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ハガネキ 〜彼女はメタルでハガネのやべー奴〜  作者: 爆散芋
4章 家に帰ろう シンシア目指してどんぶらこ 編
136/202

番外ネキ 全身黄色のタイツのアイツと襟元

 前回のあらすじ



 タコとひょっこり海賊島(なお地獄)




 ――――





 とある船に乗せてもらったとある魔法使いコンビの男性Kさんの話。


 ――船内動力室――


「ガッハッハッ! わりぃな! コレ(サイドスラスター)の魔力タンクに再充填(リチャージ)してもらってよォ!」


「いえ、正直僕たちもやること無くて退屈してましたんで……に、しても、容量凄いですねコレ(魔力タンク)……」


「おう、そうだろ? 凄ぇだろ? ニョッキのギルマスが俺の旧友でな? そいつに無理言って積ませた特注品よ! コイツは!」


 大声で笑いながらタンクをバシバシと叩くは乗せてもらっている船の船長、マッキーさん。 そんなにタンク強く叩いて大丈夫なのだろうか……


「う〜ん、疲れたぁ」


 僕の隣で小刻みに震えて伸びをする彼女、セレソは僕の相棒とも呼べる存在だ。 相棒……よりは伴侶が正しいかもしれないけど。

 僕の倍以上の魔力を出してもまだ余裕がある辺り本当に凄いなぁ……


「おお! すげえ充填されてるな! これなら明後日くらいにゃほぼ満タンだな!」


「いやほんと凄い容量ですね……」


「そりゃ俺のキンガ号をぶっ飛ばすパワーだからな、燃費も相応ってもんだぜ! 普段は魔法っけがある奴ら集めてやっても7日以上はかかるから兄ちゃんと嬢ちゃん居て助かったぜ」


「船長ぉ〜 それだったら魔力高い人雇ったらどうなんです?」


「確かに嬢ちゃんの言う通りだけどよ、基本コレは緊急用なんでな、まず使うことなんてねーのよ。 ま、使うときゃ使うけどな、ガハハ! まぁ、嬢ちゃんの言う通りに再充填(リチャージ)が早ええのはいいことだから考えてみる価値はあるわな! なんならウチで働くかぁ!?」


「いえ……申し訳ないですけど僕らは向こう(シンシア)に用事があるので……その……」


「冗談だよ冗談! 気にすんなよ! ま、俺は二人とも気に入ったから来たくなったら何時(いつ)でも来な! 来なくてもいいぞ! ガハハハ!」


 今度は僕の背中をバシバシと叩く船ちょ……あっ痛いです痛いです。結構痛いです船長!


「凄い機嫌良いですね船長〜」


「おう! 今回はタマちゃんのおかげで退屈してねーからな! こんなに楽しい航海は久し振りだぜぇ!」


「あ〜。先日も凄かったですね! 大砲に入って、“ドカン!”って……」


「ほんとな! そんで追い付きゃ船の上で踊ってるたァ今思い出しても笑いが止まんねえぜ! ハハハ!」


 セレソと船長の会話に出てきたタマという人物、彼女は、まぁ……とにかく普通じゃなかった。


 初め船に乗り込もうかとしてる時に話しかけられた時は身長故の迫力に少し驚きはしたものの、気さく……えーと、どこかの土地の言葉で……タケ、タケ……そうだ。“竹を割ったような”人だったのでセレソのいつもの感じにも嫌な顔1つしないで仲良くなってくれたのは嬉しかった。


 彼女に悪気はまったくないにしても稀に“態度と話し方が気にいらない”とかで突っかかってくる冒険者(同業)はいるし……いやまぁ、大事になる前に僕が職員(ギルドの人)呼ぶし、そもそも彼女普通に強いから同ランク程度なら……うーん、そういえばBの人に言いがかり付けられたことってなかったな?

 Cないしそれ以下……なんでだろうか? ……おっと、タマさんの話だったっけ、噂に聞いた剛力無双は本当だった。

 海中に落とした砲弾を取りに潜ったのはいきなりだったね。更に僕が2人いても持てるか怪しい砲弾が詰まった大きな木箱を難なく持ち上げて海中から出てきた時はそりゃもう驚いたさ。


 でもこれだけじゃなく他にも食堂に案内されたら船員の魚人さんたちにモテてたり、すごい音がして外に出てみたら爆音を起こして漁をしたとかなってたし……海鳥がやたら集まってたりで……ああ、鳥の群れにダイブしたセレソがちょっと羨ましかったなって……そして極めつけは先日の海賊襲撃事件だね。


 警鐘が鳴ってに急いで出てきたら船長から身構えるようにと言われた矢先、寝ぼけまなこでフラフラ話を聞きに来たと思ったら急に元気になって隠し待ってた自前の爆弾? を大砲に投げ込んだ次には砲身の中に乗り込んで爆発で飛んでいったんだよ。


 しかも無傷だよ無傷。頑丈なんてものじゃないさ、極めつけは1人で海賊船団を壊滅させたことだよ……やっぱり高ランクの冒険者って人間って言っていいか解らない人たちばっかりだよね…… Bの壁は大きいなぁ…… っと、そして船長とセレソが言ってた乗っ取った船の上で踊ってたの話になるんだけども……その……なんていうか……噂以上に凄い人だったよ。


「……す」


「……ラス」


「ケラス!」


「はッ!? な、なんだいセレソ」


「お腹すいたから魚おじさんの所いこ? って言ってるの!」


「あ、ああ。 ごめんよ、ちょっとぼっーとしてたよ」


「二人ともマクレんとこでたらふく食って明日も頼むぜ! 部屋ではしゃぎすぎて逆に疲れたとか勘弁してくれよ? ま、急いでないから構わねえけどな! あ、壁はけっこう厚いから安心しろよな!」


 マッキーがにこやかにグッと、女握(めにぎ)りをサムズアップ代わりに行う。 (親指を人差し指と中指の間から出すアレだよ!)



「あ、ハハ……」


「や〜ん」


 乾いた笑いで濁す僕。 セレソ、君はなんで嬉しそうなんだい……?


 また来る時は一応船員の誰でもいいから1人捕まえて鍵を頼めば開けてもらえるとのことで約束を貰い、相棒のお腹がクルクルと音を出して主張し始めたので急ぎ食堂にて食事を分けていただくことにした。


 ……この“カレー”という食べ物。魔国でポピュラーな“コメ”に“ルー”をかけて食べるという物なのだが、マクレさんに聞いた話この土色のルーには相当数の香辛料や、秘伝のもの(教えられないとのこと)を三日三晩煮込み1日寝かせてからでしか更に出さないというから手間暇が凄く見た目以上に高尚な食べ物だった。


 このなんとも言えない涎がついこぼれる香りの前には土色がどうだとか些細な問題でしかなかった。

 ところでセレソ。僕以上皿を空にしてるのに全く膨れない君のお腹はどうなってるんだい? ……ほら、口周りがカレーまみれじゃないか。


 マクレさんにお礼を言いつつ船旅で僕らがやれることは限られてると言うかほぼ無いので、魔力の回復のために後は部屋で休むだけなのだが……


「……セレソ、ベッドは2つ有るのに何故僕の方に居てかつ僕を羽交い締めにしてるんだい?」


「いや〜、働いたでしょ?」


「まぁ、魔力使うのが魔法使いの仕事だしね? 働いたかは微妙だけど」


「魔力使ったらおなかが減るからごはんいっぱい食べたでしょ?」


「僕の倍以上のよく食べられるよね、毎度感心するよ……」


「じゃあやることもうないからヤることが残ってるでしょ?」


「いやだから、周りに聞こえたらよくないから悪いけど我慢してって言ったで……




 “壁は厚いから安心しろ!”(半透明の女握りサムズアップ船長)


  あっ。 あぁ〜……」




「我慢は良くないよね〜」


「いや、ちょ。まだ明るいし、ね? みんなも起きてるし……」


「逆よ、逆〜。 みんな起きてて忙しくて音が出るでしょ? ケラスの言う通り夜まで待ったら今度は“静かだから〜……”とか言うの解かってるんだから……ね?」


「でもsむぐ……」


 参ったな……もう言っても聞かなさそうだ。口を塞がれてしまった……


 観念した僕はそっと彼女のローブへと手をかけて、優しく脱



 ――じくう が とつじょ みだれる ! ――


 ディウン!(何かが開く音)


「やぁ! 唐突だけど私はストゥレッチムァン! 遥か時空の彼方彼方からやってきて色々な人々に柔軟の素晴らしさを伝えることが使命さ! よく行く先々(さきざき)で“どけぇぇぇぇ!” とか、“呼んでねぇぇぇ!” とか何故か言われてしまうけど私はそんな罵詈雑言には屈しないさ! さて、話が長くなってしまったけどさっそく僕と一緒にストゥレッチパワーを身体に貯めようか!

 まずはラジオ体操第1〜……




 ――

 ―

 ポッポー。ポッポー。ポッポー。


 謎の鳩時計が鳴り響いて大体数時間後。



「うん! ストゥレッチパワーが溜まってきたようだ! これなら次の時空へと向かうには充分さ! 画面の前のよゐこのみんな! これからも毎日欠かさずにストゥレッチパワー、溜めるんだぞ!

 じゃあね〜」



 ドゥルン!(何かが閉じる音)


 ――じくう の ゆがみ が もどった ! ――



「ふぅ……すっかり空も暗くなっちゃったね……ちょっと、夜風に当たってくるよ……」


「……んぅ(行ってらっしゃい)」



 そさくさとローブを着込み、船の甲板へと、まだすこし火照る体を冷ましに向かう。


「……今日は星がよく見えるな……」


「そうだよなぁ? 星を肴に1杯は最高だよなぁ?」


 1人夜空を見て呟いていると、いつの間にかタマさんが隣で1杯やりながら登場した。


「あ……起きてたんですかタマさん、こんばんは」


「おう、こんばんは。だ。そりゃこっちのセリフなんだよなぁ、起きる必要のある奴以外は寝てるような時間だぜ? そんな時間に星空見てる野郎がいたら気になるだろ?」



「いやぁ……ちょっとだけ、柄にもなく夜風に当たりたくなりまして……ね?」


「ま、俺にゃァなんだって良いけどよ? ほれ、1杯どうよ?」


「あ、お気持ちだけ貰えると……」


「ん、そうか」


「すみません……」


「いやぁ? 気にすることじゃねえよ。 じゃ、俺は向こうで寿司食ってるから食いたくなったら分けてやんぜー」


「スシ……?」


「あ、ついでに襟になにか巻いて隠しときな? ()()()()()()()()()()()()()()()。ククク……」



 カラカラと笑いながら悠々お気入りの場所へと戻る彼女を見送って、ふと、最後にニヤニヤ言っていたことがふと僕に引っかかる。


 エリ? 襟……あっ!? しまった!?






 時すでに遅く、僕は携帯している小鏡で見た僕の首には痣が残っていた……それも、凄くわかりやすい痣が。





「んぅ〜……むにゃむにゃ……ちぅー……」

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