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11/202

11ネキ  身体を売る

  前回のあらすじ


  切った爪とかって取っとく奴いるよね


 ――――




「おい、タマ」


「ぬ? なんぞ?」


  いつものように今日はアダマンタイトコンソメ味。

  火山から採ってきてガンテツに精錬してもらって余った分は俺のおやつ。 


  あんまりにも手持ちからガンテツの鉱石を食い過ぎてな?「自分で取ってこんかい!」とお叱りを受けてしまったので山からちょくちょく採掘してくるルールになりました。 


  ところで、仕事してなくて俺に声かけてくるなんて珍しいな? いつもならこの時間カンカン鉄叩いてんのに。




「ちょっとお主の身体、見せてみろ」



「えっ(ドン引き)」 



  確かに仲良くはなったし、もうマブな間柄だけどいきなり俺の体を求められるとは全く思ってなかったぜ。

  なんだこのヒゲもじゃ!? ただでさえロリコン疑惑有るのに俺みたいな5歳児に欲情するとかやっぱ此奴ペドのド変態だったのかおー怖い怖い。



 そんな感じでタマが顔を青くして後ずさると、どうやら彼女が勘違いしていることに気付いて慌てて訂正してくる。



「待て待て待て。すまん、今のはワシの言い方が悪かった。肉体関係的な見せろじゃないんじゃよ。このあいだお主の歯をもらったじゃろ? それで、お主の素材としてのヤバさに今更気が付いたんじゃよ。それにお前さんの無駄にデカい乳見ても興奮するわけないじゃろうが」



  あ、そうなの。というかやっぱ此奴ロリコンじゃ……



「今、クッソ失礼なこと考えたじゃろ。顔に出てるぞ?」


「き、気のせいだー(棒)。んで、俺が素材としてヤバいって?」 


  顔に出てたらしい、気を付けよう。



「ああ、そうじゃ。魔物の爪や皮が武器や防具になるのは当然わかるな?」


「まぁ、それくらいは」  



「じゃあ、鉄などがあるのにむしろ魔物の爪などが武器として多くある理由が分かるか?」


「え? そりゃ単純に鉄よりいいから……では?」


「そう、そのとおりじゃ。 むしろ鉄より軽く丈夫な素材などザラにある。で。 じゃ。

  お主はギリギリ亜人ってとこだが、ワシから言わせてもらえば魔物に近い。っていうかそれこそおとぎ話に出てくるような魔物クラスじゃよ。

  作業に没頭してる間は疑問に思わなかったが、このお前さんの歯。加熱してないオリハルコンが削れることがまず有り得ないことなんじゃよ……」



「マージで?」  


「マジも何もおやつ感覚で食うとるがお主、この世界の最高硬度金属じゃぞ? オリハルコンは。

  ダンジョンや秘境ですらほぼ産出されず、勇者の剣になるような金属じゃぞ? 食わしたワシもワシじゃが超が付く希少金属じゃ」



「いやー、うんアホかってくらい美味かったね。うん。イノシン酸とかグルタミン酸とかヤバいんじゃないかな」


「はぁ? イノ? グル? わけわからんこと言っとらんで話戻すぞい。

  で、歯だけでこれじゃ。お前さんの髪や肌なども素材にならんわけないんじゃよ。例えばそのお主の目、エメラルド色で吸い込まれそうなほど透き通ってまるで宝石のよう。

  というか見た感じもう宝石じゃよ。解る奴が見たら」


「ほぅ、この俺のぷりちーお目目の価値が分かるとは。お目が高い」



「ふざけたこと言っとらんで自分の価値に気づけ。どう想像してもお主が狩られるなんて考えられんが、身の程を弁えない馬鹿な権力者がお主のことに気が付けば一頓着どころではないぞ?」



「でぇじょうぶだ、此処の生活が好きで、まず人里んとこ行かねーし行ったとしてもヤドカリ汁持ってけば一発だろ?」 


「はぁ……まぁ確かにワシ含めドワーフはソレを持ってこられて友達だ、なんて言われた日にゃ確かに明日からマブダチだろうよ。だが他のとこは知らんぞい。特に純人間種はな」



「むー……じゃあなんかバレないようにガンテツがなんかしてよ。ほら、俺の体から取れるのなら少しくらい分けてやっからさ。ね? 爪の垢とか。 もし俺が人里行くようになったりした時とかのために」


「だーかーらー。はぁ……もういいわい。分かったわかった、そもそも見た目がほぼ人類とさして変わらんお主じゃ。鑑定さえ弾きゃ何とかなるだろ。お主の素材で仕事が捗って今こうして余裕ができとるのは紛れもない事実じゃしの、お礼代わりにちゃちゃっと何とかしちゃるわい!」



「ヤッター! さすがガンテツ大好き! おっぱい揉むか!?」 


「要らん! 凹ましてから出直してこい!!」



 やったね!! 持つべきものは国宝級鍛冶師のマブに限るね!!



「で、早速なんか俺の爪の垢要る?」 



「要らん。まぁ、そうじゃな……どうせ、お主武器持たしてもどっかに投げ捨てそうじゃしアクセサリーにでもするか?

  それなら失くさないし、四六時中付けてても問題ないじゃろ。

 それじゃあお主の情報をアクセサリーに混ぜ込むから……そうじゃな。混ぜ込みやすい唾液とかでいいか。 ほれ。その瓶に出せ」



「ほいほい」  


 そう言われ、投げられた小瓶を受け取り、れーっと小瓶に唾液を垂らしてゆく。 俺の体から水分出るっちゃ出るんやな。 

  もう気にするだけわからないままで終わるので、俺は考えるのをやめた。



「溜まったでー。 ほい」 


 小瓶に貯められるだけ貯め、再度ガンテツに小瓶を投げ渡す。


「こんなに貯めんでもいいわい。お主の唾でも何かしら素材になるんかの? どれ、ちょっと鑑定で視てみ」



「どった? 固まって」  



「……はぁ〜。自身のことは確か見られるんじゃろお主。自分でみてみい……」



 そーいやそうだったね。自分のことでもすっかり忘れてたわ。 

 どれどれ。



 ――――――――


 金属超軟化液(鉄人の唾液) RARE ー


 一滴たらせば一時的にどんな金属さえもバターの如く柔らかくするヤベー効果の液。

 鍛冶職人垂涎の品。



 ――――――――



  えぇ……? 俺唾出すだけでも商売できるじゃん。 髭神どこまで俺のぼでースーパーに作ってんの?




「はぁぁぁぁぁもー、いい加減非常識もここまで来ると笑えるわー!

  いいか? お主、自身の素材売って儲けようとか万が一でも考えるんじゃないぞ?

  お主の素材が世に出回ったら間違いなくヤバいことになる。お主含めな」



「ヴぇー、読まれてた。やんないやんない。そんな人気なぞいらーん。毎日ゆっくり過ごせなくなる」


「さて、何とかするためのアクセサリーは仕事の合間に作っちゃるわい。

  お主は寝てるなり散歩行ってるなり好きにしとれ」  




「じゃあ久しぶりに火山のヤドカリ酒貰いに遊びに行きながら、鉱石とかテキトーに飯採ってくーら」  



「おーう行ってこい行ってこい。ついでによさそうな素材あれば狩ってきてくれ。ほれ、そこに置いてあるワシのアイテムボックス持ってけ」  



「おっけー。じゃあぶらぶらしてくらーな」 


  適当にぶん上げてある荷物の横のアイテムボックスを背負い、出発の準備をする。 

 一応これアイテムボックスらしいんだけどどう見ても登山家のリュックだよなぁ?


「あ、そうじゃタマ。お主から貰った分だいぶ余る予定なんじゃが、残りは貰っても……いいかの? 」




「んー? 返してくれても俺は要らんし。……そうだね。今思いついたけど、代わりに俺の服もついでに作ってくれよ。

  オサレな旅人のようなデザインでいいからさ。 

  もしかすると外に行きたくなったりするじゃん?

  それで交換。てことで」




「むしろそんなもんで済むなら片手間でできるわいな。あんまり国宝級舐めるでないぞ。はぁ、なんかもうわし動く古代遺物アーティファクトと会話してるような気分にでもなってきたわい……」



「そんな大層なもんじゃねーし俺。そいじゃー頼んだぜー」



「大層なんじゃよなぁ……ま、任しとけ。来る頃にはどっちも終わらせといてやる。何日かかかるじゃろどうせ」






  火山でどんな鉱石採ろっかなーとか思考しつつ、久しぶりに山に向かうのであった。 









 あ。 ガンテツ、下着作れんのか?

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