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ハガネキ 〜彼女はメタルでハガネのやべー奴〜  作者: 爆散芋
3章 家に帰ろう 寄り道腕自慢大会編
105/202

88ネキ 働く騎士団その2

 前回のあらすじ



 没ネタとしてラ○デイン(雷雲を呼び寄せてピシャーン!)


 とか有ったり無かったり





 ――――


 ――商店街通り噴水広場――


  “幽体(ゴースト)



「こんな街中で剣振り回しながら俺たちに来るなんて何か恨みでもあんのか? おっさん」


「うぐぐ……」


 巡回中の騎士たちを見るやいなや奇声を上げて切り掛った冒険者風の男。


 勢い良く襲ったのは良いが団員にあっさりと剣を掴まれ、すぐ様武器を取り上げられ地面へと組み伏せられる。


「酔ってるわけでもねーし、本当にこの時期こんなのが他所から来るからしんどいよなー……」


「とりあえず向こうに居る団長呼んでこいよ。コイツどーするか聞くべー」


「あいよー……おい、お前ちょっと強く押さえつけ過ぎじゃね? そいつぐったりしてすんげー青いぞ」


「は? 別に強く抵抗もなんもされてねーから強くもなんともしてねー……うおっ!? なんだコイツ死にそうなほど顔色悪いじゃねーか!」


 先程まで暴れていた男だったが、まるで別人なほど顔を青くして何かを言いかける。


「で……で……」


「で?」



「出るぅゥゥぅおボロロロォォ!」


「うおっ!?」


 嘔吐物を吐き出すかのように男の口から白い気体が大量に噴出し、空中に留まって蠢いて何かの形に変化してゆく。


「おい! コイツなんかヤベぇぞ!」


「いいからその()()から離れろ! なんかもう抜け殻みたいなそいつも忘れるなよ!」



「はよお前は団長呼んでこい!」

「俺は人払いすんぞ!」

「とりあえず囲め! 油断するな!」



 モヤを中心に騎士たちが周りを取り囲み、だんだんと形をハッキリさせてくるモヤ。 ボロボロのローブを纏った上半身だけの半透明の実体を持たない骸骨。 “レイス” へと変貌した。


「オ、オオオオ! ナンテ身体ガ軽インダ! サア! 止メテミロォォォ!」


「おいコイツ俺らの攻撃全然効いてないぞ!」

「たりめーだろ! 実体がねー奴に物理特化の俺らは相性悪すぎんよ!」


 シールドバッシュなど、レイス男へと攻撃を仕掛ける団員たちだが、当然実体を持たない相手には通り抜けるだけである。


「フフ……トコロガドッコイ私ハオ前タチ攻撃デキル……〔ファイア〕!」


「おわっ! コイツ魔法撃ってきやがった! 鎮圧止め! 討伐に変えろ!」


「そもそも俺たちがどうすんだよ! 触れなきゃどうしよーもねーだろ! 危ねぇ!」


 次々と放たれる火球を弾いて他所へ被害を出さぬように盾で受け止める騎士たちだが、反撃手段が無く防戦一方となる。


「魔法撃てる奴連れてこい! 魔法撃てる奴! 神聖系とかの!」


「だークソ! 俺らの中に居るわけねーだろ! 他の団の奴呼んでこいよ! あっちい!」


「フフフフフ! 俺ハ無敵ダァ!」


 尚も調子に乗り暴れるレイス男、撒き散らすように魔法を乱発しているが未だに疲労の色は見えていない。

 と、そこに空からキラリと光る謎の物体(きんにく)が!


「ふはははは! 諸君、よくぞ周りに被害を出さず持ち堪えてくれた! 此処からは私が引き受けようぞ!」


 どこからとも無く空から降って大地を揺るがしダイナミック着地、ローズ参上。


 いやマジで何処から降ってきた?


「さて、 幽霊君! 今すぐ身体に戻りたまえ! 見なさい、君の本体を! なんて顔色が悪い、これではまるで死んでいるようではないか!」


「いや、団長、コレ多分死んでますよ」


「それに何だその体は! いくら幽霊だからと言ってガリガリ過ぎやしないか!? 筋肉足りてないぞ、筋肉ぅ!」


「団長、俺たちは筋肉ムキムキのレイスなんて聞いたこと無いです」


「今ここで君が戻ってくれないと言うならば私は君を討たねばならない! だがそれは悲しい! 何故ならば討ってしまえば私と一緒に鍛え直すのができなくなってしまうからだ! ああ、私はそれがとても悲しい!」


「団長、逐一ポーズ取らないでくださいよ、ほんでいつの間にか脱いでて上半身裸ですし、何のために鎧着てるんですか? レイスとは違う意味で熱くてしょうがないんでやめてくださいよ……」



「ウオオォォォウルセェェェェェ! 死ネェ!〔魂刻み(ソウルカット)〕!」


 レイスの片腕が黒い霧を纏い、禍々しい魔力を帯びた鋭利な爪へと変貌し、サイド・トライセップスをしているローズへと切り掛る。


「団長! ポーズ取ってる場合じゃないですよ! あーもうなんでこの人鎧直ぐ脱ぐかなぁ!?」


 レイスの爪がローズの身体を切り刻む!





 ……かと思いきや、爪先が触れた瞬間、とても汚い物を触ってしまったかの人のような反応で振り下ろした速度よりも早く手を引っ込め、爪の方の手を押さえて苦悶の表情で叫んだ。


「オオギャァォァォ! 熱ゥウイィィィ!」


「はーははは! 鍛えた肉体に邪悪な攻撃など通りはしないさ!」


 サムズアップでキラリと歯を光らせるローズ。

 うーん、とても暑苦しい。


「あ、あー。 あーあーあーあー。 めっちゃ忘れてたけどそういや団長、神聖属性ヤバい高いんだよなぁ……」


「巷では筋肉神官とか言われてたり、筋肉モリモリマッチョマンの変態とか言われてたり」


「こりゃ団長に任せて良さそうだな」


「だべな。終わる頃にはタルティ副団長来るべ」


「あーはいはい皆さん見るのは良いけど俺たちより入ってきたら駄目だよー」


「ふう! 少しばかり暑くなってきたな、汗をかいてしまった!」


 額から滴る汗を拭い、手で弾いて汗を飛ばすローズ。

 そしてその汗はとても不運なことにレイス男の目へと綺麗に命中してしまった。


「ウオギャァァァァォ!? 汗ガ、汗ガ目二ィィィ! シ、シミルウゥゥゥ!」


 両手で目を押さえ激しく空中で悶えるレイス男。


「うげっ。めっちゃ痛そう」


「あー目に入ったかー……悪霊系は神聖属性死ぬほどキツいらしいからな、俺ら換算だとハヴァネロ汁が目に入るようなもんか?」


「どうだろな? どっちにせよ俺は汗が目に入るのは嫌だ……」


「「「確かに」」」


 うんうんと頷いて和んでいる団員たちを他所にまだ戦闘は終わってはいない。


「さあ! 幽霊君よ! せめてもの情けで一撃にて浄化せしめん!」


 ギュピッ……ギュピッ……と何処ぞの伝説のスーパー野菜人のように謎の足音をさせてゆっくりとレイス男へとにじり寄る。



「ウ、ウワァァァ! ヨ、寄ルナナァァァ! 〔ファイヤ〕! 〔フャイヤ〕! 〔フャイヤ〕〔フャイヤフャイヤフャイヤフャイヤァ”ァ”ァ”ァ”ァ”〕!」


 ローズに恐れを感じたレイス男が彼を寄らせまいと機銃の如く魔法を彼に向けて撃ち込むが、ローズはソレを


「ふんっ! “擦輝呂威屠(すてろいど)ォ”!」


 モストマスキュラーのポーズにて被弾した魔法を全て打ち消す。


「ハアっ!? 生身デ魔法ヲ受ケテ何故効イテイナイ!?」


「簡単なことさ幽霊君よ! 筋肉を鍛えたからだ! そして受け取ってくれたまえ! “聖なる抱擁(マッスルハグ)”!」


 竜巻のように跳躍してレイス男と同じ高度へと並んだローズの技が男に回避の隙を与えずに炸裂。


「オ゛、オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ォォォォォ……」


 神々しい輝きと共にジュワジュワと焼け付くような音と悲痛な断末魔の悲鳴を上げながらあっと言う間に浄化され、霧散。


 柔らかく着地したローズが空を見上げて霧散した男へ語りかける。


「幽霊君よ……君には一つだけ足りなかった物がある……そう、筋肉だ」


「いや。団長、だから死霊系に筋肉は……あ、タルティさん来た」


「団長ーっ! 跳躍して目標地点にショートカットしては駄目だとあれほど……石張りァ! やっぱり割ってるじゃないかこの人!」


「おお、タルティよ、悪いが既に解決したぞ! やはり迅速な解決は鍛錬(筋肉)の賜物だな!」


「はぁ? 悪いが君、そこの青い方のことも含めて私に状況を教えてくれないか? 多分この人じゃ私は理解できないだろう」



「うーす。 それがかくかくしかじーかで…………」






 ローズVSレイス







 WINNER ローズ!



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