1ネキ 神様、指が滑る
青い空。 広がる大地。 綺麗な海。
だが墜落中。 うん。自由落下とも言うやね。
早速死にそう。 いや、死んだわこれ。
少しだけ時間を戻して説明しよか……
ーーー
ーー
ー
…
「……お? 気がついた? おはよう♡」
あ、はい。おはようございま、す……?
「おお、○○よ、死んでしまうとは情けない。
其方にもう一度チャンスをやろう!」
………
……うん?
死んだ? つい反射で挨拶返しはしたが此奴は?
此処は?
そして○○? 俺の名前は? 俺は? 解らん……全然わからん。
「ぐえー……せっかくボケたのに……まーいいか、ここは所謂転生部屋。そんでもってワシ神様。いぇーいピースぴーす」
目の前に居る上目遣いの舌出しダブルピースの怪しい初老の白鬚のおっさんが? 神様ァ? どゆこと?
「まぁ〜今から順に説明してくけど、神様とか別に信じなくていいよ。
見た目も見る人によって違うし君にはそう見えてるって感じ。
んで質問の答え。まず君は死んだ。
You DIED。
まぁ、ざっくりとした死因は〜……他の神様の不注意でうっかり君の乗ってる飛行機落ちちゃった♡」
確かにここで目が覚める前は田舎に帰省中の飛行機で居眠りしてたが、不注意ってその神様はなにしたんすかね……
「君らのスケールに解りやすく例えるとぉ……作業中手に持ってる工具が不意に滑って落ちて下の通行人にあたって死んだ感じ?」
神様ぁ! 何やってん!? 結構な事故ぞ!?
「んまァ〜スケールが違うだけで神様もポカるんですわオホホホ。まぁまぁ、それはゴッドパゥワーで時間逆行うんぬんかんぬん以下略で補填済みー。モウマンターイ!
ほんで、君が此処にいるのはゴッドソウルサーチの魂予約検索に引っかかったから。かっこいいでしょ? ネーミング気に入ってんだ」
はぁ……そっすね……魂予約検索? ん? つーかしゃべってないのに会話出来てる?
「まぁそこは神様やし、しゃべらんといても解るアレ。便利便利。
で、魂のヤツは条件にあてはまるのがおっ死んだら転生させる部屋に呼ぶシステム。ちな無理や……偶然僕が引き抜いた影響とかそういう難しい話はこっちで後腐れ無く処理してるから安心していいよー。
いや~便利だよね~予約検索。予約してた僕もすっかり忘れてたもん、ハハっ」
「あ、後君の名前が無いのは転生に関して生前の名前とか別段いらんやろっていうかんじで、僕が記憶させてないからなんだ。
正直自分でもまぁ名前が解らんくらい別にいいかって思ってるでしょ? そういうのも検索条件に入れてたしね」
はぁ、さいですか。 でもなんで俺?
「検索条件が 多少のことは気にしない。なったものは仕方がないで済ませる。こういう感じでポンと呼ばれても前世に執着しない奴。お話にある様なファンタジー好きなやつ。
あーコレは、今みたいに急に神様とか名乗る奴が出てきてもすぐ対応できるのが多くて僕達が楽なんだよね。
よく出来てるでしょ? フィクションが実は本当に有る話なんて
……って言うかそういう娯楽が神の信仰増やすための1つの手段だしぃ、
まぁ他につらつら設定したけどビンゴったのが君ってわけさ。後僕が単純に気に入った」
はぁ?……色々と納得し難いが、こういうの俺があーだこーだ言ってもどうにもならないやつでしょ? ……で、前々から気になってたんだど、こういう転生ってなんで俺みたいな日本人ばっかなの? なんで大概俗に言うチートやら凄い力とか皆とかあったりするん?
「あ〜そうだよね、日本人ばっかだよね。おkおk。そういうのも答えてっちゃおう、まず魂にも質とかあるんだよね〜。
んで、地球は良質な魂の産地で特に日本産の魂が質がもう凄い良いの。所謂ブランドとかそんなん。転生させてるのに最高に優良な魂が多いねー。
って言うか大体日本人以外記憶残したまま転生させても面白くないし……おっと失言。
んで。転生と言えば君らの言うチート? とかなんとかなんだけども、これは送った転生者があっさり死なないようにちょっとプレゼント、加護をあげた神様が発端やね。そっからなんかみんな真似して恒例化しちゃったって感じ。
ま〜こうやって手間かけて説明して送った良い魂が転生→ハイすぐ死にましたーじゃあ、逐一送ったのがつまんな……無駄になるからね。
特に僕とか条件かけて絞ってるから君みたいなのはほとんど取れないね。魂ガチャSSR大勝利ゴッドいえーい。
だからまぁ死なないように後で君にもなんかあげるけど?」
そういうもんだったんすか……でもなんで転生なんすかね。
「趣味だよ」
………は?
「ああごめんごめん。
そういうのが仕事なのも居るけど、僕に限っては完全に
趣 味 だよ。
神々がそれぞれ転生者を送ってその世界でどう生きたのを見るのが今めっちゃブームなんだよねー。 こう、君ら基準で言うと面白い番組録画するでしょ? そういうもん」
録画ぇ……
「まま、全部終わった後に見させてもらうから逐次覗くとかないので安心! ゴッドプライバシー! ま、文化が違う世界に別世界の人間送ってその世界の進化と発展させるっていう目的もありはするんだけども。
そういう訳で〜、僕もその遊びに参加しよう! ってことで冒頭に戻る感じ。あ、今回の件に関しては僕の横領くせーけど神様特権でノーカンノーカン、こういう時真面目にやってると得するよね! HAHAHA」
横領言っちゃったよ。
やっぱ神様ってスケールが違ぇなぁ……。
まぁだいたいは解りました、丁寧な説明ありがとうございます。
「お? 謙虚なのはイイネ! じゃあさっそくエディットしてく? だいぶ無理通しちゃったから大概の要望には応えてあげるよ?」
あ、はい。 俺……私? どっちだったっけ? まいいや。
とりま長くて綺麗な髪をください。 長毛って憧れるなって思ってたところですわ。
ほんでたしか? 小さくはなかったはずですけど高身長になってみてぇなぁ……
鍛えるのおっくうだったんで気持ち腹筋が見えるような素敵なぽんぽんぷりーず。
ついでに雨ニモマケズ的な鋼の体ください。鋼の様な体ってなんかもうフレーズがカッコイイですよね。
他はもう充分高望みしたんで別に良いです。
「はいはーいおkおk。その程度だったらできないことは無い。要望は全部かなえてあげよう。ただしちょっと僕の趣味が入るけど」
趣味?
「あーいや大したことじゃないよ。さっきの要望はかなえるからほら。気にするな気にするな。べつに羽付けるとか角生やすとか三面六臂にするとかそんなんじゃねーからさ」
怖っ!? ……なーんか引っかかるんすけどまぁ我儘言って叶えてくれるんだからまぁ……いいか。
「えーと、転生先はタップタップツイツーイ……あったあった。後輩神の所ちょうどいいのがあったわ。よくある剣と魔法の如何にもなファンタジーなんだけど……好きじゃろ?(ニッコリ」
……そうだよ、好きだよ!(歓喜
ん? 後輩神? もしかして髭神(仮呼称)って偉いの?
「髭ってお前ぇ……そうだよ。言っちゃなんだけど結構偉いよ僕。まあ上が居るちゃ居るけど君らの解る範囲で言うなら……トップがドラ○ン○ールの全王くらいだとして……まあ誤差かなくらいには偉いよ」
………お前割とやべぇ奴じゃねぇか!?
「ほいほい。じゃあだいたいは説明終わったしじゃあさっそくいこうぜ? 今度目が覚めた時は転生してるから」
「あ、あとげぇむよくあるような自身のステ閲覧と現地言語変換は転生者お得デフォセットであるから安心してな? じゃーねー」
そう言ってパッと空中に出現させた半透明の板をついついとなぞったりしてポチポチする神様。
……神様もタブレット使うんすね。
あ、そうだ、まってくれまだ聴きたいことが──
「あッ やべ。ポップミスった」