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ハガネキ 〜彼女はメタルでハガネのやべー奴〜  作者: 爆散芋
5章 シンシアいいとこ1度はおいで
145/202

116ネキ ネキ、シンシアの大地に立つ

 前回のあらすじ



 〜 ブランボラク(シンシア大陸の港町)へと急ぐダイチ一行。の、馬車内 〜



「もう少しかかりそうねぇ……」


 リーフが馬車内の窓から外を確認し、小さくぼやく。


「早いほうだとは思うよ……?」


「クラーケンとかいう奴もう帰ってねーかにゃ?」


「その心配はないわよケッタ。クラーケン種は美味しいと感じた餌場に居座る傾向があるわ。きっとそいつも偶然近海に寄って船を襲ったのなら()()()()わよ。襲われた船にはとても悪いけど、次の犠牲者を出さないようにすることが今私たちにできる最善よ」


「詳しいにゃー。ものしリーフだにゃ」


「えぇ……? その変な呼びやめてよ……本とか読んで勉強……はそうね、ケッタはしないわねそうだったわね……」


「いやぁ〜それほどでもにゃーよ」


「褒めてないわよ……」


「(そういうことはリーフがしっかり勉強してくれてるから本当に助かってるよ?)栄養全部頭で使うからね? しょうがないね?」


「オイ。本音と建前逆。おい」


「正直狭い馬車内で喧嘩(おふざけ)するもんじゃないなと思った。すまん」


「まぁまぁ気負っても却って良くないでござるし着くまでにちょいと気分転換に魔物クイズでもどうでござろうか?」


「まものクイズぅ?」


「では問題! ワン! ワン!(迫真) なんの鳴き声?」


「えっ嘘、とっても声真似巧いじゃないダイチ!?」


「拙者の隠し芸にてござるよ」


「タダノウルフの鳴き声……?」


「はいナハト大正解! では次! キンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキン!」


「えっ何その音、……金属音?」


「魔物……でも鉄……? うーん……」


「あっ、これ知ってるにゃ! あちしらの里近くに居るキンタソードモンキー(玉剣猿)の縄張り争いの音にゃ!」


「え、えぇ……? ケッタそんなヘンテコ魔物本当に居「ピンポンピンポン! 大正解にござるよ! よくわかったでござるなぁケッタ!」


「にゃっふ〜ん(ドヤァ……)」


「「居るの(んだ)!? ソイツ!?」」



 ーーーー




 〜 ブランボラクの船着場 〜



「ハッハッハー! 待たせたなぁ、ブランの町に到着だぜぇ!」


「おー。やっと帰ってきたか、思えば長かったわ……」


 ま、俺大体のんびりしてたんだけどね。


「着いたぁ〜! 大事なく着いて良かったね! ケラス! あ、船長、助かりました〜」


「うん? 大事なく……? うん、まぁ……そうだね。うん、乗せてくれてありがとうございました、船長さん」


「船長殿、此の度は乗船させて頂き誠に感謝申し上げます」


「いーってことよ! 俺ァこんな楽しかったのは久しぶりだったぜぇ! また渡りたい時に俺たち居たら声掛けな、タダで乗せてやらぁ。さて、俺たちゃこれから荷降ろしで忙しくなるがアンタたちも早く宿探すと良いぜ、日が暮れてからじゃおせーしギルドにゃ明日にでも金貰いに行きな」


 会釈や手を振ったりなどそれぞれの反応をしながら冒険者たちは今日の宿を探すべく賑わう町中へと紛れ込んでいき、最後にタマがのっそりのっそり船長のもとへと近寄った。


「え? これ金くれんの船長?」


「は? タマちゃんこの船旅なんだと思ってたんだ? 一応護衛依頼なんだぜ?」


「あー……そうだっけか。そんな気もするわ、俺は此処に着ければなんでも良かったしタダ乗りできてラッキーくらいにしか……」


「……フッ、いやほんとお前さん面白ぇ奴だわ。また来いよ」


「……乗賃タダ?」


「金払うから乗ってほしいくらいだぜ、旅目的じゃなかったらスカウトしてるな」


「いえーいじゃあまた乗るー」


「おう! ほれ、アンタも早く宿探さねぇと今晩野宿になっちまうぞ」


「お、そうかそうか。俺は構いやしねぇけどあるに越したことはねぇもんな、じゃ、俺も降りるわ船長。じゃーな〜」


「おう! またな! ……さて、野郎共! 仕事はたっぷり有るが終わらしゃ暫く好きにしていいぞ! 働き者から休みくれてやらァ!」



「「「イェェエエイ!! さすがお頭!」」」


「船長だっつってんだろ!」


「「「さーせーん!!」」」



 ――――



 うむ。 シンシアに帰ってきたっちゃきたけど実感全然湧かないな! 知らん所だから当然か。


 さっき船長と別れる時に言ったように別に野宿でもなんでも良いんだけど町中だとかっこ悪いしなぁ。


 とりま適当に道聞きたいからそこら辺のおっさんの肩捕まえてっと……


「おっちゃんおっちゃん、ちょいと良いかい?」


「あ゛!? いきなりなんだアン……


 はい大銀貨ギューッとな。


 ん? ……なんだい大きなねえちゃん」


 はいもう1枚ギューッ。


「俺ここ来たばっかでギルドの場所わかんないんだよね。ざっくりとした方向で良いから教えてくんね?」


「え? ギルド? それならこの人混み抜けりゃ向こうの通りにすぐ見えるが……」


 有無を言わさずに握らされた2枚目の大銀貨とタマの顔を交互に見て少し困惑しながらも素直に応える男。


「わかった。助かったぜおっちゃん! じゃーな!」


「あ、ああ……」


 男に礼を言い強引に人混みを掻き分け(直進してるだけだが)雑踏に消えたタマ。 残された男は少しポカンとした後我に帰り、2枚の大銀貨をまじまじと見つめ、


「……本物だ」


 と呟いた。




 ――



 おーおー、港町とかそんなんだけあって人賑わってるなぁ。露店沢山並んでてて果物やら武器やら雑貨やらフリーマーケットみてえだな。


「お! そこの綺麗で大きなお姉さん! ちょっと見ていかない? 新鮮な果物有るよ!」


「お、じゃあその赤いやつ1つ」


「はいよ! 銅貨8だよ」


「じゃ銀貨1枚。釣りは取っといてくれ」


「お! 懐もでかいねぇ!」


「それほどでも」


「またきとくれよ〜……」




 呼び掛けられた露店の人から果物を1つ買い、暫く投げて遊んだ後ガブシャリと果汁を飛び散らせつつ、果物へとかぶりつく。


 あ、このシャリシャリ感は……林檎や。 ちょっと形違うけど赤いし林檎だコレ。 悪くないわねコレ、また見かけたら2~3個買ってもいいかもしれんな。


 ……けーぷ。 リンゴも喰ったしもうちょいしたら抜けてギルド見えてくっかなー。



 ……お? 路地裏みたいな所もあんのな。 まーゴミ散らかって()ったねえしなんか呑んだくれてるおっさん居るのは何処も変わんねえのな……


 ん? おっさん? えっ1人だけなんか路地裏でヤケ酒してるのこっからよく見たら見えるわ。


 異世界でも路地裏おっさん居るとかマジ? ちょっと面白そうだから絡んでこよ。

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