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ハガネキ 〜彼女はメタルでハガネのやべー奴〜  作者: 爆散芋
4章 家に帰ろう シンシア目指してどんぶらこ 編
125/202

104ネキ サンマデコピン5辛トルネード

 前回のあらすじ



 時空転生is カレーライス。 あとなんか魚っぽいその他。


 ――――


「うーし、ご馳走さん。いやほんと美味かったわ。コレなら毎日食っても飽きねーな」


バッキャロイ(馬鹿野郎)! お前ぇさん見てぇなべっぴんさんにそんなこと言われたら嬉しいだろぉがチッキショイ!(畜生)俺ァマクレーレンってぇーんだァ! マクレでいいぞ! 船降りるまで毎日食いに来いってぇんだ!」


「マクレのおっちゃんも、さっきの奴らと種族同じなのか?」


「あぁ!? そりァお前ぇさん俺っちはどっからどう見てもさっきのわけぇのと同じ魚人(マーマン)よ!」


 いやそれは見たら解るんだけどさ、その、なんつーか……さっきの器用に窓から飛び出した奴らは頭頂部とかと耳とかの部分がヒレになってて(個体差アリ)、見えた手の部分も水掻き、ついでに所々鱗のまぁ魚人だ。 って見た目してたんすよ。 うん。


 確かに同じ魚人だろうけど……マクレのおっちゃんの見た目が。 が。


「おん? どうしたねーちゃん、俺っちの顔になんか付いてるのか?」


「あー、いや別に何も付いてねえんだけど……」


 ねじり鉢巻が似合う筋骨隆々の如何にも! な“海の漢!”なんすよ。


 でも首上が魚顔って言うかぁ…… “秋刀魚(サンマ)” なんだよなァ! そんで頭の向きが星見(スターゲイジーパイ)宜しくの真上なんだよなぁ。 視界どうなってんのさ。


 マクレーレンが顎に手を当てて少し悩むが、(顎……どこ?)察したようで掌にポン。と拳を乗せてタマの言いたいことを理解した。


「あ、俺っちの顔が魚寄りだから戸惑ってんだな? 魚人(マーマン)は魚人でも俺っちは秋刀魚人(サンマーマン)つー珍しい種族でな? あんまし居ねぇんだぜ!」


「あ、そうなんだ」


 魚寄り程度ではないのは突っ込まんどこ。 吸血鬼の島に生息してそうやね? すんげーバタフライ速そう。


「そーいやアンタの名前なんつったっけ?」


「タマだよ」


「タマちゃんか。覚えたぜ、因みに若ぇ奴らがアンタに押しかけた理由はな、俺らは歯並びが美的基準なんだよ。だからアンタの綺麗な歯はそりァ魅力的なのさ。俺も若かったらわかんなかったぜ!」


 歯を光らせてサムズアップをするマクレーレン。



「さて、食ったことだし部屋で寝るか、じゃーなーマクレのおっちゃん」


「おうよ!」


 タマが食堂を後に部屋に向かう一方、用事で出掛けると言っていたマッキー船長はニョッキの冒険者ギルドへと足を運んでいた。



 ――ギルドマスターの執務室――


「おーす! バハル居るかー!?」


「……そらお前俺の部屋なんだから居るに決まってんだろ」


 バハルと呼ばれた男は、勢いよく扉を開けてきたマッキーを軽く一瞥した後、軽いため息をついて先程まで動かしていたペンを休め、丁度良いとばかりに休憩のための茶を淹れる準備をする。


「相変わらず缶詰だなァ、お前」


「物資が流通する街だ、暇な時なんて無ぇんだよ。なんなら代わるか?」


「やなこった! ガハハ!」


「だろうな。……ほれ、お前の分だ」


「お、悪ぃな……うむ。美味ぇ」


 淹れたての湯気立つ紅茶をお互いにしばらく無言で堪能した(のち)、バハルの方から口を開いた。


「……で、マッキーよぉ、滅多に来ないお前がわざわざ俺に顔見せに来たんだ()()()()()()()


「ああ。つい今さっきのことなんだがな、()()()()()()()()()()


 マッキーの言葉にバハルが眉をひそめた。


「湾内に……波だぁ? 冗談じゃねえよな?」


「冗談も何も積荷作業中に波が来てよりにもよってキンガ弾落としちまったんだよ」


「キンガ弾……てぇと、お前の船のあの馬鹿デカイ大砲の弾か。それで、引き揚げるのを俺の所にお願いしに来たってか?」


「いや、キンガ弾はもう引き揚げた」


「なんだよ。違うのか……って。はぁ? あのクソ重い鉄の塊をどうやって引き揚げたんだよ? お前んとこの魚人が何人抱えたところで持って海上まで泳げる代物じゃねえよな?」


「それがな! 傑作なんだよ! タマっつー馬鹿みてぇな怪力持ちの嬢ちゃんが潜って全部取ってきたんだぜ! 1人でな」


「……全部?」


「おう、箱ごとだ。全部よ全部。そんで海底歩いて修理で引き揚げる用の坂から出てきやがったのさ! いーやアレは面白かった! お前にも見せてやりたかったぜ!」


「ふむ……タマ……タマ……この子か。ふむ、フカシのサクルが推薦……オーガー事件の際目覚しい活躍……と、この顔か?」


「おー、それそれ! 相変わらずギルドの連絡球って便利だよな」


 バハルが引出しからおもむろに机の上へと載せ、台座に固定された水晶から登録してあるタマの情報が空間へと板状に浮き出される。


「情報速度が命だからな。データベース共有水晶は便利だ……と、この間の大会優勝者か。なるほど、綺麗な顔して相当な実力者だな」


「で、そのタマちゃんが俺ん所来て落ちた弾拾ってきたら乗せてやるつったら本当に拾ってきたんで約束通り俺の船に招待したのさ!」


「お前がそんだけ楽しそうに話すってことはその子相当気に入ったんだな?」


「そらもうお前も実際会ってみりゃ絶対気に入るぞ!」


「……いや、俺は忙しいからいいわ」


「つれねーの。 ……と、脱線しちまったな、すまねぇ」


「構わんよ。良い休憩になったさ……()……か。 自然のものかあるいは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……か」


「案外お前が言う後者でクソでかい魔物だったりしてな」


「クラーケンや海竜も相当なデカさだが湾内に波起こすほどのデカさじゃねえよ。もしそうなら近海で発見報告がもうすぐ来るさ」


「見たこともねぇデカさだったりしてな! そいつの欠伸とか、それこそ海龍王(リヴァイアサン)とか」


海龍王(リヴァイアサン)はたしかに実在するが、まずねぐらから出てこん。()()は刺激さえしなきゃいつまでも寝とる生物じゃ」


「うーむ違ったか、じゃあわからん!」


「お前がわからんでもこっちで何かしら何かの前触れとして警戒と調査やっとくからお前の報告だけでも大分有難い。……仕事は増えるが」


「ドンマイだぜ! じゃあ俺は言うこと言ったから船に戻るぜ! 明後日には此処出てシンシアに向かうぜ!」


「おう、ツイてる航海を祈るぜ。 ……っとそういやまたお前んとこに護衛乗船目的の冒険者の応募来てたぞ?」


「あん? 俺ぁ今すこぶる気分が良いからな! 合格だ合格! ついでにもう応募も締め切っていいぞ!」


「おう、解ったわ」


「じゃーなバハル! たまには外出るんだぞ!」


「書類が一段落着いたら出るぞ」


 ガッハハハ……と高らかな笑い声と共にマッキーが去った後、椅子を回転させ、外、湾内の風景を見て軽いため息をつくバハル。


「波……ねぇ…… 何も無いといいんだけど」




 ――そして場所は戻りキンガ号の食堂――



「あ、どうも。私たちは滑り込みで間に合った“剣の探求者(ソード・シーカー)”というクラン名で私ジアンと申す……お二人のことをお伺いしても?」


「私たちはクランとか無くてコンビだから〜」

「クラン名は無いですね……それと、こちらこそ宜しくお願いします」


「いえいえ、こちらこそ宜しく。冒険者たるもの助け合いが大事である。いざと言う時の背中、お任せしますぞ」


 お互いの冒険者証を名刺替わりに見せて挨拶するセレソたちとジアンたち。 お互いに頭を下げているがお互いにそういう人間なだけで本当に野蛮で粗雑な冒険者もたくさん居るのであしからず。


「……ところで、つかぬことをお伺いしたいのですが、向こうに見える此処のコックの料理に舌鼓を打っている女性はもしや噂の“鉄腕姫”……では?」


「あ、やっぱりそう思います〜?」


「噂通りの容姿ですから間違いないかと……」



「タマっさぁぁぁーーーーん! 是非お付き合いを!」


「飯のジャマ」


「アバーーッ!?」


 きりもみ回転で突っ込んできた魚人(マーマン)A。

 しかしデコピンで打ち返され逆回転きりもみでマクレーレンが仕込んでいる寸胴へとホールイン・ワン。



バッキャロ(馬鹿野郎)若ぇの! 俺の食堂で暴れんじゃねぇ! お前ぇで出汁とるつもりなんかねえんだよ!」




「……なんというか、凄い方であるな」


「ジアンさんたちもそう思う〜? 大丈夫よ。タマさんいい人だから後で挨拶しに行っても鍋にはぶち込まれないわよ」


「左様か……」






「マクレのおっちゃん、おかわり5辛」


「あいよ!」

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