96ネキ ニョッキへ出発。 忘れ物アリ
前回のあらすじ
Q キ〇肉マンネタちょいちょい出てくるけど?
A 良いから消しゴム集めろ。 カ〇ラリア光線浴びせるぞ。
――――
「……全く。貴方の悪い癖は直る気配無いですね」
ペチッ。
オサヒデはマスク狩りを受けてKO。
のびる彼を見てスマシュは鼻でため息をつき、それと同時にハッと我に返りタマたちへと腰を折って丁寧に謝罪をする。
ペチペチっ。
「あ、わたしたちの連れがお見苦しいところをお見せして申し訳ないです……どうかお気を悪くなさらないでいただけないでしょうか……」
ペチペチペチ。
「お、おぅ……こんな見た目だからよく言われるし俺ァ全然気にしちゃいねーよ」
「スマシュ様……で、良かったべか? お連れ様……生きてるべ?」
「あ、はい。ラケルタさんでしたね? ニョッキまでの旅路、どうかよろしくお願いします。それと、様付けでなくて結構ですよ……パピルスもいつまでもオサヒデ蹴ってないで、ほら挨拶」
ペチペチっ……ドゴォ!
「はおんっ!?」
「うん。生きてる」
「無駄に頑丈ですからね彼。この程度では死にはしないでしょう」
「……ちわ。しばらく一緒。よろしく」
「わかっただ。スマシュさ、……えーと、パピルス……「様要らない」わかっただーよ。パピルスさ。ほだらのびてる彼もオサヒデさで問題ないべか?」
「ん。問題ない。なんなら呼び捨ててもいい」
「さすがにお客さ呼び捨てはむつかしいべ……」
「ラケルタさん、呼びやすい呼び方で大丈夫ですよ。タマさんもこれからしばらく一緒になりますのでよろしくお願いします」
「おいーす。よろしく」
「よろしく。 ……後サイン、サインください」
「あら? 貴女にしては珍しくそんな鼻息荒くしてどうかしたんですか?」
「スマシュ、この人、大会のチャンピョン。私見てた。この人超強い。ランク詐欺してる」
「ほえー、タマさ今年の大会勝ったんだべか。そらレキリンがすんなり言うこと聞くわけだーべ」
「いやー、まぁ、勝ったっちゃ勝ったけどそんな感じ大したもんじゃねーよ……ってサインねだられて渡されたのが金貨なんだけどぉ?」
「曲げて曲げて。サイン替わり」
「まァいいけどよ。……ほれっ、返すわ。曲げるだけじゃ芸がないしな」
「おおー! 捻り金貨!」
※良い子の皆はお金を捻ってはいけません。まねしないでね!
「怪力持ちなんですね」
「ん! チャンピオンぱわー半端ない。 張り手でミノタウロスぐるぐる回ってた」
「サイン替わりになったか?」
「ん! 大満足」
「すげー力だ! 今年の優勝者すげーべな。私もパピルスさの真似していいべか?」
「ん! ファン増やす。真似して真似して」
「ありがとだべ! ところでそろそろ出発時間なんだべがオサヒデさ起きねーべよ?」
「寝たフリでしょうしそのまま出発していいですよ」
「うおい! 置いてくなよ! そんで俺復活! ニョッキまでよろしくぅ!」
「おーう。元気そうな奴やな」
「オサヒデさー。もう皆乗ってるだーよー」
「はえーなオイ! よし、俺も今行「いぃぃ居たァァあ! 待ちやがれてめぇ!」
「げっ、追ってきてた!」
突如、怒り狂った冒険者集団がオサヒデに向かい猛ダッシュで迫り来る。
「スマシュさん、あんたの連れ何したん? あの人たちめっちゃ怒ってなくない?」
「あー……まぁ、今朝少々彼らとオサヒデ“が”なにか揉めたらしくてトンズラこいてきたとかでうんぬんかんぬん」
「くっそ迷惑」
「えー……? もう俺早く出発したいのに……せや、“呼ぶ”か」
「……呼ぶ?」
「まー見てなってスマシュさん。 スゥー……。 ローズさぁ〜ん! 此処に筋肉的更生したい有望な集団が居ますよー!」
タマが空に向かって大きく叫んだ数秒後、空からキラリとどこからとも無く着地地点を派手に砕きながら使徒、襲来。
「私だ!」
あまりに突拍子の無い登場に怒り狂った冒険者や停留所に集まっていた人々もローズを見てポカンとする。
「ローズさんあの人たちです! 是非ともローズさんと一緒に鍛え直したいってさっき言ってました!」
オサヒデ目的の冒険者集団へとタマが指を指す。
「なんと! 随分と志の高い者たちだな! おお! 嬉しいぞぉぉぉ! では早速君たちは私とトレーニングに励もう! なーに遠慮は要らないぞ、直ぐに君たちもマッスルさ!」
「え、ちょ、 ま! なんだこいつ無茶苦茶力つえーぞ!」
「鎧砕だ! この金髪ゴリラ騎士団長の“鎧砕のローズ”だ! うわぁぁぁ離せぇぇぇ!」
「助けてえぇぇぇ!」
「ハーハハハ! 遠慮は要らないぞ君たち! 恥ずかしがることは無い!」
「こいつ話通じねぇぇぇえ!」
彼らの抵抗虚しく次々に冒険者集団の首根っこを掴み収穫していくローズ。 今日も今日とて平常運転である。
「たぁすけてぇぇぇぇスマシュぅぅぅ!」
あ。 オサヒデも捕獲されてた。
「ラケルタさん。料金は変わらなくていいのでそのまま出発してください。これ以上遅れればほかの便に迷惑でしょうし」
「オサヒデさいいんだべか?」
「彼ならそのうち追い付いてくるでしょうし、ほっぽって出発しましょう」
「ん。ラケルタさん、構わない。行って」
「パピルスちゃんパピルスちゃん。こういう時はな、こうするんだぜ?」
「うん?」
ラケルタさんの後ろへ陣取り脚を上げて組み、仰け反り気味に背もたれへと寄り掛かって仕上げに指も軽く組んでタマはこう言い放つ。
「関係ない、行け」
「おおー。参考になる」
「わかっただーよ。ほれっ! レキリン! 仕事だべー!」
「「ケェー!」」
こうして王都アイダホを出たタマとスマシュ一行。
「おいぃぃぃい!? マジで出ちゃったよスマシュさぁぁん!?」
「待ちたまえ! 君も一緒に鍛え直したいのだろう! 皆で仲良くトレーニングしようではないか!」
「いやぁぁ離してぇぇ!…………
オサヒデを置いて。
ちなみに野営1日目の朝にグロッキーで死にそうな彼がリザード車に何とか追い付いてきたので仕方なく乗せてあげたらしい。
良かったね。オサヒデ。