124ネキ 存外同類だった()
前回のあらすじ
【悲報】 ムッシ、無視される
――――
ところで場面はダイチ一行の居る宿だよ!
「えっと、あの……勘違いで……ごめんなさい」
「……おなじく」
「すまんかった!(何も分かってない)」
ダイチの部屋に集まり、ダイチがざっくりと事情を話し説明してあるので、復帰したナハトと共に謝るリーフ、そして先程合流したが取り敢えず2人もなんか謝ってるし一緒にやっとくか! のケッタ。
「おう、俺は気にしちゃいねーよ。それにちゃんと謝れるヤツは見所あんぜ?」
3人並んで申し訳なさそうにベッドに腰掛け、一方タマは椅子仰け反りしながらバランスをとって器用に揺れていた。
「てっきり暴れてお店を荒していたのかと……」
「ん? 確かに店の奴らと遊んで派手にやったが?」
「えぇ……?」
「まーまーまー、さっきも言ったでござるが、此方の方は大切な物をスられてしまったので調べて行き着いた店に返してくれと問答しに言ってああなったでござるよ。まぁ、それは此方のギルド長に任せた故じきに解決するでござろう。ところでリーフ、ナハト、ケッタ。ガンテツ氏のところで長くお世話になったの覚えてござるか?」
「アンタがガンテツさんの友達って言う“タマ”って人ずっと待ってたからそうなったんでしょ……」
「興味深い日々だった……うんうん」
「また行きてーにゃ!」
「うむうむ。しかし、期限を過ぎても来なかった故致し方無しに離れることになり次の場所へと旅立つのでござった……いや〜惜しかったでござるよ。仕事さえなければ……」
「駄々こねるアンタを、私が首根っこ引きずって連れていったんだけど……」
「……気のせいでござるよ!」
「アンタねぇ……」
「で、その話と今、なんの関係が……?」
「ナイスナハト! いいところに気がついたでござるな! では、ここで問題! ガンテツ氏の友人であるタマ殿の容姿とは? はい! リーフから順番に指さしたら答えて!」
「え? え〜と、確かダイチと同じ珍しい黒い髪で……」
「……男の人並に身長高いって言ってた」
「おめめ緑!」
「確か豪快だとかなんとか……」
「喋りが独特で男の人みたいな」
「おっぱいデカくて歯がギザってるって話だったにゃ」
「「「……あ」」」
何かに気がついた3人を見て、ダイチが静かににっこりと笑い、3人に向けていた指先をスススス……と静かにタマへと向ける。
「この人」
「うぇぇ!? ほんとに!?」
「マジマジ。マジもマジマジ大マジでござるよ。えーと、タマ殿、彼女らにステータスを覗かせても?」
「おん? ステータス? なんか言われりゃあった……気がすんな? ま、好きにしろ」
「助かるでござるよ。 ではリーフ、ナハト、ケッタ。これが彼女のステータスでござるよ」
ダイチがボソリと“鑑定”を唱え、3人に見えるよう可視化する。
―――
name タマ
,r"´⌒`゛`ヽ
/ , -‐- !、
/ {,}f -‐- ,,,__、)
/ / .r'~"''‐--、)
,r''"´⌒ヽ{ ヽ (・)ハ(・)}、
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`}. (__,,ノヽ_ノ,ノ \
l `-" ,ノ ヽ
} 、、___,j'' l
/
おーっと突然だが此処は我々が占領したウホ。
え? 能力値? ゴリラは優しいので仕方ないから説明してあげるゴリよ。懐の広さに感謝するウホホ。
体&攻&防
もう凄すぎるゴリね。 バナナ換算すると無限のバナナ製もビックリウホ。
ゴリの財法でも駄目ウホ。
運&器用
普通。一般つうかゴリラくらい普通ウホ。 主人公補正とかの強運とかあるわけないゴリリ。
さて、為になったウホ?
それじゃ報酬はスイス銀行にバナナマネーで振込むと良いゴリね。
ウッホホ〜い(ばいばいのニュアンス)
――――
「……え? ……なに? これ……え?」
「すげぇ……初めて見た」
「ゴリにゃー」
「えっと……ダイチ、これは?」
「ゴリラでござるな。よく出来たAAだと思うでござるよ」
「ゴリ……あす? いや、そうじゃなくて! これ! なんなの!? ステータス!? え? 嘘でしょ?」
「文字が絵に見えるとは中々興味深い……」
「いや、ナハト気になる所そこぉ!?」
「なるほどなるほど(分かってない)」
「ん? ゴリラがなんだって? ……お、おー。今回もふっざけてんなぁ、ハハハ」
「今回も?」
「ああ俺なんか表記しきれんで神さまが遊んでるらしいんだわ。ゴリAAとは中々のチョイス……」
「はいはいはい、リーフが混乱するのも分かるでござる。すごく分かるでござるよ。とても簡潔に言うと、“凄い!” ってことでござる。今から色々説明するでござるので驚いては駄目でござるよ〜。はい、タマ殿。インゴットのほうが良かったと思うでござるが分かりやすくこの剣でお願いできるでござろうか?」
「ふむ、悪くない。じゃあ小腹も空いてたところだし、頂こうかな」
ダイチより手頃な剣を受け取ったタマは抜き身の両刃剣の刀身半ばまで指を沿わせたかと思いきや、事も無げにパキリとへし折り、まるでスナック菓子を摘むかの如くポリポリと咀嚼し始めた。
「へ!?」
「おお!?」
「わお!」
「はいはいそれでは同時に説明するでござるよ〜」
勇者説明ちう……
〜
「……人にしか見えない」
「すげー……」
「へー」
「……と、いうわけで、タマ殿は新種と言うか、単一種族と言っても過言ではない御方でござるよ」
「ほんとにあのアル「はいストップリーフ! “ドラゴンのアルド殿に勝った”と、言いたいのでござろう? (アルド殿とぎーと殿がガンテツ氏の所に来てるのは内緒でござるよ! 言ったら面白くないでござろう?)」
「……(コクリ)」
「ガンテツそんなことまで言ってたのか? 物好きなやっちゃのー……」
「あ、拙者がわざわざ話してもらったのでよく思わなかったのなら謝るでござるよ」
「いんや、べつに気にすることじゃねーし」
「ありがたいでござるよ。ではそろそろ本題に入るでござる。タイミングが良いと言うかなんというか偶然でも思し召しでもなんでも良いのでござるが、この街から少し離れた所にダンジョンがあるのでござる。我々だけでは少々心許ないほど難関のダンジョンでありまして、かつ前人未到。しかし拙者は偉い人から“さっさと踏破して中調べてこいや” と、言われてるでござる」
「偉い人ぉ?」
「簡単に言うとこの国の王様でござるな。 ざっくりと説明するでござるがダンジョンは永らく人が来ないと“溢れる”ことが稀にある故、拙者たちはそういった一般の冒険者が中々踏破できない所を掃除して回ってるのでござるよ」
「ダイチおめーさっき勇者とか言ってけどそんじゃ魔王とか居んのか?」
「そんな者は、シンシアには居ない! ……で、ござる。 ……まぁ、拙者の代の話なので、と言うか何代も前にも居なかったみたいでござるしぶっちゃけ形骸化してるでござるよ!」
「あ、そうなの」
「それで本筋に戻すでござるが、タマ殿の実力はガンテツ氏からしかと聞いてますのでちょうど良かった!手伝ってください! なんでもしますから! ……でござる」
「ん? 今なんでもするって言った?」
「言ったでござる」
「……ほう、お前冗談が分かる奴だな?」
「そのための右手でござる」
「いよーし、気に入った!」
差し出したダイチの右手を固く握り返すタマ。(勿論加減)
「じゃ、いつ?」
「明日早速出発するでござる。良ければ此処に一室取るでござるが如何で?」
「お、気が利くじゃーん、じゃあ奢られようかね」
「仕事柄財布は暖かいので無問題でござるよ」
「……えーと、ダイチ。なんかタマさんと仲良くなるの……早くない?」
「「そらそう(よ)(でござるよ)」」
「うわっ、ダイチとタマさんが被った」
タマがボソリ。
「ヤ○坊?」
ダイチが聞き逃さずボソリ。
「マ○坊?」
「「天気予報〜」」
「……」
「……」
暫しの沈黙の後、握手ではなくガッシィーン! と腕を掛け合うタマとダイチ。
……どうやら波長がかなり合ったようだ
「えぇ……? 何かの呪文?」