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狛井神社の付喪ちゃんは幸せになれない  作者: 八雲ゆづき
序章 プロローグ
2/3

プロローグ2

現代日本:狛井神社


「そろそろこの神社も建て直さんといかんな……」

神主姿の男眉間に皺をよせ、そうぼやく。

狛井神社は人里離れた山の奥深くに建てられており、とてもとはいえないが参拝する気になどなれそうにもない。

町の役所からもあまり良い扱いはされておらず、基本放ったらかしである。

「そうですね……確かに、このままでは危なそうですね。狛犬様たちの為にも、一度修繕作業をした方がよろしいかと……」

そう答えたのは、巫女の姿をした女性。長い髪は背後で括られており、清楚な雰囲気を漂わせている。

女性も現状をピンチと見ているようだった。

「どうにか建て直さんといかんのだか、賽銭がたまらんからのう……」

神主はがっくりと項垂れる。

「まあ仕方ないですよ。こんな山奥にある神社になんて、誰が好き好んでくるもんですか。私だってお金の為になんですから」

口を尖らせて呟く巫女。彼女もまた、町から雇われているだけの存在なのだ。そして、こんな山奥の神社に来るのも金の為。仕方がなくなのだ。

「ほら、狛犬様の像にも苔が……久しぶりに洗いましょうか……」

そう言って巫女は神社の中へと入っていく。



白火始郷しろひしきょう:狛井神社


ここ、白日始郷はあの世とこの世を繋ぐ【要の世界】

狛井神社はそんな【要の世界】でも珍しい『この世と要の世界を繋ぐ場所』なのだ。

そんな狛井神社にはある少年が二人、暮らしていた。

「なあ、吽形。俺たちの神社に母さんの櫛、置いてなかったっけ? 形見のやつ」

和装に身を包む少年は問う。

もう一人の少年も同様の和装にみを包んでいた。

「ん? あぁあれか。さぁしらん。母さんが死んでからもうどんくらい経つっけ? 久しぶりに墓参りに行こうか?」

マイペースにもそう答えるのは三白眼が特徴の【吽形】と呼ばれた少年だった。

「まあ、そうだな。って、話逸らさないでよ⁉︎ 形見無くしたなんて母さんにどう顔向けするのさ⁉︎」

そう声を荒げるのはもう一人の少年【阿形】だった。丸っこい目をしている。

この二人の頭、髪の毛の上の方を見るとぴょこっと何かが生えているのが見える。『獣の耳』である。

この二人の少年……いや、獣人はこの神社に祀られている【狛犬】であったのだ。

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