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ハガネキ 〜彼女はメタルでハガネのやべー奴〜  作者: 爆散芋
3章 家に帰ろう 寄り道腕自慢大会編
103/202

86ネキ 明かされる驚愕の計画!(棒)

 前回のあらすじ



 ♪ヒゲーのパンツは良いパンツ 強いぞー 強いぞー



 いやほんとすげぇなガンテツ。 元から履いてたのを“真似てみた”って言ってた気がするけど、どうなってんやろねコレ。



 まー俺が考察しても解らないんで疑問ぶん投げーの。


 ――――




『はーいどうもー! 実況大分してますけどまだまだ元気なアンジュちゃんですよー! 連日の大会から遂に今日! 今から! 今年の腕自慢大会優勝者が決まりまーす! 先ずは北ゲート、連戦連勝ぉ! 未だにローブに全身を包んだ謎のパワーファイター、バルバロ選手〜!

 圧倒的なタフネス、スピード、そして攻撃力! 対戦相手全て一撃の下に場外や降参に追い込んで勝ってきました! 今大会初出場で、並み居る強豪を薙ぎ倒してきたダークホースです!』



 バルバロと呼ばれたローブの男は、観客からの声援にも応えること無くただ真っ直ぐにフィールドへと上がる。


『そーしーてー! 南ゲートから現れるは此方も超絶ダークホース! 大会予選突破紅一点! そしてそのまま優勝街道爆進中! “公園で寝てるおねーちゃん”! タマ選手〜! 彼女の名誉のために補足ですけど職業は冒険者ですので、無職ではありません!』


 あ、はい。 どーもどーも。 名前呼んでくれて応援してくれるのはやっぱり嬉しいよね、勝ち進む度に増えてくれるし。


 って、寝てるって紹介雑やなぁ!? 確かにやること無きゃ寝てるけどさ! やる気が起きないのに働いてもしょーがないでしょーよ。


 適当にギャラリーに応えつつフィールドへと登る。


『さーさー! お二人共フィールドへと到着しました! 戦闘スタイルはどちらともパワーファイター! タマ選手はバルバロ選手の衣を剥ぎ取れるか〜!? それとも、やはりバルバロ選手の力が強いか! 皆様この決勝戦できまっちゃいますよ! 賭けは済んでますか!? 銅鑼がなった瞬間締め切りですよ! それじゃ〜勿体ぶってても仕方ないので早速始めていっちゃいましょー!』



 ゴヮァァァァン! と重々しい銅鑼の音が会場に響き渡り、決勝戦の幕が切って落とされた。


「ククク……決勝で楽ができるなんてなぁ、ツイてるぜ」


 くつくつと不敵にローブの奥に隠れた顔に笑みを浮かべ笑う男。


「あっそう。そりゃ良かったついでに、その怪しいローブも取れば? それぜってー あと何人かいて一斉に脱ぐやつでしょ?」


「何っ!? 貴様、何故知っている!」


「……はえ?」


 耳をほじりながら興味無さげに適当に言ったタマであったが、驚いている相手の反応にきょとんとしてしまう。


「……何処から漏れたかは知らぬが、もう遅い。 望むのならば姿を見せてやろう!」


 叫ぶと同時に空へとローブを脱ぎ捨て、遂に男の姿が(あらわ)に。



『おーっと!? 今までローブで隠していた姿をバルバロ選手自ら現したーっ! ……って、どんな中身かと思いきや普通のおじさ……おっと失礼しました! 冒険者のおじさまです! ローブの容量無視した筋肉モリモリマッチョマンの方が出てくるかと思いましたが、本当に普通の人です! 特徴無さすぎです! 特徴ないのが特徴と言っても過言ではありません!ふっつー!』


「普通普通ってうるせぇな! 俺は結構気にしてんだよ! ……だが、もう俺はもう()()()()()()()! ついこの間、悪魔と取引して力を得たのさ!」


「悪魔ぁ?」


「ああそうだ、その日もただ燻っていた冴えないDの流者だった俺たちは逢魔が時に悪魔に出会った! 飲めば千人力と言って“魔獣の種”なんていう丸薬を差し出してきやがった。寿命半分とか言ってたが自暴自棄も有り半ば冗談で飲んで、本当に魔物に成れるなんてなぁ! 見ヨ! 俺のホントウの姿ヲォぉぉ!」


 ミキミキモリモリと男の身体が膨張し、着ていた服がちぎれ、冴えない中年男だった彼の姿は変貌し、そこに居るのは4mを超える巨躯の牛の頭、人の体を持つ“ミノタウロス”と呼ばれる魔物だった。


「ウワハハハハ! 小サイ! 小サイゾォ! コノママ一捻リにシテヤロウカァ!?」


『こ、これはなんということでしょう! バルバロ選手が正体を見せたと思ったらミノタウロスに変身しました! なるほど納得のパワーとタフネスだった理由(わけ)です! タマ選手、勝てるのでしょうかぁ〜!?』


「ハハハハ! サァ、突如現レタ魔物にパニックニナルガ……ニゲナイノカ貴様ラ?」


 突如魔物が! 驚いて逃げ惑う観客! を予想していたバルバロであったが、観客はより一層盛り上がっただけで誰一人逃げようとはしない。


『えっ? はい? だって大会ルールに“変身してはいけない”とはありませんのでアリです! アリアリにございます! 存分に暴れちゃってください!』


「フ、フン! マァイイダロウ! 魔物ト化シタノハ俺ダケデハナイ! 銅鑼ヲ合図二各々(おのおの)暴レテイルダロウ! 今年ノ祭リハ我々ニヨッテブチ壊サレルノダ! ハハハハ!」


『な、な、な、なんとぉ!? バルバロ選手とその仲間は今年の祭りを台無しにするつもりの悪い方たちだったようです! これは大変だぁ〜!?』


「危機感ネェナ!?」


『いえいえ! 私アンジュちゃんはとてもびっくりしています! が、私叫んでなんぼですんでギャラリーがいる限りここから1歩も動きません! ま、結界もありますし、決着着くまで何やっても割れませんよ、ソレ。 四隅の装置外から壊せばイケないこともないですけど、むっちゃ高いんで普通に決着お願いします! そしたら勝手に解けますから!』


「フザケヤガッテ! イイダロウ、スグニコノ女ヲ倒シテ……ッテ、ナニ寝テンダテメェ!?」



「……あ? 話終わった? んぅーむ……よし! 手加減してあげますから全力でかかってきなさい!」


 ポーチから出していた枕を仕舞い、お尻のホコリを払って身体をほぐす伸び運動。


 そして功夫的な構えを取りクイクイと掌で煽る。


 コレが結構バルバロの頭に来たらしく、鼻から蒸気を出さん勢いでタマへと猛突進。


「ナァァメヤガッテェェエ!! ブッコロシテヤルゥ!」



『バルバロ選手凄い突進だァー!! タマ選手どう対応するー!?』


 タマを踏み潰さんと迫るバルバロ、だがタマは慌てず騒がず、ポーチから丁度いい赤い布を取り出し、


「ひら○マント〜(ダミ声)……どっせい!」


「オボォ!?」


 そこら辺に捨ててローキックにてバルバロを転倒させ、コケたバルバロを指さす。


「見たか! マントの力を!」


『なんて凄いマントなんでしょうか〜!? バルバロ選手の恐るべき突進を軽くいなしました! 秘蔵のマジックアイテムでしょうか!?』


 アンジュの実況に大いに沸く観客。



「オイ! マント全然使ッテネエヨ!?」


『お、復帰が早いバルバロ選手! さすがのタフネスです! さーさー! 決勝戦はまだまだ始まったばかりでーす! 両者頑張ってくださーい!』


「ネェ!? 聞イテル!?」


「とりあえず牛のおっちゃん、もう1回……やるドン?」


「ヤランワ!」



 本当に決勝戦は始まったばかりである。


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