プロローグ
狛井神社––––それは人里離れた山の奥にある神社。
名前の通り、その神社には狛犬がいるという伝説がある。
〜其の昔〜
狛井神社が建っている山の中、それは起きた。
人が作られた意味、それを問わなくてはいけない、そんな事件が起きてしまう。
無論、″争い″である。
人々は呻き嘆き、その有様は地獄そのものであった。
水を求めるもの、神に救いを求めるもの、自ら死を選ぶものさえいた。
その有様を救うべく手を差し伸べた者こそ、《狛犬たち》であった。
彼らの力で″争い″は収まり、一度平和が訪れる。
しかし、そこで災いが収まったのでは無い。むしろここからとでも言えよう。
その山には、祠が祀られていた。その中には《わざわい》という魑魅魍魎の親玉が眠っていたと言う。
″争い″の火種は祠にも着弾する。
『《わざわい》が眠る』というのは本当の事で、彼らは慌てふためいた。
祠から脱出する事ができた《わざわい》は自分を閉じ込めたもの、人間を攻撃する。
そして、それを防いだのもまた《狛犬たち》であった。
妖術と妖術で争うその様は、人間の″争い″など雲泥の差であった。
″争い″が収まり、《わざわい》が再び封印されるも《狛犬たち》は瀕死の重傷を負っていた。
そこで、人間は彼らを祀るための神社を建て始める。少ないお金を寄せ集め、山の木々を切り倒しやっとの思いで完成したのが《狛井神社》であった。
完成後間も無く《狛犬たち》は生き絶え、彼らは光の泡となって天へと登っていったという。
今でも彼ら、もしくは彼らの子孫が″別の世界で生きている″と伝説として語られている。
伝説は語り継がれ、時は21世紀。
今も狛井神社は存在し、彼らは今も祀られ讃えられている。