2話目
「.......きろ、おい起きろ!」
頬に冷たさを感じ、声が聞こえたと同時に半分目を覚ます。あぁ、こりゃ夢だと曖昧な感覚を覚え状況を整理する。
まず、俺は土下座体勢でかつ背中で手錠をはめられている。さらに状況を確認すると、女の子の生足に踏まれている。うむ、背中に感触が合って逆に気持ちいい。
「あの、足どいてもらえるか?」
「なかなか起きないので踏んでみたのだ。効果絶大だったようだな。」
淡々と話す彼女に対し、カイは思う。ーーーどちらの意味で言っているのか分からない。
渋々と起き、今どこにいるのか確認。囚人用の牢屋。出鼻をくじいたと後悔する。
「長官がお待ちだ」
手錠を外されこっちだと案内されつつ、その間持ち物を確認。よし問題無し。
階段を3階上り、長い渡り廊下の中央に位置する『長官の部屋』と、随分とメルヘンチックに書かれてある部屋まで連れられ、入れと言われ間もなく入る。
「失礼します」
ーーーバタンッと、扉が閉まる音がし目つきを変える。
「久しぶりだな、メブリ(悪女)さん」
彼女と距離を詰めていき緊迫感を増す。
「久しぶりね、もう5年にもなるのかしらーー」
「これは何のつもりだ」
言葉を遮り、つまらない馴れ合いを飛ばし本題に入る。
カイが内ポケットから取り出したのは一通の手紙。まるでラブレターのようにハートが隙間なく描かれている。
「可愛いだろ?」
「そこじゃねーよ!内容のことだ。」
気のせいか空気が重くなり、彼女の顔つきが厳しくなる。
「..............そのまんまだ」
そのまんま?意味がわからない。
「ふざけてんのか」
「別にふざけてなどいない。私は本気だ。」
手紙にはたった1行ーーーー『今度の新満月の暦、皆でかの地でまた会おう。 めーりちゃんより♡』
キャラが統一していないこの様式、この人のだと合致したと見た。あぁ合ってたさ。
けどーーーーー
「まさかあの日あの場所で起こったこと、もう忘れたのか…?」
「忘れるはずが無い。仲間が半分.....いや、もしかしたらもう私達しかーーー」
「じゃあなんでこんなものを!」
言葉を遮るカイの声と表情は、怒りに満ちていた。
そこに不自然に1拍ーーー
「転生」
「.........え、」
「十二星座の持ち主は転生する。」
「じゃあ、あいつは生き返るって事か!?」
「いや、違う。正確に言えばその者の人格を宿す心身が、という事だ。つまり、生まれ変わり」
「生まれ変わり...........」
「良かったじゃないか、もう見つかったんだし。」
「.........はい?」
「ここに来て、門前で会わなかったか?」
門前、会った女の子が脳裏を過ぎる。
彼女があいつのーーー