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ハガネキ 〜彼女はメタルでハガネのやべー奴〜  作者: 爆散芋
3章 家に帰ろう 寄り道腕自慢大会編
102/202

番外ネキ 奴隷商? そんな奴は居なかった(後編)

 

 前回のあらすじ



 ――宇宙戦艦ポテト艦内――


「艦長! た、大変です! 航路が大幅にズレています、このままでは新キャラクターの武器がバスタードソードとフランベルジュに!」


 慌てふためくポテトのクルーの皆が同様する最中、艦長は慌てる様子もなくデスクに肘を置き、手を組んで口に当てたまま暫しの沈黙の(のち)、口を開く。


「……構わん、このまま流れに任せるのだ。無理に抗う必要は無い。活路は、ある」


「了解! このまま全速前進DA☆!」


 宇宙の遥か彼方、イスなんとかカンダル(物語の終着)目指し、明後日の方向へと突っ走っていく。



 一方その頃ガミ何とか帝国(普通の流れ)、サツマー総統。



「……ポテト来ぃひんやんけ!」



 ――――




 リザ子が村へと無事到着後し、教えられたポティカス卿の別荘地(砦)に夜明けと共に到着。

 橋を挟んだ手前にて、ヨシヒコも合流。


 タマも夜中に何とか脱出でき、ヨシヒコと交代で休みながら、砦から誰も出さぬように見張っていた。



「これはヨシヒコ殿、おひさしゅうございます。……お元気そうで何よりですよ」


 ヨシヒコに話し掛けてくるのはアイダホ騎士団第七。

 “奇剣使い(セクシーコマ○ドー)”ルメール。


「あ、ルメールさんでしたか、この間の時はお世話になりました」


「いえいえいえ。こちらこそ。ヨシヒコ殿のお陰で我が国も助かっていますからな。“win-win”と言うやつですよ」


 お互いに深くお辞儀をし返す様子を眺めているタマ。どうにも我慢できなくなり、疑問を投げ掛ける。


「……どれが隊長?」



 そう。 到着した騎士団の外見が、少々変わった鎧騎士で、顔もフルフェイスタイプ、背中に背負うはバスタードソードとフランベルジュという変わった組み合わせ。


 なのだが、()()()()()()()()なのである。


 先程まで少し間に出ていた者がヨシヒコと会話をしていたが、隊列に戻ると誰が隊長かパッと見全然解らない。


「これは申し訳ない」

「貴女が連絡にあったヨシヒコ殿の友人の」

「タマ様ですね?」

「任務御協力感謝致します」



「おいぃ!? 何故左右の奴と入れ替わりながら話をする!? コップにコイン入れて何処に行ったか当てるゲームかよ!」


「おっとすみません。 つい、癖でやってしまいました。我が団は司令塔を悟らせずに規律の取れた集団行動がウリでして……それで皆似たような格好なのです。一応私と団員の区別は付くようになってますよ」


「……何処に?」


「ほら。団長の私の鎧は肩アーマーの先とフットアーマーのつま先が少しだけ反ってます」


 ルメールの指さす箇所は、よく見ると確かに少しだけ団員のアーマーより先が反れている。


「……差分かよぉ!」


「ははは、まぁ、初めての方は皆様多少は混乱しますね」


「さよか。……ところでやっぱり怖がる様子無く平然としてるよな?」


「ああ、タマ様の変装も魔王かと見まごうほどの素晴らしい変装ですよ? 先程保護した蜥蜴人(リザードマン)の娘さんも“やべぇ姉妹が居た!”と、言っていましたし、わかりやすく説明致しますと我々アイダホの人間と魔国の人間では角に対する価値観が違うのですな。 我々から見ると猛々しい鬼人種(オーガ)の娘さんに見えても向こうからしたら3m超えの筋骨隆々で極太の金棒でも携えた大鬼にでも見えたやも知れませんな。 向こうでは鬼の角は一種のステータスですな」


「はぁ……?」


「ながながと説明させていただきましたが、価値観の違いは必ずある物ですよ。極論で言うと宗教対立のような」


「あ、なんか解るわ」


「一端でもご理解頂けたのなら僥倖にございます。さて……ヨシヒコ殿、これからの御予定は?」


「はい、一応此処から投降の呼び掛けをして全員に起きていただいた後に、反応が無いようなら門を破って皆様と一緒に突撃し、関係者全てを捕縛します」


「把握致しました。では、呼び掛けをお願……「はい! 俺やりたい!」 ……だそうですが?」


「ええ、構いませんよ。では、タマさん呼び掛けをお願いします」


「よっしゃ任しとき! ……あ、ヨシヒコさ、あればでいいんだけど、……とか……とか、持ってる?」


「え?それと同じ様なものは 一応持ってはいますが……」


「貸しておくれ」




 ヨシヒコにモニョモニョと耳打ちをし、1つは理解できるがもう1つはイマイチ解っていないまま貸し出し、砦へと突撃するための作戦が決行される。




 ――――


 ――



『あーあーあー、 マイクテスマイクテス、隣の客はよく柿喰う客だ! 青ミトコンドリア赤ミトコンドリア黄ミトコンドリア!

 羊が1匹、羊が2匹……あ、コレは違うか。 ンッン! 拡声器感度良好! おはよー! こんちはー! こんばんはー! おやすみー!

 おきてええええ!!』


 ヨシヒコから借り受けたは拡声器。

 そういう魔道具なのだが、交渉人が使うようなよく見る拡声器である。 元から声がデカいのも相まって、大気をビリビリと震わせるほどの大音量にて勧告が続けられる。

 ちなみであるが、もう1つ借りた物はやたらとデカいサングラスである。アイダホ用の。


『お前たちはアイダホ騎士団に完全に包囲されている! 容疑は解っているな!? 今から数える間に大人しく出てこい! 反応が無いならやむ無く此方からガサ入れさせてもら……ヨシヒコ、なんかさっきからちょいちょい俺のアイテム袋から物がはみ出すんだけど、なんでなん?』


「え? 推測になりますが、容量過多(キャパオーバー)がよくある原因ですね……もしかして押し戻してます?」


「んむ。 押すけどさっきからはみ出てくるんだよ……つまみ食いしたろ! ……おん!? メッキかよこの石柱! 捨てるか!」


「ええ? 牢以外何か取ってきてたんですか?」


「うろちょろしてる時な? 良さそうな柱が点在してたんで引っこ抜いてきたんよ……っと。 柱はこれで全部か、うーん期待外れだったな……」


 ズン!…… ズン!……と10数本の巨大な石柱を並べ、グラサン越しに顎に手を当ててどうしたもんかとタマが思案する。


「ヨシヒコ殿の友人だけあってタマ様もやはり凄い御仁ですな。事も無げにその石柱を持ち上げるとは」


「あ、そーいやルメールさんは驚かないのな?」


「ヨシヒコ殿に慣れておりますからな、ヨシヒコ殿の御友人となれば常識の範疇外かと。あ、タマ様、その石柱の処分に困っているなら砦に威嚇として投げ込んでみては? 投げ切れるならの話ですが」


 ペチン! と指を鳴らして“その発想は無かった!”という顔でルメールにナイスアイデアの賛辞を贈る。


「なるほど! 面白いなソレ! 早速やるか!」


「あ、できちゃうんですね。総員、タマ様の邪魔にならないよう移動!」



 ─そして後にルメールは語る。


「いや〜ちょっとタマ様のパワー舐めてましたね。アレは投石器じゃないですよ、大砲ですよ。大砲。 人間攻城兵器ですよね。ははは!

 綺麗に崩れ過ぎて私含め団員大爆笑でしたもん。事故で片付いて私たち楽でしたけどね!アッハッハッハッハッ!」



 ルメールが要らん発想をしたばかりにタマの投射した電磁砲ばりの石柱が砦に全て激突した瞬間、()()()コントで使う建物並の勢いで砦が崩れ落ち、一瞬で砦から瓦礫の山へと変貌。


 中に居た者たち全てが大音量からの飛び起きてすぐに倒壊した砦の一部と化した。


 思わせぶりに出てきたポティカス卿ももれなく圧死。

 いくら何でも雑過ぎる最期である。



 こうして、世間には“ポティカス卿、別荘の手抜き建築により事故死”と知れ渡り、祭りの王都新聞に2、3日ほど記事が出た。




「あの……タマさん、強く投げ過ぎですよ」



「……よし! 悪は滅びた! 撤収!」






 これにて、番外編終了である。

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