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ハガネキ 〜彼女はメタルでハガネのやべー奴〜  作者: 爆散芋
4章 家に帰ろう シンシア目指してどんぶらこ 編
134/202

111ネキ 同胞達への鎮魂歌(ただしPOP)

 前回のあらすじ



 立てば爆薬(行動)座れば(大砲に)砲弾泳ぐ姿は酸素魚雷(トーピード)




 ――――


 セーンスの乗るぶんぶん号(略)へと迫るタマ魚雷!


 ……が、何故か船体へと着弾せず海上へと飛び出し船の甲板へと丁寧に着地、驚く海賊たちをよそに歌舞伎で言う“毛振り”を行う要領にて海水滴る頭髪から水分を取り払い、さっぱりしたところでセーンスのもとへとずんずん歩いてゆく。


「さて、最後の1隻なんだが、そこの船長っぽいお前。ハイクくらいは読ませてやろう」


「ハイ……ク?」


「ん? ああ。 何か言い残すことはある? とかそんなんよ」


「ふざけやがって……手前ぇみたいな化けモン雇ってるなんて計算外もいいとこだぞ……」


「雇……? いや? 俺は向こう(シンシア)行きてぇからたまたま乗せてもらっただけだぜー ……で、どうする?」


 しばしの間、タマを睨みつけて何かを考えていたセーンスだが、ふっと溜息を漏らして肩の力を抜き、手持ちのサーベルを鞘に戻しつつ船員たちにも武器を下げろと合図を送った。


「……ハァ…… もう駄目だなこりゃ、勝てる気がしねぇ。おら、煮るなり焼くなり好きにしな」


「うん?」


「潔の良さも海賊の誇りよ。ただ始末したら首は晒さないで直ぐに魚の餌にでもしてくれ、それだけがアンタの言うハイクとかいうやつだ」


「……なんだお前ら結構肝据わってんじゃん?」


「やられっぱなしは恥だ。だからやり返す。1人で駄目なら集める。ま、マッキーの野郎にやられた奴らは多かったからよ? それにゃ苦労しなかったがまぁアンタの存在は欠片も考慮してなかった。俺たちがツイてなかっただけの話さ? あー、後は虫のいい話になるができたら俺の首1つで満足しちゃくれないかね? 船は俺の命より大事だし野郎共もなんだかんだ俺についてきてくれたから責任は俺にある。 ……ま、理解できんだろうし無理な話だと思「いいよ?」


「……ほぁ?」


 予想もしない返答に思わず間抜けな返事で返すセーンス。


「いや、別に俺ァそれでいいよって言ってんの。やられたらやり返す? いいと思うぜ? アンタと船長……えーとマッキーさんか。アンタらのしがらみだろ? 俺は関係ない。今回は単に俺がアンタらに襲われると不都合があるんでとりあえずぶっ飛ばした。それ以上でもそれ以下でも無い。今此処で話してるのも、話す気がアンタらにあるから話してるだけだ、ほかの船は問答無用に斬り掛かられたしな」


「ええ……?(なんだこのやべー女……)」


 空から降ってきたり船底から侵入してきたりマスト蹴って折ったりやりたい放題してたら誰だって侵入者に斬り掛かると思うんですがそれは。



「さて、別に俺としてはあの船で戦闘が起きなきゃそれでいーんだよね。手っ取り早いのが船ぶっ壊すってだっただけで殺ったかやってないで言うと海には飛ばしたけど直接はヤッテナイヨ」


 船の沈没に巻き込まれ? さあ? 俺は知らないですね(すっとぼけ)


「アンタは……何者なんだ?」


「ん? 俺? そら、どこにでも居る人よりちょーっと背が高い美少……いや、少女じゃねーな。 まぁ、ぷりちーウーマンで普通なタマさんだ。 ここテストに出ます。また美少女でも可」


「いやアンタ普通じr─」

「お頭ストップ!」


 海賊手下のナイスセーブ。 口を塞がれ間一髪。


「ん? 俺が何?」


「いや、なんでもねえ。 ……それより、俺の首1つで勘弁してくれるのか?」


「いやぁ……別に貰っても嬉しくないし、交戦する気のない奴とケンカするのも趣味じゃねえし……船も壊されたら困るって言うし……」


 1人顎に手を当て悩むタマ。


「ミャ〜オ(タマさんタマさん)」


「うーん……」


「ンーミャ(いい案がありますよ)」


「え? マジ? 教えて教えて」


「ミャミャミャ(救助艇にこいつら全員乗せてぶん投げましょう。それなら奴らの願いも叶って向こうの方向だったら島がありますので多分今日明日で流れ着くでしょう)」


「お! いい案だな! よし決定!」


「おい、なんでいつの間にか渡海猫がいるんだ……?」

「いや、俺に聞くなよ……」

「あの女、鳥と会話して……?」


「よし! つーわけで、船長っぽいお前。 救助艇はあるな?」


「いや、救助艇つーか上陸用や襲撃の際に使う小舟はたくさんあるがよ……」


「よし、全員分散して乗れ。別に降ろさなくていいぞ」


「は? 意味が解らねぇ……が、わかった。そうすりゃ船と野郎共は無事なんだな? なら従うぜ……ほれ。これで全員だ」


「ミャー(船内人影なーし)」


「ミャーオー(タマさん、いつでもいいですよ!)」


「よーしそれじゃやってくか! 絶対船の縁離すなよー?」


「あ? 何をすrうおぁぁぁぁぁぁぁぁ……!」

「うぎゃぁぁぉぉぉぉ……!」

「うっそだろぉぉぉぉぉ……」


「どっせーい! 一丁上がり! おーおーよく跳ねるわ」


 海賊たちが詰まった小船をひょいと持ち上げ、


  投 擲 。



 有無を言わさずぶん投げられた船は水面をポンポンと水切りしながらあっという間に水平線へと吸い込まれていってしまった……



「うーし海賊掃除終わり!」


 パンパンと手の埃を払い落として満足そうなタマのもとへ渡海猫たちが集まってくる。


「ミャミヤ〜オ(お疲れ様です! これで奴らに狩られた同胞の魂も多少は報われるでしょう。此度は本当にありがとうございました!)」


「いや、お前たちもなんか確執あったの? あーいい。 聞かなくていい。 偶然そうなっただけだし俺は知らん」


「ポポッポッポ(さて諸君。ここいらで1つ我らの悲願が叶ったので1曲鎮魂歌(レクイエム)といこうかな?)」


「ミャー……(マイコー……粋な()だぜお前は……」


「ッポーウッ!(ミャウジーック、スタートゥ!)」


 ♪デッ、デーン! デーデーン! デュンデュンデュン デュンデュンデュンデュン!


 タマを完全に置いてきぼりでPOPな音楽が鳥たちのボイスパーカッションで奏られる。


 そしてマイコーが甲板中心へと踊り出し、肩を特徴的に揺らしながら登場、その後ろに渡海猫たちも続きキレッキレの踊りを踊り始めた。


「うおっ!? なんだこのリズムは……()()()()()()()()()()()俺も……踊らずにはいられないッ!」



 ♪'Cau●e this is thriller, thri●ler night!!


 異世界でもJASR○Cまずいですよ!


 マイコー(鳥)を中心とし、亡き仲間に捧げる鎮魂歌。



 ……ス○ラーなんだよなぁ……



「アーォッ!」 ♪ジャンッ!


 いつの間にか鳥たちに混じってキレッキレに踊るタマ。


「……よお。タマちゃん」


「あの……姐さん……何やってんすか?」


 おっと、踊っている間にマッキーたちが合流したようだが……


「ん? いやー……鎮魂歌(レクイエム)?」


「ええ……?」


「いや……お前、ぶっ飛ばした海賊の船の上で踊るって……ヒッ……ヒッ……」


「船長!? 過呼吸なってますよ! 大丈夫っすか!」


「あ〜! タマさん元気だった〜?」


「おーう! ピンピンよ! こいつらと踊ってたところだ!」


「ミャォー!(イエァッ!)」


「なんだこれ……なんだこれ……セレソ……なんで君は平気なんだい……(白目)」



「うーむ……知れば知る程底の見えぬ婦人よ……」


「僕がおかしいだけなのかなぁ……」


「ケラスさん、世の中はね、広いんすよ。多分世界には姐さんみたいなのもっと居ます」

 

 ケラスの肩に手を置き、船員がフォローを入れる。


「そうなのかい? ありがとう船員さん。タマさんみたいな人は世界にたくさんいるんだね」


「いや、多分そんなのは姐さんだけだと」


「どっちだい!?」




 こうして、セーンスとマッキーの因縁はタマの存在にて雑も雑になぎ倒された。



 そしてセーンスはと言うと……



「いつまで飛んでるんだ畜生ぉああぁぁぁぁアぁァ゛ァ゛ァ゛ァ゛……」




 まだ海面跳ねてた。

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