帰還:硝煙と日常の境界線
■帰還:硝煙と日常の境界線
「アーセナル・ラボ」の分厚い防壁扉が、重々しい金属音を立てて開いていく。ケルベロスのタイヤが滑らかなセラミック製の床面を転がり、指定のドックへ誘導された後、停止する。数名のメカニックが駆け寄ってくると、ソフトとハード両面のメンテナンスが直ぐに開始される。
熱に焼けたエンジンが沈黙すると、いつもの通り、キンキンと小さな金属音がする。同時に、ミチルは運転席のドアを開けると、足元をふらつかせながら、待機所のシートへ崩れ落ちた。
「……到着よ、リナ。ここなら、あの化け物たちも入ってこれない」
リナはまだ不安げに周囲を見渡していたが、ラボの無機質ではあるが清潔な雰囲気と、自動殺菌と酸性雨の中和システムの噴射する淡いミストの香りに、わずかに肩の力を抜いたようだった。
『お疲れ様です、ミチル。バイタルサインが警告域です。即座にメディカル・ポッドへ入ることを推奨します』
『うるさいわね……。その前に、このボロ雑巾をどうにかしたいのよ』
ミチルは忌々しげに、肩から無残に裂け、スライサーの体液と火薬の煤で汚れた戦闘スーツを指差した。
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次回更新は2026/01/08 18:10です。
同時連載の、「契約の魔法少女/マギカ・コントラクト」もよろしくお願い致します。魔法少女×SFの作品です。




