129ネキ 渇いた砂漠とサービス部屋
前回のあらすじ
焼 き バ ナ ナ(蟲)
―――
現在はジャングルを越え次の階層─砂漠地帯へと来ている。
「……えーと、ふむふむ……
“汝右手に持つは陽のいずる。汝左に持つは日が没す。
此処より未来を向き7の丘を越えしのち、陽の出る手を未来とせよ
三の丘を越えし者、地に沈め。汝の求む道ありき。”…… と、書いてありますな」
扉のすぐ横。目立つ所にある岩を半分に切っただけの簡単な石碑に記されている文字列をダイチが読み解く。
「なんじゃそりゃ」
「次の扉の場所でござろうな。この高低差の激しい砂漠では遠くを見通すのも一苦労でござるよ」
「こういう時はナハト。あんたの出番でしょ」
「“真っ直ぐ進んで砂丘を7越えたら右見て3丘進んで。大体そこら辺の地下にあるよ” ……だって」
「やっぱりなんで解んのよ……」
「よゆーよこんなん」
「あぢにゃぁ〜……早く行こうにゃ」
「……ところでダイチ、なんかこの陽射しを遮るヤツとか持ってたりしない?」
「♪パーパッパーパッパパパ〜。日傘〜」
「あるんかい! ……え? その声? 音?」
「ボイパにござる。 はい、3人分」
「あ、俺平気やぞ」
「あ、ありがと……タマさん、この陽射しも平気なんですか……?」
「なんならマグマで風呂が入れらァ」
「えぇ……?」
「すげー……」
「パにゃぁ……」
石碑の記すとおりに砂丘を越えてゆく一行。
「……あっづぃ」
「……焼けるわ」
「焼き猫になりそうにゃ……」
「影1つない地形ですな……確かに暑いでござるからここいらで少し休憩でもすr
不意に、砂に脚を取られダイチがよろめくのをタマが手を差し伸べて引き止め─
「あ、助かるでござるよタマど……アッツゥイ! アツイッシュ!」
「あっ、わり」
ジュワッ。と良い音と同時にダイチが思わず飛び上がり、砂丘を転げ落ちてゆく。
それもそのはず。この灼熱の太陽に良い時間照らされた故に、タマには結構な温度が蓄熱されていたので……
皆も、炎天下の金属類には、気をつけようね!
――
「いやはや驚きましたぞ」
「いやぁ、すまんね」
(((熱、溜まる(のね)(んだ)(のにゃ)……)))
「もしかして手のひらで目玉焼きできるでござるか?」
「ん? 貸してみ」
「わーお、調理器要らずでは?」
「おー、存外焼けるもんだな……塩ある?」
「はいどうぞ。目玉焼きは塩派でござるか?」
「いや? 塩な気分なだけでなんでもイケるぞ」
もしかしたらの軽いノリでダイチがタマヘ卵を渡し、タマも軽いノリで自身の手のひらに卵を割って落とす。
まぁ、夏場のボンネットのようなもので、卵はじんわりと火が通り白く固まる。 そしてダイチから岩塩の欠片を受け取り荒く砕いて目玉焼きと化した卵へと一振り、ちゅるりと頂いた。
「うん、手前の手で焼いた目玉焼きも悪くはねえな」
「やっぱり普通の人にしか見えないんですけどね……」
「アレでござるよリーフ、ドワーフの方々みたいに体の造りが違うでござると考えればいいでござるよ」
「あー。まぁ、そんなものかしらね……と、ダイチ。止まって」
「うむ?」
「こっからちょっと先、動いたわよ。たぶんお約束の砂中に何か居るわね……見つけちゃったし、ま、私がやりますかね」
「あいわかった、それでは頼むでござる」
砂中の存在を察知したリーフが一同を止め、対処を自ら申し出る。
「あっづ……がんばえー」
「ふぁいとにゃー」
「アンタらねぇ……私だって暑いんだから。 っと。まぁいいわ、さっさと片付けるわよ」
「お? なんだ?」
「タマ殿案件でもなさそうなので見てても大丈夫でござるよ」
日傘をダイチに預け、腰部に装着していた塊を慣れた手つきで取外し、塊はあっという間にコンパウンドボウへと展開変形した。
あれ? どこかで見たような……?
「1、2、3……てところかしらね」
矢をつがえると、彼女はそれを天に向けて次々放ってゆく。
頂点を迎えた矢はやがて重力に引かれ落下。
トスリ。 と乾いた砂地に矢が刺さる。
トスリ。 トスリトスリと一定の感覚とリズムで道標のように刺さってゆく矢が動いたとされる場所へと到達すると─
「キギャーーーオ!」
砂丘が突如爆発したかと見まごうほどの勢いにて砂中から襲い掛かる魔物が3匹。
「残念。私は此処よ」
打ち上げた矢とは別の、矢じりに暴風の力が込められた矢が同時に放たれたと錯覚するほどに流れるように放たれる。
飛び出した魔物の中心へと吸い込まれるように狙い撃たれた矢が突き刺さ─否。
“荒れ狂う風は立ち塞がるもの全てを抉り粉微塵に粉砕” し、急所を跡形もなく吹き飛ばされた魔物は絶命と同時に砂上に跳ね転がることとなった。
「やっぱり砂大蠍だったわね、もう少し隠れ上手になって出直しなさい。私の耳はよく聞こえるのよ?」
「お見事にござる」
「ひゅう」
「ないっしゅーにゃ」
「チッ、外せば良かったのに(ボソッ)」
「ナハト、アンタどっちの味方なのよ……」
「耳ざといエルフめ」
「はぁ〜……まったくもう……ほら、早く解体なさいな」
「しょーがねえなー? ほいほーいっと」
「あ、ナハト、確か砂大蠍は珍しく需要があったと思うので解体したらそのまま仕舞っててほしいでござるよ」
「りょーかーい」
「あ、良かったら鋏1個くんね?」
「構わないでござるよ? ……食すので?」
「おうよ。 パッと見良さそうだったから……お、美味い美味い。板付きかまぼこって感じ」
「拙者板は食したことないでござるなぁ……」
「砂大蠍の鋏……食べられるんだ」
「タマさんだけじゃね」
「いや? 中身焼いたらあっさりで噛むほどに美味ぇにゃよ?」
「「嘘ォ!?」」
「マジにゃよ」
「ケッタちゃんの話聞いて早速焼いたけど要る? 確かにめっちゃイケるぞ」
「あ、では早速……おほっ!」
「ホントに? ……じゃぁ少し……熱、あ、ほんとに美味し……」
「うっま……仕舞った骸は中身ともう分けた。リーフにはあんまりあげないことにしよう……」
かまぼこ休憩を挟みつつ、時折出てくるかまぼこ君は漏れなく狩られた。
しばらくして目的の場所へと到達するが─
「……何もないじゃない」
「リーフ、そこの地面に“暴風弾”撃ってみ」
「はいはい……“暴風弾”!」
リーフからぺいっと雑に投げられた風の球は地面の砂を高らかに巻き上げ、あさっての方向に吹き飛ばしつつ、掘り進んでいく。
そして。
「……埋まってるとか面倒にも程があるわよ……」
前回、前々回と違い、抵抗なく扉は開いたが─
「あ、美味いからやっぱ剥ご」
南無三。彼も逝ってしまったようだ。
そして、次の階層へと到達したダイチたちであるが。
が。
「……え? 湖? なんで?」
扉(故) の直ぐに次へと繋がる扉がある。 そして視界に拡がるはそよ風そよぐ森と、澄んだ湖であった。
「カンカン照りの砂漠越えたと思や、次は扉がすぐ見える所にある階だァ?」
「あー、これは俗に言う“休憩部屋”ですな」
「ダンジョンにそんなのあんのか?」
「ダンジョン建築基準法により定められるルールでござるよ」
「建築基準法()」
「所によりけりですが2階層がハード()だった反動なのではござらんかと推測するでござる」
「み、水……冷たい水……」
「もう私も砂と汗で気持ち悪いわ」
「猫まっしぐらせざるをえにゃい」
「はいはい3人ともストップ。 こういう時は着替えて涼むべしでござるよ」
「着替えって言ったってアンタそんな冒険に適した格好以外の服なんて……あ」
「あるんですなー。拙者におまかせくださいでござるよ」
「そういやアンタなんでも有りだったわね……」
「はい。リーフはコレ、ナハトはコレ、ケッタはコレ……ちょちょちょタマ殿! 待って待って脱がないで脱がないででござるよ!」
「あ? 丁度休憩部屋ってんなら洗うのにいーじゃんし、俺は別にそんな減るもんじゃないからお前だったら気にしねーけど」
「待って。拙者だけ男子だとしてもコンプライアンスとか具体的に言うと3人に怒られるので是非着てください、もちろんタマ殿に合うのも有りますゆえ……」
「あ、そう。じゃあそうするわ」
茂みにてダイチから渡された“水着”に着替え、まずはリーフから着替えを終える。
「動きやすいのは良いし涼しけど……何、コレ……」
「白スクという神聖な布でござる(大嘘)。白い肌と相まってつまるところ素晴らしいにござる」
「そ、そう? ……なら悪い気はしないけど……?」
「へっ、貧相とも言うな?」
続いて現れたのはナハト。
「お気にのローブみたいで素敵」
「パレオと言って同じく神聖な(略)ダークな色合いが禍々しくも妖艶にござるよ!」
「あちしも終わったにゃ! すげー動きやすくて涼しいにゃ!」
「おお、やはりしなやかなケッタには競泳が至高……拙者の目に狂いは無かった……!」
「……なんでアンタそんな突っ伏して手合わせてるの?」
「尊みが凄くて……」
「ホントアンタ変よねぇ……あ、タマさんも来
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「おーい、ダイチ、なんかサイズ小さくね? ついでに後ろ縛ってくれー」
「デッッッッッ
「ば、化け物
「やっべ
「わお!
路端菜マンから暑中見舞いを頂いた。
故にサービス回である。
みんなも菜マンを祀って仕留めて天平で干して水に戻してご飯に混ぜよう。




