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ハガネキ 〜彼女はメタルでハガネのやべー奴〜  作者: 爆散芋
4章 家に帰ろう シンシア目指してどんぶらこ 編
135/202

番外ネキ 海岸沖で捕まえて

 前回のあらすじ



 K! (海賊!) B! (バード()!) S! (ショウタイムだ!)


 ――――


「……ら!」


「……しら!」


 なんだ……? いったい誰が俺の肩を激しく揺らして呼んで……


「頭ァ!」


「おわっ!?」


「あ、やっと起きましたか」


「い、生きてる……のか?」


「ご覧の通り死屍累々ですけど。あんだけ派手にやられた割には結構な感じで打ち上がってますね」


 セーンスの部下A(仮)が指さす先、島の砂浜へと打ち上げられた海賊たちが死屍累々。(生きてるよ!)


「えーと……たしかマッキーに恨みがある奴ら集めて、カチ込んだ……が、大砲で飛んできた変な女が落ちて自滅したかと思ったら泳いで飛んで跳ねて……うん? 俺は何か変なことを言ってないか?」


「変なことは言ってないですが確かに言ってます、とんだバケモンでしたね」


「ああ、そうか、それで白旗あげたら小舟に詰め込まれてぶん投げられて……うっ、頭が……」


「いやーほんと……これからどうします?」


「つってもなぁ……お、愛帽も流れてきてたか」


 海水をたっぷりと含んでいる服を絞りつつ立上り、ついでに帽子も拾って砂を払い被った後、周囲を見渡す。


 水平線がよく見える穏やかな海面。


 後はよく見知った島特有の森林。


 波打ち際をなぞるように延々と続く船の残骸木片木っ端。


 何とか生きてる海賊。


 海賊。


 木っ端。


 海賊木っ端海賊木っ端海賊木っp……


「いや多いな!?」


「海流のせいでここいらの漂着物って基本的に全部この海岸に来ますからね……」


「まずは起こせるだけ起こして拠点まで戻るぞ……腹も減って死にそうだし喉もカラッカラだ話はそれからだ」


「へえい。了解でさ」




 ――尺カット&数日後――


 後日、何とか拠点へと辿り着き、何故か“漂着の砂浜”(海賊たちによる命名。余談だが大昔からそう呼ばれてるのでセーンスは関与していない)へと戻ったセーンスたち。


「俺の見立てが間違ってなけりゃ……今日だな」


「今日って、何かありましたっけ? 船もねーし島から出るには(いかだ)程度じゃすぐ海流に押し戻されるからもう諦めて畑耕してたんすけど……戻っていいすか?」


「いくら奪うのが俺らつってもそれだけじゃ駄目な時もあるしな?

  そういうところ大事だぜやっぱり……っと、畑は置いといてだな。 俺の話は()()だ。 見ろ、ぶんぶん(略)だ」


「えっ!? マジすか! 本当にぶ(略)じゃないすか!」


「俺たちが流れ着くならぶんぶん(略)も来ると思ってな? しかも全くの無傷たぁ、あのバケモン女も見所あるじゃねーか!」


「やった! 島から出れるっすよ!」


「ああ、だがこれは他の流れてきた奴らにゃ知られちゃいけねえ。こっそり俺たち一派でこの島からおさらばって算段よ」


「あ」


「まー他の奴らにゃ悪いけどよ? しばらくしたら助けの船舶をかっぱらってきてやっても? いいかもな?」


「あ、あ……」


「ん? 嬉しくて声も出ねえか」


「あ、いや、(かしら)、後ろ……」


 震える指で海の方を何とか指さすA(仮)、その様子を些か不思議に思いAが指さす海側を振り返って見てみると……


 沖の向こうでは、数本の黒く巨大な触手に絡め取られ半分ほど沈みかけたぶんぶん号の無惨な姿がセーンスの目に映る。


「ぶんぶーん!?(略)」


 セーンスの叫びも虚しくあっという間に海中へと引きずり込まれた船。

 それと入れ替わるように黒く巨大なソレは海面へと姿を現した。


「ク、クラー……ケン……バカな……この近海に居るなんて聞いたことねぇぞ……」


「あ、あぁ……船が」



 クラーケンと呼ばれたソレは、巨大で、黒く、胴(耳)の部分が蝙蝠の羽のように見える――


 (たこ)さんだった。


 少しだけ姿が見えた後、直ぐに船ごと海中へと引き込まれて海面から確認できなくなる。




 アレ? コレ……違ウ? 餌……入ッテナイ……


 チガウ……違ッタ。


 アッチノ方ダッタカ……コレ……要ラ……ナイ!


 子供が玩具の船を千切って壊すが如く、八つ当たりの対象にされたぶんぶん(略)は多少の抵抗を見せたが、八つの触手には敵わず絞め壊され、半分に折られてしまった。


 向キ……タブンアッチ……オレ……諦メナイ……


 追ウ……追ウ……



 その蛸は良いのか悪いのか、やたらとガッツがあった。


 クラーケンと呼ばれた黒の巨大蛸はゆっくり、ゆっくりだが確実へキンガ号へと追いつく速度にて海中を潜航する。





 一方、砂浜のセーンスとA。


「……」


「バケモン……でしたね」


「もう……この島に住んじまうか……」


「それしか……ないっすかね……」


「船は……たった今バケモンに持ってかれて無くなっちまった。勿論俺様の心はボコボコだ……何処まで運が無えのか……ああ、だけどまだツイてることが1つだけは残ってたな」


「ガッツリ凹むかと思ってましたが……残ってるのってなんです?」


「そりゃお前たちが殆ど生きてることよ。間違いなくいいことだ」


「頭……やっぱり俺は頭のそういうとこ頭だと思いますぜ(ネーミングセンス良ければ文句無いんだけどなぁ……)」



「とりあえず拠点に帰るぞ、今後の計画はそれからだ」


「へえい」



 この後、 強奪派の流れ着いた海賊組がセーンス一派の畑を後先考えず襲ってドンパチ起こったのはまたべつの話。

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