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ハガネキ 〜彼女はメタルでハガネのやべー奴〜  作者: 爆散芋
4章 家に帰ろう シンシア目指してどんぶらこ 編
138/202

112ネキ 出発したバスは強引に止めるな

 前回のあらすじ


 オラオラ! 何を隠そうワイは泣く子も黙る海の覇者大海蛇(シーサーペント)様やで!

 ここいらでは負け無しでブイブイ言わしとるんや!

  強靭! 無敵! 最強やぞ!


 ……お? なんや気持ち悪い感じ出しとるデカいのが悠々と海面泳いどるのう? おうおうワイの縄張り(シマ)でいい度胸しとんのうデカブツ! 図体がわいよりでかいからっていい気になんじゃねーぞ!


 いっちょビビらしたるわいな! ワイの威嚇でションベンちびったらあか……痛いんごォォォォ!? なんや動けへんやんけ! この小さい奴ら小賢しッ! アカン! 一旦出直し─「“残波(ざんぱ)ッ!”」








 か ば や き





 ――――




 あーあー、マイクてすマイクてす、赤パジャマ青パジャマ着パジャマ本日も晴天なり。波も穏やかで絶好の航海日和ってな?




 ま、俺 は 寝 て る だ け ど な !



 こないだのちょいと運動がてら海賊君たちと遊んでからは特に何もねえ。

 びっくりするくらい何もねえ。

 テレビもねえ! ラジオもねえ! 車もそれほど走ってねえ!

 そらそんな物あるわけねえ! おらさシンシア(ガンテツのとこ)さ行くだ〜♪


 ……うん。鳥と戯れながら海見てこんなくっだらねえこと考えてるくらいには暇。

 あ、いや、先日食った(シーサー……)……なんとか、シーサー……いや、南の国の狛犬のことじゃねえ……うん大鰻だっけか? そう、大鰻君。いやー彼奴はすんげー美味かった。その日は船中蒲焼祭りよそらもう。……ん? 俺なんか船乗る前にも鰻食った気がするな? んー……わからん! まぁいいわ。


 船に引き揚げるのと解体手伝ってその間に準備してたマクレのおっちゃんがすげー綺麗に捌いて串うって蒸して焼いてタレに漬けてまた焼いてで蒲焼一丁上がり。 これがすげー美味いのなんの。

 この船乗ってから寿司やらカレーやらやたら懐かしの日本食ばっか食ってる気がするけどなんでも美味いから俺はどうでもいいや。 飯が美味い。 ついでにそれはそれとして石も美味いから人の食えないものも食えて倍お得だな?


 あ〜また鰻くん出てこねぇかなぁ……素材になるとかで骨もしっかり回収してるところ無理言って数本貰ってからおっちゃんに揚げてもらった骨も結構な珍味で美味かった……骨って揚げたら割と食べられるのにみんな珍しそうに見るから「食うか?」って聞いても「顎の力が足りねっす」って言われて断られた。

 勿体ねえなぁ……美味しいのに。


 今日は昼寝する気分じゃなかったので適当な壁にもたれつつぽへーっと海を見て大会で貰ったわた○チ石の欠片を親指でピンと弾いてお口キャッチ。 うむ、ナイス俺。 そして美味いわコレ。

 なんだっけな? これの本当の名前……覚えてるのは覚えてるんだけどポンと何かの拍子に忘れるんだよな〜。


 いや、俺は痴呆とかそんなんじゃないまだピチピチの10代だ。 なんなら何歳……多分10歳以下。 うん多分そう。

 早速今何歳か忘れたけど誤差だよ誤差!

 10以下って言ったら幼女よ? 幼女! 俺みたいな美幼女世界のどこ探してもそうそういませんよ? 全く……


 うん? なんの話してたっけな。

 ……あ。そうそう、わたパ○石の名前だっけな。 ……えーと……


 かみなりの()し?


 いや違う。そんな用途が名探偵電気毛玉とかに使う系の名前じゃなかった気がする……思い出せないし、……まぁ良いか? かみな()のいしで。


 と。どうでもいいことを考えながらお昼寝に使う樽をセッティングする俺であった。うーん、この樽はここか?


 いやこうだな。 うむ。 寝心地良さそうなならびである。 後は借りてきた毛布をクッション代わりにしてと。 ……お? なんか海面跳ねてる群れが見えるな……え? 何あれ?

 ……バッタ? 青いバッタ。 あの形はどう見てもバッタ。

 タカ! トラ! バッタ! のバッタ。


 近くの船員へと近寄り、アレは何かとタマが尋ねる。


「おいーす」


「あ、どうも姐さん。今日は起きてるんすね」


「ま、たまにはな。昼寝場所のセッティングしてたのさ。んで、()()俺はじめて見るんだけど……アレって虫の飛蝗(バッタ)だよな?」


「ええ……? 何がどう入れ替わったのか全然わかんないんすけど……ああ、()()っすか? ……お、海飛蝗(シーホッパー)の群れっすね。割と遠くだとあいつら見えにくいのによくこっから見えましたね?」


「しいほっぱぁ? 目は良いほうだかんね。 ……虫?」


「あれ、姐さんもしかして海飛蝗(シーホッパー)見るの初めてっすか?」


「うむ。海で虫つったら船虫(フナムシ)しか知らん」


「フナムシ?」


「えっと……これくらいで、海の岩場とか船着き場によく居てサカサカ走る虫」


「ああ、船虫(ワルフ)のことっすね? 姉さんのとこだとフナムシって言うんすね……と、それと同じで海飛蝗(シーホッパー)も虫です。 普段は海中に居て海藻やら藻とかを食べてます。大型の動物やら魔物と出くわさずに移動してるうちに海面を飛び跳ねるようになったらしいっすね」


「へー、勉強になるぅ。 ……ん? あいつら割とデケぇけど“魔物”じゃないんだ?」


「そら姐さん動物と魔物の違いは体内に魔石持ってるか持ってないかっすよ。動物が何かしらの理由で体内に魔石持って魔物になるやつも沢山いますけど。この間狩った大海蛇(シーサーペント)は魔物ですし実は俺らで言う魔法も使ってきます。 こう、口から陣が出てとんでもない威力の水流をドバーッっと……俺らはもうわかってるんで顔を上に向けるように引っ張りあげて縛り付けちまえば大したことはないんですけどね、装備もろくに積んでない船があそこの海域突っ切るとたまに帰ってこない奴らもいますし」


「へーへーへー」


 押すボタンがないので心の中で連打。

 つーかウナギくんじゃなかったわ名前。でも鰻だからやっぱりウナギ呼びしとこ。


「ええ……姐さん結構な格の冒険者なのにそういうの知らなかったんすか……知ってると思っててもあえて説明したんすけど……」


「俺にあるのは腕っぷしだけだし、それと俺興味ないこと全然(ぜんっぜん)頭に入れないから(キリッ)」


「すげーいい笑顔で言い切るよこの人……」


「お、バッタが騒がしくなったと思ったら後ろですげーカッコイイ魚が跳ねたぞ」


「あれは突貫鮪(ツナドリル)っすね、俺らの船は避け焚いてるので来ないっすけど、あいつが間違って船底の竜骨に当たった日にゃあそりゃもう……多分ご馳走の海飛蝗(ホッパー)を大方追ってるんでしょうね。……ちなみに言いますけど、釣ろうとか考えたら駄目っすよ? 避けはあってもこっちに誘導したら流石にやべーっすよ」


「あ、そうなの? ちぇー」


「やっぱり考えてたよこの姐さん!」


「ま、機会があったら捕まえてみたいわ、なんたって形がかっこいい。この……“俺は今から刺さるぜ!” みたいな形がなんとも」


「多分姐さんなら捕まえそう」



「じゃあさじゃあさ、今度は向こう側で海面走ってる黄色と黒のクッソ目立つゴキブリ(ぐん)も虫か?」


「アレは(シー・)(タイガ)蜚蠊(ジャイアントローチ)って言ってれっきとした虫魔物で、海底の死骸とかをを食べる海の掃除屋で目立つ色は毒があるから……って、ええ!? あいつらが海面走って逃げるなんてよっぽどのことっすよ!? 船長に報告しなきゃ! すいません姐さん、ちょっと失礼しますね!」


「おーう、話し相手になってくれてありがとな〜」


 大急ぎで船長に報告、警戒を厳にして船旅を続けるも船員たちの予想とは裏腹に何事も無く航海は続き、


「ミャッミャーオ(目的の島が近くになりましたのであっしらはここいらでお別れになります姐さん。またご縁があれば会うことでしょう)」


「おう、またな」


「フゥーッ!(また情熱の魂震える舞を!)」


「マイコー、お前の踊り最高にキレてたぜ」


 渡海猫たちも目的の島へと飛び立ち、大海原に消え、暇だからと遊びがてらジアンから居合を学び、なんか違うけどまぁ良いでしょうと諦めなのか太鼓判なのか分からないOKを貰い。



 なんやかんやで遂にシンシア大陸が見え始める所までキンガ号は無事に辿り着く。


 大陸を一目見ようと冒険者たちが甲板の先へと並び、マッキー船長も船内にて明日到着予定の港町(バガディール)へ渡す品のチェックに大忙し、さて、大方済んだので一息着くかと思った矢先─



 不意に船が不自然に揺れ()()()




 ――オイツイタ。 オイツイタ 今度ハマチガエナテイ。






 奴が、来た。

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