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ハガネキ 〜彼女はメタルでハガネのやべー奴〜  作者: 爆散芋
4章 家に帰ろう シンシア目指してどんぶらこ 編
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105ネキ マナーモードと禁断の漁法

 前回のあらs……あらすz……お……おま……おまけ。



 ――ガンテツの工房店側ぎーと用(本来は来客用)畳エリア――



 半ば死体と見間違うほどにうつ伏せで微動だにしないぎーと。


「……お主、その体勢はちと息苦しくないのか?」


「わりと快適〜」


 存外リラックスできているようだ。


 次の瞬間、NT(ニューなんとかたいぷ)宜しく脳内に電流が走るぎーと。 咄嗟に体を起こし、ある方向をじっと見る。


 楽器で言うとフレクサトーン。

 もしくは八木電ならぬぎー電。


「この感覚ッ……来る!」


「うむ? 何が……かと思ったが、お主の場合飼い主(タマ)しかおらんだろうな。……で、近い、のか?」


 ゆっくりと体勢を先程のうつ伏せに戻して一言。


「いや、そーでもない。むしろ全然遠い……」


「ええ……? して、位置は」


「たぶん海……」


「根拠と確証は?」


じぇんじぇん(全然)無い。けど自信はある」


「ええ……? その自信は何処から来るのだ?」


「それは……此処だッ!(キリッ」


 顔だけをアルドに向け、キメ顔で言い放つ。


「その体勢で頬をもっちりと畳に溶かしながら言っても説得力無いぞお主……」


「さよかー」


「まぁ、タマに関してお主が言うことはあながち外れないからもしかしたら今頃海を越えようとしてるやもしれんな?」


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」


待て待て(ステイ、ステーイ)。小刻みに振動し始めるのではない。此方から向かうのは簡単だ、だがお主は?」


「オイラは待てる忠蟹……」


「うむ。タマに迷惑を掛けてはいかん、奴が此処に来るまで落ちついて待つのだ」

(この蟹、タマ以外に制御できる気が全くしないから、監視下に置いておかないと何かやらかして監督不行届とかで我も巻き添え食う未来しか見えないからの……ガンテツ殿とシトリ殿もいることだしこの場所が一番御しやすいのだ……)


 保身第一に走るこのマッチョ髭ダンディー、実は龍王とか言う大層なのの一角なのであるが。 まぁそれは置いておこう。


「おーおー溜まってるようじゃな」


 奥の工房の仕事が一段落したガンテツが休憩にと姿を現す。


「おお、ガンテツ殿。しかしぎーとの気持ちも多少はわからんでもないのだが……大分経っているであるしな」


「ふむ? ……ぎーとや、タマの奴は最初よりは近付いている気がするんじゃろ?」


「あ゛あ゛あ゛あ゛……うん? 間違いなくそんな気はする……」


「じゃあ問題ないんじゃねーかの?」


 ガンテツがハナクソをほじりながら適当に返す。そしてすかさずシトリのティッシュの差入れ。


「シトちゃんタイミングサイコー(最高)。 ま、来るつったら()()んだよアイツはぁ、のーんびり待っときゃ良いのさワシらは」


「う゛ー……」


「そうじゃ、ぎーとや。たまには運動しにダンジョン潜ろうと思っとるんだが一緒に来んか?」


「……たまにゃオイラ(本体)も動くか……行く」


「うーし、決まりじゃな、シトちゃんは悪いが留守番頼むぞい、カイヤナのこともあるしの」


「おっけーガンちゃん、まっかせなさーい! ホントを言うと私も行きたかったけどね」


「ガンテツ殿、我らが簡単に動いても大丈夫なのかね?」


「あー? そんなもんドンちゃ……国王に事後報告でえーじゃろ。ついでに土産にダンジョンで採れたもん持ってきゃニコニコよ。つーかぎーとの“雫”でこの国で首を横に振る奴ァおらん」


 それで良いのかドワーフ族(酒好き民族)


「ふーむ。 ならばガンテツ殿との交代で我とシトリ殿で外出しても宜しいかな?」


 ここでアルドが気の利く言葉を放つ。


「お! お前さんええこと言うのう! 行ってこい行ってこい!」


「アルちゃん天才!? やーんもう本当いい子いい子!」


「我の外出のいい口実にもなるしの、たまには運動も良かろうて」


 テンションMAXになったらシトリがアルドの肩へ乗り、アルドを撫でる。


 撫でる撫でる撫でる撫で……あっ。 発火した。


「ぬおッ!?」


「きゃー!? ごめんねーアルちゃーん!?」


「フヒッ。燃えドラゴン……」


「うーむさすがシトちゃん……」




 工房内は今日も平和(?)である。



 ――――所戻り、ニョッキ近海、タマ。――――





 飽 き た。


 もう海飽きた。


 あーきーたー。


 いやさ、一昨日、“出航だー!”とかなって、しばらくは良かったんだよ。 実際結構眺めてたわけだし。


 だんだんと陸が遠ざかって景色が変わる、良いよね。


 周りが海になってしばらくしたらもう慣れて飽きたけどな!


 後はソード……ソード何とかっていう礼儀正しいおじ……お兄ちゃん? ま、どっちでもいいわ。が、挨拶しに来たから宜しくなーで返して、そこそこ腹が減ったら飯食って外(海)眺めるか部屋で寝る。ま、そんなもんかね。 やることねーのなんの。


 船員に話聞いたら

「魔物とか海賊とか基本そうそう無いですぜ。そもそもこの船魔物避けの魔法船底から出してたり俺らこのシマじゃあ敵無しでしたからね、この船(キンガ号)見て襲ってくる海賊なんてまず居ないですよ」

 だってさ。


 冒険者も冒険者で万一の保険で乗せて、更に船長のふるいがあるから殆ど冒険者は乗ってこないとかなんとか。


 そんなこんなで船の適当な所(邪魔にならない)で背中を壁に預けてボケーッと海眺めてたんよな。


「錨下ろせーッ! 投網よおーっいッ(用意)!」


 あ、なんか聞こえてきた。見に行ってみよ。


「うーす」


「あ、どうも姐さん」


「網がどうとか聞こえてきたけどなんかすんの?」


「あ、アレっすか? ウチら時々良い魚影が見えたら網投げて魚取って飯にしてるんすよ、マクレさんに“新鮮な海の幸がすぐ近くに有るのに捕らねぇでどーすんだよこのスットコドッコイ!” ……って言われてるのもありますけどね、ハハッ」


「ほーん。 ……ところでさぁ……俺ぇ……めっちゃ暇してんだよねぇ……」


 タマ、あまりにも暇で余計なことを思い付き、行動に移す。


「え? はァ、まぁ冒険者の人たちはやること無いっすからね」


「手伝っていい? ()()()()()()()な漁法あんだけどォ……」


「投網よりっすか?」


「いえーす」


「船長に確認……いや、おもしれぇからやらせろって言うよなぁ……ということで、どうぞ」


「やったぜ。後ついでに丈夫な縄と力自慢数人」


 そして靴を脱ぎ始めるタマ。


「……もしかして、潜るんすか? そんで力自慢……?」


「俺しっかり吊ってもらうから絶対に落とすなよー? カナヅチどころじゃないんで俺浮いてこないから絶対に離さないでね?」


「は? ……え? はァ……はあ!? 吊る!?」


「そそ。 吊る」



 いったい何が、始まるん……です?

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