初めての「守るべきもの」
■初めての「守るべきもの」
ケルベロスは助手席側のドアを開放すると、リナが少しでも乗車しやすいように、油圧サスペンションを可能な限りまで下げる。
「リナ! タラップがあるので、そこに足を掛けて!」
「うん! わかった!」
勘の良さを発揮したリナは、驚くほどスムースに、車高のあるケルベロスへ乗り込んだ。
「いい子です、リナ! ドアはこれで閉めます! いいと言うまで、しばらく窓の外は見ないように!」
「お姉ちゃんは大丈夫っ!?」
「ミチルはとても強いから、大丈夫です! 心配しないで!」
その言葉に安心したのか、リナはケルベロスの指示におとなしく従った。
リナがケルベロスの重厚なドアの向こうへ消えると同時に、通路の闇が物理的な質量を持って押し寄せてきていた。
「目標捕捉。個体名:『スライサー』、計6体。ジャッジほどの防御力はありませんが、機動力は3倍以上。6体1ユニットのトータルでナンバーズ並みの戦闘力を発揮します!」
「上等じゃない。……ケルベロス、リナに外の音を聞かせないで。何か音楽でも流しておきなさい!」
ミチルはそう叫びながら、背後の影に振り向きざまグロック17を乱射した。9mm弾が闇を切り裂き、一体の「スライサー」の肩口を弾く。しかし、それは期待したほどのダメージを与えることはできなかった。頭部を正確に狙わなければならないようだ。
「キィィィィィィィン!!」
鼓膜を突き刺すような高周波の咆哮。
影たちが一斉に跳躍した。壁、天井、床。全方位から迫る刃のような四肢。ミチルはサイドブースターをフル稼働させ、重力を無視したかのような動きで敵の包囲網を紙一重で回避する。
「ケルベロス! 残弾数は!?」
「左:3、右:2。予備マガジンへの換装を推奨します。……0.8秒後に八時の方向より強襲!」
脳への直接的な通達は、一瞬ですべてを把握できる。わずかな遅滞もない。
そのため、ミチルはケルベロスの警告を最後まで聞くまでもなく、ノールックで左後方へ銃口を向け、残りの3発を連射した。
弾丸は正確にスライサーの頭部を撃ち抜くが、相手は死に体になっても、その鎌のような腕を振り下ろしてくる。
「しつこいんだって!」
ミチルは裂けたセーラー服の裾を翻し、空中で身を捻りながらスライサーの頭部を蹴りつけ、これを完全に破壊した。着地した瞬間には、これもどこから取り出したかわからないほどの素早さで、空になったマガジンを弾き出し、新たにスペアのマガジンを叩き込んでいた。
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次回更新は2026/01/04 18:10です。
同時連載の、「契約の魔法少女/マギカ・コントラクト」もよろしくお願い致します。魔法少女×SFの作品です。




