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ラプンツェル、心配される。



「建物自体は、昔と同じ全世界共通の冒険者ギルドなのよね。ただ、今じゃ人間嫌いの亜人も多くて、人間からの依頼は受けたくないと言い出す者も居るのよ。しかも、そう言った冒険者に限って強かったりするのよね!それで、亜人による亜人のための亜人ギルドを設立するに至ったのよね!」


マーちゃん、握った拳をふるふると震わせてギルド設立について力説中。

私は正直、長い話と重い内容に胸焼け状態。人間と亜人の関係が芳しくないことはもう充分分かりましたから、お願いだから解放してっ!って感じ。


「あー、はじめの頃は大変でした。それはもう。亜人ギルドでは、亜人からの依頼以外は受け付けておりませんから、強い戦力が得られなくなる人間側からは強い反対意見も出まして…ただ、そうでもしませんと亜人側も冒険者を辞め故郷へ帰りかねませんでしたし」


でも、そんなことはお構いなしにマーちゃんとポルルは話し続ける。

チラッと横目にトトを見れば、如何にも二人に同意してます。と言わんばかりに真面目な顔をして相づちを打っているから、少し苛っとして肘でつつこうとした瞬間、


「一階の表側受け付けは人間用なのです。裏口に亜人用の受け付けがありますよ。後で見ますか?」


うわっ!ビクッとした。


「あ、ええ」


うー、動揺しすぎてよく分からないまま頷いてしまった。


「ポルル。人間と言えば、僕らが門を通る際、兵士に呼び止められたんだけど。領主側とは一体、どうなっているの?」


落ち着こうとおかわりしたお茶を一口。


「エェッ!?ツェル様ったらっ、兵士どもに何をされたのよねっ!?怪我はっ?」


バッと肩を掴まれ、


「えっ、大丈夫よ。心配しないで、私は平気だから」


マーちゃんは身体も手も大きいから、しゃがんでいても只でさえ小さな私の全身は隠れてしまう。


「まさか兵士に?トトやユユもいたのでしょう?」


心配してくれるのは嬉しいけど、既にかなり私の顔に接近するマーちゃんに手を伸ばし、安心するように頭を撫でた。

昔、ゲームの頃は、まだ私も普通にブーちゃんの所へ遊びに行っていたし、小さかったマーちゃんたちをこうして良く頭や背を撫でたっけ。


「そうなんだけど、危ない事は何もなくて、ただ搭について聞かれたよ」


昔を懐かしんだ私は、さっきまでの不真面目さをおくびにも出さず、そう答えた。


「……そう言えば、搭の煙突から煙が上がったって騒いでたね。マール?」

「えぇ、そう言えば___」


痛いとこつくなぁ。

なんて思いながら、離れていくマーちゃんと向かいのポルルに向け、なんだか帰ってから面倒ばかりでごめんなさいと口には出さずに、小さく頭を下げた。



「___それで、ここが亜人専用カウンターです。ま、僕らが勝手に作って広めたんで自称ですけど」

「あら、でもギルドは各政権とは関わりを持たない治外法権だものね。ポルルが自分の治めるギルドで新しいカウンターを作ったからってなんら咎められる理由にはならないのよね!」


二階での話し合い途中案内されたのが、私達のいた部屋から出て廊下を真っすぐ進んだ突き当たり。ドアはやっぱり木目調で、入ってみると一階にあったギルドカウンターの内側そのもので、真ん前にまた出入り口。

……あれ?ここ、突き当たりの部屋だったはずじゃなかった?しかもここは二階でしょ。

どう考えても、おかしいな。むむ。と私が微妙に眉を寄せる前に、マールは説明を始めてくれた。


「あ、あの正面に見えるドアは外階段に繋がってるのよね!可愛さに拘って純白の螺旋階段にしてもらったのよね!工事が終わってから二人で初めてまだ真っ白な階段を下りて……あぁっ!本当に素敵だったのよねっ!」

「あの時のマールは、本当に可愛かったな……」


「……」


ポルルは、ほぅっと熱のこもる息をつきながらマーちゃんを見上げて。マーちゃんは祈るように両手のひらを組みながら白猫ちゃんを見下ろしている。言うまでもなく、二人は見つめ合っていた。毛のせいでホッペが赤いかどうかは分からないけれど、頭の上に生えた耳がピクピク動いているのは分かる。うん。いや、二人が幸せならそれでも良いんだけどさ。……うん、なんだかなぁ。


「ね、ユユ」


邪魔はいけないと思いつつ、気になって仕方がないので隣に立つユユへこっそり聞くことにしたのだけど……?


「なんですかぁ?」

「あの二人って、恋人なの?」

「え!っと……恋人っいうか」

「言うか?」


言いづらそうに言葉をつまらせたユユを見つめて、じっと続きを待つ私へ、反対側からトトの声が。

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