114ネキ 足裏からトゲ付きキャタピラ出たらかっこいいよな
前回のあらすじ
街中を歩いてる際に急にオンドゥル語で話しかけてくる人がいた際に役立つ日常会話のコーナー
ウゾダドンドコドーン!!
訳: 嘘だそんなことー!!
ディオバスティオ…
訳: 手を出すなよ
パンツハワタサン!
訳: そいつは渡さん!
これで明日から君も超絶滑舌悪い人に話かけられても大丈夫だな!
――――
一方その頃船外、海中。 マクレ&魚人s
「どっせい! ……ん? うおっと!」
船体にがっぷり張り付いている腕目掛けて鍔のない長い刃渡りの刀……長ドスだコレ。 にて切り込むが、瞬間違和感を覚え即座にドスを引き抜く。
「かぁーっ! このタコ助木偶の坊かと思ったら存外やるねぇ、 筋肉で締めて人様の得物持っていこうたぁふてぇタコ野郎だ。おまけに俺っちが切った痕もすーぐ治ってるときてらァ」
「おやっさーん! こいつ、武器が効かねぇっす! こう、切っても刺してもあっという間に治ってしかも武器が抜けないっす!」
「バッキャロー!」
「サーセン!」
「ったく……おい! どきやがれぇい!」
「うわ!?」
間一髪、強い水流を巻き起こしながら牛が蝿を追い払う感覚で振られた腕がマクレたちへと襲い掛かるが、いち早く察知したマクレに引っ張られたことによって事なきを得た。
「た、助かりましたおやっさん……」
「ったく若ぇのは世話が焼けるぜ……さて、下手に切っても効かねぇ武器は取られると来たもんだ、やってできねえことはねぇが俺っちの経験と勘でこいつぁ腕の1本や2本もいだところで生えてきちまうだろうな」
「まさか!」
「俺っちさっき切ったんだけどよ、そりゃもうスーッと傷が塞がっていきやがったんでぇ。クラーケン種は元から腕が取れても7日ありゃ元どおるすげぇ奴らだけどよ、このクソデケェタコ野郎はハッキリ言っておかしいぜ。 そりゃもう俺っちびっくりだよ!」
「じゃあどうやって……」
「やってできねえことはねえって言ったぜ? 後はタイミングよ。タイミング」
その時、海中にも聞こえる雷鳴音と電撃の余波が拡散する。
「うおっ!?」「うわ!?」
「おやっさん!」
「でぇじょぶだ、ちょいとピリッと来たがな。見な、あちらさん相当お冠と来てらぁな、ほとんど上に腕持っていきやがったぜ、こいつぁチャンスだぞ。おめぇら、武器構えな。そのタイミング、逃しちゃなんねぇぞ」
「了解ですぜおやっさん」
『――――ぅおぃっ!』
「「なんだ!?」」
――そして海上。船の甲板――
「どうやってどうするとかそういうことはべつに考える必要ねぇんだよなぁ。いいか黒たこさん太郎、よーく聞け。聞かなくてもいいがよ。 俺は“今からお前の顔面に蹴りをくれてやる” 実に簡単だ。真っ直ぐ行ってぶっとばしゃいいんだからな」
「ウェー?」
何を言っているんだという具合に目を細め、まぁいいや取り敢えず叩こ。 と、適当な腕の1本がタマへと狙って振り下ろされた。
「タマさん!」「タマ殿!」
駆けつけようとしたケラスとジアンに“来るな” と目配せをし、咄嗟に気が付いたジアンがケラスを引き止め、次の瞬間、タマの頭上に黒腕が叩きつけられ、揺れる船体。砕ける木片。
――なんだ。 やっぱりただの小さい奴だったか。 と思ったが、腕に多少の違和感を覚えるクラーケン。そして、突如“バツン!”と聞こえたかと思うと腕が切れ、驚く。
「ウェァ!?」
「取り敢えず、“汝右のほっぺを殴られたら相手の左頬フックすべし”って格言があるからなぁ。お礼返しで受け取れ酢だこさん太郎よぉ」
叩きつけられる寸前に盾を展開、移動合体変形、巨大ニッパーにて右腕は天に。左腕は添えるだけ。
激しい衝撃をものともせずに受け止めた後、手に力を込め、切断したのだ。
(どうやってもタマに説明したところで覚えないだろうからという理由でガンテツがとりあえず感覚でなんでも出来るように作ったとのこと。ガンテツマジガンテツ。)
――
「おお! アレを真っ向から受け止めるとは、やはり“鉄腕姫”の名は伊達ではありませんな!」
「ジアンさんなんかキャラさっきと違くないですか?」
「あいや失礼! 実は私先日の大会を観戦しておりましてな! 端的に言って彼女のファンですゆえ!」
「あ、そうなんですか……」
「ケラス〜。大丈夫回復したっぽい」
小さな小瓶に入った液体をちゃぷちゃぷ揺らしてセレソが魔力の回復を伝える。
「あ、大切に隠してた魔力回復薬飲んだんだね」
「ぅえっぷ……ケチるのは良くないのよ〜。 あ、ジアンさーん。あの、こう、ズバッと剣からなんか飛ばすやつってもしかして剣に乗せた強化の魔法を飛ばしてたりします?」
「御明察。 よくわかりましたな、して何か気になることが?」
「それって〜、外から魔力乗っけたら飛ばせますかね?」
「理論とやり方としては外から乗せられても何ら問題はな……もしや?」
「ジアンさんたち4人ともできますよね?」
ちょっとした悪戯を思いついたノリでニコリと笑うセレソ。
「……なるほど! 実に面白い! その話、乗りましたぞ!」
兜の奥に隠れ窺えないが、同じくニヤリと笑ったジアン。
「聞いたなパダン、ソド、イスパ。諸君らも今日は派手に打てるぞ」
「応さ」「承知」「素晴らしい」
「あー、じゃあいきますね“増増幅!”」
「み、み、な、ぎ、るぅ〜! すぅー……“強化付与”!」
「おお……これは……!感謝致しますセレソ殿! それでは皆、構え、集中!」
腰だめの体勢でジアン一同が同じ構えを取り、ピタリ。とその時を待つ。
「も〜だめぇ〜……ケラスおんぶぅ……」
「いやちょっとさすがにおんぶは……ほら、肩貸してあげるから避難しよう。流石だよ君は……」
――
「やるじゃねえかタマちゃんよ。 よし決めた。砲撃手ぅ! 壊れたって構いやしねぇ! このタコ野郎に、一泡吹かしてやりな! キンガ砲弾装填用意! 俺の合図でぶっぱなしなぁ! ついでに下に居るだろうマクレに合図送っとけ!」
「アイアイサー!」
「船長、キンガ砲壊れてもいいんすか!?」
「海の漢が格好良いところ見せられないで良いわけねぇだろが! 漢が廃るぜ!」
「……了解ですぜ頭! 流石俺らの頭だ!」
「ったく……今は船長と呼べってあれほど言ってんだろがボケ。……さて、今から見とけよ? クラーケンのタコ野郎」
――
「ヴぁーー!? ノーブハイマキタァ!」
叩き潰したと思ったら痛みと共に自分の腕が切り落とされ混乱と癇癪を起こし、2本を同時にタマへと叩き付ける。
再び揺れる船体。 巻き上げられた木屑と埃が晴れ、そこに新たに響く切断音。
今度は盾を両手に戻し収納、瞬時に再展開。 両手に展開された巨大鋏の形はいつものペンチ形状とは違い、三日月のような形状に変形し、厄介なヌルヌル滑りもお構い無しに逃がさず捉えてバッサリですよ奥さん。
「やあどーもお久しぶりのカニタマさんだよ! 今度はマークIIってとこかな! え? しらない? じゃあはじめまして! そしてくたばれ!」
盾を解除してクラーケンへと向かって駆けるタマ。そして跳躍。目指すは奴の眉間ただ一つ。
「こぉーれぇーがぁーおーれーのぉ! 伝っ説っ! イナズマキィィィィィィク!!」
「今だ野郎共! ぶっぱなせキンガ砲! ニレンダァ!」
「今だ! “残波”!」「“久米閃”!」「“裂元”!」「“斬凶之露”!」
「解体包丁! 長ドス連結! いくぞちきしょい! “秋刀魚大閃槍”!」
メガトン級の急降下キックがクラーケンの眉間へと炸裂すると同時に、 2連大型大砲が自壊も厭わない砲撃で腕の2本を破壊、続く剣士冒険者の渾身の斬撃波にて更に2本、船をがっちり捕らえていた船体横の2本も再生が間に合わないほどのマクレの回転斬撃により、破壊。
そして。 腕のほとんどを破壊されたクラーケンは重しによりとても大きな飛沫を上げながら船から引き剥がされ海中へと没した。
「見たかこのタコ野郎めが! 俺んところのキンガ砲舐めてんじゃねえぞ!」
「噴進装置!全力で吹かして奴から離れます!」
「おうよ! このまま突っ切っちまいな! おっとマクレたちも忘れんじゃねぇぞ!」
「アイアイサー! あ、もう乗り込み完了の合図がありました! 全力離脱します!」
「おう!」
そして急いでその場を離れたキンガ号。
しかし、ここでジアンがあることに気が付く。
「船長殿。 タマ殿は……何処に?」
「はぁ? タマちゃんだぁ? ……あっ」
「あっ」
ジアンとマッキー。 タマをちゃっかり置いてきたことに気が付く。