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15/202

15ネキ しゃてい が あらわれた !

 前回のあらすじ 



 ブレスを吐くときはリュックを巻き添えにしてはいけない。

 いいね?


 ――――



 さて。

 とりま剥げる所適当に引っぺがして終わったんだけども。 

 なんかあいつドラゴンのくせに白目剥いて、仰向けでビクンビクンしてるが大丈夫なのか?


 まぁ……あんだけ叩きつけまくって全然死ぬ気配ないし、そんだけ頑丈なら死にゃしないだろ。 うん。



 実のところそこまで叩きつけ続けるつもりはなかったんだけどね、途中からちょっと楽しくなってリズムゲーしてたのは内緒ね。  


 ほーんで奴からギブアップが入って許す代わりに鱗が目に入ったから寄越せ。 と。


 いいか? 野生では勝った奴が生殺与奪を握れるのだ。 

 ……うーん俺、前世ほんとに人間かぁ?

 考え方が野蛮すぎる気がしないでもない。ま、今はもう人間辞めてるし、何だっていいや。  


 大量のドラゴンの鱗と甲殻も手に入ったし、これで多少言い訳立つんじゃないかな?(ボロクソになったリュック見ながら) 


 ……でもこんなボロボロでも普通に使える辺りほんとスゲーなコレ、俺も欲しい。 


 っていうかさー、こういう転生させてくれる時ってこんなつよつよにしてくれるくらいだからアイテムボックス持ちの能力とかセットでくれないもんかね?  


 自身鑑定と全言語通訳じゃすくなくなーい? これも機会があれば聞いてみたい。 

 で、本題に戻るけど。  




 此 処 か ら 帰 る の が め ん ど い !


  




 はー…… めんど。

 行きは良かったけど、なんか帰るってなったらすごくだるい。  

 肩帯なくなって抱えるしかなくなったリュックずっと持つか肩に担ぐかもだっるい。

 疲れるわけでは無いけどだるーい。

 だるるるるるる……



 ……道中ぎーと君に合図したら俺のとこまで来るんやで? って教えたけど、此処まで来るだろうか?

 山頂だし。 


 とりあえずダメもとで呼んでみて、来なかったら歩いて帰ろ。




 タマが指で軽くわっかを作り、指笛の準備をし、勢いよく吹き鳴らした。 


 スヒ―ッ!!――スㇶ―ッ――――スㇶ―スㇶ―スㇶ―…… 


 山頂に指笛(スカ判定)が木霊する。



 そうだよなぁ……前世でも鳴らせなかったし鳴るわけないんだよなぁ!

 悲しいなぁ……そもそも考えなしに思い付きで行動したけど。 


 まず具体的な合図教えてないの一つ、指笛で来いって言ってねーわそういや。

 もひとつが  



 俺 乗 れ る の か? 



 うっかり呼んでしまったけど自身の謎体重でまず乗れるかどうかわからん謎。



 ま、聞こえてないだろうし、歩いて帰るかぁ……


 あっ。


 ちょっと小腹空いたんでおやつタイムしよー。



 ―おやつタイムちう―





 ――――――――ドォン――――――ドォン―――――



 んー? 何の音? なに? 地響き? この山にそこまでデカいの居たっけ……?  




 ドォン!   ドォン!!



 近くなってるな。ん?()()()()()()()()()()




 ドォォォォォン!!




 あっ。




「―――ギォォォォーーー!」  



 ぎーと君だった。  


 なーるほど。




 ーー





 まず、状況整理しよう。  


 俺が考えなしに呼んだ。  


 指笛不発。 


 あれで聞こえたらしくてこっちに来た。  


 ジ ャ ン プ  しながら。 ん?


 すげー某ハンターでモンスターな感じでいらっしゃったわ。




 ……えっ、ちょっと待って意味が分からない。 んむ?



 とりあえず誰でもいいから、あ、コイツ居るやんけ。確か此奴長生みてーな言い方してたよな? 起こして聞いてみるか。 

 痙攣から静かだなーって思ってたんだけど寝てたのね。

 オラッ起きろ! ぐっも!


 軽く頭を蹴り、地龍を起こす。 


「ぬ? おお、や、やっと終わったか……ドラゴンたる我が気を失うなどなんと恐ろしい……」



「おはやう。起き掛けで悪いんだけどさっそく知恵貸して?」(ニッコリ)


「あ、ハイ。ナンデショウカ何なりと」 


「とりあえず指笛で呼んだらさー、ぎーと君が飛んできたのよ、ジャンプで。蟹って空飛べんの?」



「えっとですね、ハイ。ご説明させていただきますと「かしこまらなくていいよ。おめーの(タマ)取って食うわけじゃないから心配すんな」  ……すまん、感謝する」



「おほん。……では、教えてやろう。そもそもハーミット族は殻など背負っとるせいで、鈍重などというイメージがあるが、それは下位種での話なだけだ」  


「へー。じゃあ進化してるぎーと君は違うの?」  


「ぎーとって……あー……名前付けとったのか、それも含めて説明してやる。

 まず最初の疑問についてだが、上位種に成るほど背中の殻に負けないように自然と筋力が発達するのだ。

 お前たち人族で例えるなら、足腰が尋常じゃなく強く強靭になる。

 跳ねてる姿など見たこと無いからこうして聞いておるのだろうが、実際問題跳ねて飛んでなど朝飯前なのだ。

 無論、奴らの多々ある脚で着地の衝撃を綺麗に分散する芸当ができうるから可能な事だな」 


「へー」


「そしてお前は名前を付けている、それは多少なりとも魔物にとっては“繋がりを持つ” ということだ」  


「登ってくる途中に付けたばっかなんだけど」


「付けた瞬間から見えぬ力の管が接続されるような物なので、いつ付けたなどさして重要ではない。付けた瞬間、から変わる。

 どうやら、聞く話すぐさま飛んできたようだが、此処から奴らの生息地までは少々遠い」


「の割に呼んでからちょっとおやつ食ってる間に来る? 早くない?」



「なに、簡単な話だ。こやつの体躯且つ体力があればそのくらい一瞬だぞ? 山など実は段差等々あれど距離はさして無いからな。

 もちろん、我の図体での話だが。

 そして指笛。いかんせん聞いてないので解らんが、魔物と人間では可聴域というものが違うのであろうな。こやつには聴こえたのだろう」



「へー」



「―――ギ」  



「ん? おお、すまんすまん。無視したわけでは無いが、少し他より大きかったとはいえあのチビがこれほど成長したとは……すまんが人間、こやつと少し話がしたい故、しばらく飯でも食ろうて時間潰しをしていてくれまいか?」



「んー? なんか話でもあんの? いいよ。どうせおやつ途中だったし少し離れて食べといてあげるからどーぞ」  


「すまぬ、恩に着る」  






(……さて。 我の声が聞こえておろう? ぎーととやら)  



(……おう。ばっちり聞こえとるがな地龍のおっさん。150年ぶりってとこやのー。……それにしてもおっ前、無残な姿じゃん? 丸裸じゃん?)



(ぐッ……これは我の不注意に対する自戒の為だ。貴様には関係ない)  



(あははは! どーせ大方姐さんの見た目に余裕ぶっこいて大口叩いた挙句シバかれたんだろ? わかるわーこの周りの惨状見ればだいたいわかるわープークスクス)   



(ぬぐぅ……よもや大昔訪れてきた勇者とかいう人間より遥か強者だとは思わなかったのだ……それに人間特有の武器すら持っていない。爪を持たぬ者がよもや、我以上とは夢にも思うまい)



(そーんで天下のドラゴン様が丸ハゲとはとんだ笑い話じゃんww

 ……まぁオイラも最初はなんだこのチビなんて思ってたけど、オイラの殻がこともなげに潰された瞬間ヤバさが分かったね。

 あっコレダメなやつだ。 って。

 潰されるのが自分じゃなくてよかったわマジで……お前らドラゴン族は他者を見る目がいささか節穴なんだよな。中腹に住んでるお前の手下たちなんか毎回まいっかい馬鹿みたいに姐さんに喧嘩売って後はもっぱらオイラたちの腹の中よ? あ、おいしかったです。

 そうそう、ちなみに姐さん人間ちゃうぞ。麓に住んでる岩人(ストーンマン)だってよ姐さん)  


(なんと!? 我が寝ている間に岩人らはそれ程進化したのか!? それと中腹の者共はは勝手に住み着いてる近縁種なだけで我とは全く関係無い)



(いんや。岩人たちは相変わらずのの〜んびり日向ぼっこ共だよ。たぶん姉さんが特別おかしいだけじゃね?)


(……岩人だったのかあの者は。だが、いかんせん見た目が人間どもにそっくりというか、どう見ても人間ではないのか?)  



(そんなもんオイラたち魔物だってよく突然変異するし、お前だって人間に化けられるだろ。はー……オイラも人間に化けて姐さんに撫でてもらいたいわー。ちいせぇ奴らが羨ましいよ……オイラはちょいとデカく成りすぎた)


(は? お主同族の(オス)よりあそこで能天気に飯食ってる岩人の雌がいいのか? 特殊過ぎぬか?)



(……はァ?  はああああああああ!? お前姐さんの良さが解らねぇの!? はァ〜これだからドラゴンは……お前後でちょっと仕返すっから覚えとけよ) 



(やめてくれ。すでに肌寒いのだ……これ以上我から何をしようというのだ)



(オイラも喜ぶし姐さんもとっても喜ぶことだよ〜。お前が犠牲になれば……な!)






「ぬぉ!?」   


 突如、地龍をガッシリ押さえつけるぎーと。  



「ん、どうした? ぎーと君? 喧嘩か?」  


 丁度俺もおやつを食べ終わり騒ぎを聞きつけタマが近寄る。 



「─ギギ」 


「ハサミ?」  


 片鋏を上にあげ、ショキショキアピールするぎーと。 


「ギー」


「コイツの……口?」 


 そしてその鋏で地龍の口を指し、自身の牙をガチガチと鳴らしてアピ―ルする。


 そしてまたハサミをショキショキする。


「……歯? あっ。地龍の……歯。あーあーあーあーあーなるほど。()()()()()()()と」



 顔に影を下ろし、うっすらと口の端を釣り上げ笑うタマ。 


 そしてどういう原理か解らないが、同じく顔に影を落とし悪そうな顔をするぎーと。  



「ちょ、お主ら、まさか……」  



「ナイスだぎーと君! 歯も立派な素材だよなァ! そのまま押さえといてくれ、 よっしゃ折るか!」


「ギッギ―!」 (了解しやした姐さん!)    




「ま、ままま待ってくれ頼む! 頼むから! ぎーと! 先の事は謝る!! 

 謝るから止めさせてく──


 ガシッ    


 ボギン!








「あっぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!?」  










 地獄の第2ラウンド開始である。

 コンテニューするドン!

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