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ハガネキ 〜彼女はメタルでハガネのやべー奴〜  作者: 爆散芋
4章 家に帰ろう シンシア目指してどんぶらこ 編
114/202

94ネキ 魔国の王様どんな人?

 前回のあらすじ



「……さて、解ってはいるがルールでな、どうする? タマ殿」



「……うーん、パスで!」


「うむ。ではこれで最後の石だ」


「うーん何とも真っ白な盤面ですねー……こういうゲームなんですかねコレ」


「いや、ちげーぞおねーさん。リリーさんがクッソ強いだけだと思う、おごごごごご……」



 タマ(黒)VSリリー(白)


  0&50!(リリーWin!!



「あ、リリーさん部下の人たち帰ってきまし……赤黒ッ!?」


「ヒャホーイ! 団長! 討ち取ってきました!」


「お供させていただきたく存じまする!」


「捗る……捗る……」



「えっ皆さん本当にタターキー(略称)狩ってきたんですか」


「どうぞお納めください。袋は返却いたします」


「あ、私たちの格好はほぼ返り血ですので怪我した面子は全快済みですよ。後黒いのはまぁ、ちょっと滲んできた汚れ(欲望)みたいなものなので撤収次第直ぐに綺麗にしますので……」


「新刊……新刊……」


「あ、はい……それでは(かく)に……ホントニハイッテルゥー……」


「それでは団員の(みな)、約束とは守られる物である。よって今居る面子の今日の仕事はここまでとし、各自解散して身綺麗になり次第“剣の錆”亭へと集合せよ。今日は私が1杯奢ろう」


「了解しました!」

「さすがです団長!」

「うひひ!」



 そして残像芸にていつぞやのリリーさんと同じく半透明の残像で応えた団員たちは、既に解散した後であった。


「えー……? これ皆できんの……?」


「行動が速いのは良いことだ。さて、私らも錆亭へと向かおうか」


「せやな、それじゃーおねーさんあんがとーね」


「あ、はい。またいつでもいらっしゃいませ。当冒険者ギルドではタマ様のような方はいつでも歓迎しております………


 ――

 ―



「……リリーちゃん……今日、多い……多くない?」


「うむ。些か大人数だとは思うが迷惑だったであろうか」


「……別にこういう日があっても構わないよ……」


「そうか、助かる」


「初めて来ましたけど素敵な所ですわね」

「お酒もとてもお洒落で美味しいですよ」

(みなぎ)る……漲る」


「ッかーッ! ロックが旨い!」


「……こんな時でも君はお構い無しだね、お代わり要るね?」


「さーんきゅマスター」



 ――――


 ─同日夜。魔王国。


 正式国名シルクス。 (魔国呼びが浸透してしまっているのでほぼほぼ正式国名で呼ばれることはあまり無い)


 魔王国、王城。 魔王の右腕の執務室。


「ターロ様ー。魔王様が呼んでるだべー」


 コンコンとドアをノックし、部屋の外から中へとターロという人物を呼ぶ声がする。


「はいはい、今出ますよ……ジョン君でしたか。魔王様が呼んでる? どんな用件でしょうかね?」


 ターロにジョンと呼ばれた男。彼の背は小さく、肌も緑、禿頭で鷲鼻、世間一般で言うところのゴブリン似である。


 と言うよりは本当にゴブリンなのだが。


 だがしかし彼の身なりは腰蓑一丁だけではなく、キチンと服を着ており、彼の瞳には深い知性の光が窺える。


「それがオラも教えてもらえてないんで、“ターロを私室に呼べ”としか仰せつかってないんだべ」


「はぁ……解りました。今丁度用事も事務も区切り着きましたので早速向かってみますね。ジョン君、どうもありがとう」


 そしてジョンに呼ばれたターロという男、ぽってりとした腹、バーコード頭、黒縁メガネ……いわゆるオーク。



 ……違った。 中年のオジサンである。 白シャツ紺色ネクタイの

  the サラリーマン。


「お礼なんていーべよ。オラたちの方がターロ様に幾ら御礼しても足りないくらいだべ。それじゃオラは持ち場戻るだ」


「はい、それでは……。 さて、何の用でしょうかね? とにかく訪ねてみますか」



 ――魔王城、魔王の私室――


 中で事務作業を書類作業をしているのは勿論この国の王、魔王アルワーデ。


 肌は青く、強膜(白目の部分)は深淵のように黒く見る者全てを射貫く金の瞳、艶やかな肩まで掛かる髪、闇夜が具現化したような漆黒の翼、女性で在りながら男性より雄々しく猛々しい、魔王であることを見る者に解らせる天を衝く対黒角。



 カリカリカリ……カリカリカリ……


 静寂に包まれた部屋の中、羽根ペンが紙の上を走る音だけが響く。



 コン。コン。


 部屋の外から誰かがノックをした。


「……む。ターロか」


「はい、そうです」


「入れ」


「それでは失礼します……私にご用件とは?」


「……鍵を掛けろ」


「あ、はいはい……」


 カチャリ。とターロが扉に施錠をすると同時にアルワーデの指先から魔術が放たれ、着弾したドアで展開、防音の術が施された。


「此方に来てまずは私の肩を揉め。私は疲れた」


「それでは揉ませていただきます」

 

「おーそこそこ。お゛? お゛〜……あ゛ぁァ”ァ”ァ”ァ”ァ”〜」


「いやはや凝ってますねこりゃまぁ魔王様もここのところ缶詰めでしたもんね……」


()()()、他に誰も居ない時はアルワと呼べと言っただろう゛ゥゥゥゥ〜……」


「いやはや、やはりアルワさんと呼ぶのは僕は未だに慣れないですねー……努力はしますけど」


「だから“さん”も要らぬと……まぁ良い。そのまま聞け。明日、お前を連れて王都アイダホの王の所へと行く。お互い1人だけ従者を連れての密会だからな」


「え゛っ? 私がですか?」


「そうだ。 向こうの王は信用に足る。 ならば此方も腹を割って話そうという魂胆だ。 ついでに私が転生者の振りももうしなくて良くなるしな……もう少し下……そう羽の付け根、んぁぁぉ……」


「でも私びっくりするぐらい足手まといですし、戦う力もここのゴブリンさんたちより弱いですよ」


「万が一そんな事があってもお前にはカスリの傷1つも付けはさせんよ。お前が来てからだいぶ経つが、もうお前が居ない時は考えられん。信用に足るとは言ったが向こうの王との話でお前に何かあれば戦争も辞さんよ私は」


「いやいや、大袈裟ですよ私一人怪我したぐらいで……怪我すると決まったわけじゃないですし」


「まぁ、例えの話だ。それほど私はお前を買っている……全く、人は見た目では無いという良い例だよお前は……とにかく、明日、私自らお前を抱えて飛び立てば夜には着くであろう」


「か、抱えると言うと……」


「無論、()()()()()()だ」



「えぇ? 勘弁してくださいよぉ……」


「ハハハ、諦めろ。もうそうすると決めたのだ」




 カラカラと気持ち良さそうに笑う美人としょんぼりする中年のオジサン。



 美女と野獣、否。


 美女とオジサンである。




 ――そして更に同時刻、ロッジダンジョンプライベートルーム――


「あーあー、喉の調子よーし、考えた台詞の練習よーし。ククク……明日、王2人の前に突如現れたらビックリするだろうな……」


 台詞にポーズ、いかにもダークな雰囲気を演出する練習をして居るロッジ。



「マスター、晩御飯できましたよ。鍋ですのでそこのテーブルにコンロ置いといてくださいよ」


「あ、うん。せっかく謎の乱入者感出してるのに水差すのはヤメテ!」





 明日の夜。三者、相見える。


 結末や如何に─












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