作っとる剣がな、ちょうど上等な地竜素材を使いたかったんじゃよ。で山に行くついでにアイテムボックス持たしたわけじゃが、まさかこんな伝説級の素材持ってくるとはおもわなんだ。

 本当にお主と出会ってからいい意味でも悪い意味でも退屈しないし仕事もバンバン捗るわ。

 ぶっちゃけ後2か月もあれば仕事終わっちまうわな。1年の予定のはずがな」  



「えっ。 仕事終わったら帰っちゃうのガンテツ?」


 出会ってまだ1か月しか経っていないが毎日酒を飲み楽しく過ごせる対等な友達がこの世界で初めてできたのに、後2カ月後には居なくなるとかそれはやはり寂しいものがある。  



 そんな感じでしょんぼりしていたタマだが、ガンテツがそれを見て鼻で笑う。


「フン。 馬鹿め。1年は帰ってこないと言って此処に来たんじゃ。仕事が早く終わっても戻ればまた王の馬鹿たれに仕事押し付けられるに決まっとる。仕事が終わっても期限の日まで帰らずにお主と酒でも飲みながら自重教えて毎日一緒に遊んでやるわい。 安心しろ」 



 そしてタマがまた急に満面の笑みでガンテツに飛びつき抱きしめて頭を撫で繰り回す。


「いえーい! やっぱガンテツ何だかんだ言って超優しい! ほんともう大好き! いやっふーー!」


「ええい! だーかーらー、押し付けるなと言うに! 逐一抱き着いてくるんじゃない! 離れろ! お主がマジになれば万力のようなもんだからワシでも無理なの! 馬鹿力すぎじゃ!」


「あっごめんごめん。 ついテンション上がって……」



「全くお主という奴は。さてそれじゃさっそく……



 ………

 ……


 …




 そんなこんなで一年間なんてアッという間に過ぎていってしまった。 

「光陰矢の如し」って本当にあるんだねー。


 ガンテツと一緒に調子乗って俺の体のパーツ使って超兵器作って爆笑したり  


 ぎーと君にさらに調子乗って栄養盛ったらついにSランクに進化してアルド(地龍)がそれ見て呆れたり


 毎日楽しく酒盛りしたり 


 岩男君、岩美ちゃんたちと一緒に日向ぼっこしたり 


 岩トカゲとヤドカリたちの勢力バランス完全に逆転してロックリザード峡谷って言うよりハーミット峡谷って言ったほうがいいような感じになってしまったり(下山して勢力拡大


 ガンテツが普通の服と下着作れるくらい万能だったのに驚いたり 


 寝るとか言ってたのに起きてたアルドとめっちゃ仲良くなってたり


 剣とか魔法スキルは出なかったけどいっぱい練習して自身のステータスに超鋼格闘術とかいうなんかカッコいい表示出てきたり 


 いやぁ……まだまだ思い出せば出すほどいっぱい出てくるなぁ……



 …………。



 え? なんでいきなり思い出話になってるかって?    


 そりゃーおめぇさん。





 現実逃避真っ最中だからだよ!!!!!   








 どこだよ!? 此処!! 



 見渡す限り草が生い茂ったThe 平原 という感じの平原である。  


 かなり遠くに森が見えるっちゃ見えるが無視していいだろう。  


 一応目の前には街道っぽいのが横切っている。  




 事態の発端は一年経ちガンテツと一緒にドワーフの国にいざ向かわん!!  という時に発生した。 

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― 新着の感想 ―
[良い点] 重力軽減しても質量がちゃんと残ってるのが最高です
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