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静寂と誓い

 ■静寂と誓い



 白煙を上げる銃を放り棄て、ミチルは膝をついた。

 右腕の感覚がない。通常の数倍に膨れ上がった異常腔圧による反動を、完全には逃がし切れなかったのだ。それでも、骨折を免れることが出来たのはミチルだからこそである。


「……敵生体反応、消失。お見事です、ミチル」

「……あいつに、また文句を言われてしまうわね。銃を壊したって」


 ミチルは震える足で立ち上がり、ケルベロスの助手席へと歩み寄った。

 ドアが開くと、そこには耳を塞ぎ、丸まって震えているリナの姿があった。


「リナ……。もう、大丈夫よ」


 ミチルが声をかけると、少女は恐る恐る顔を上げた。

 ミチルの姿はボロボロで、肩口まで裂けた戦闘スーツからは特殊なワイヤー繊維が覗いている。血に汚れていたが、その瞳だけはリナを安心させるように優しく微笑んでいた。


「……お姉ちゃん、終わったの?」

「ええ、終わったわ」

「約束……守ってくれる?」

「約束する。一緒に、パパとママを探そう。……ケルベロス、ラボへ向かうわよ。この子の保護と、硬質化細胞データの解析を最優先で」

「了解。ルート再検索中。……ミチル、一つだけいいですか?」

「何よ」

「次の戦闘スーツは別のデザインにするよう申請しておきます。どれくらい先の話になるかはわかりませんが」


 ミチルは鼻で笑い、リナの頭を優しく撫でた。

 シェルターの出口から、かすかな月光が差し込んでいる。

 地上にはまだ11体のナンバーズと、その眷属たちが残されている。だが、ミチルの手の中にある小さな体温ぬくもりが、彼女に戦う理由を再定義させていた。

最後まで読んで頂いてありがとうございます!

次回更新は2026/01/07 18:10です。

同時連載の、「契約の魔法少女/マギカ・コントラクト」もよろしくお願い致します。魔法少女×SFの作品です。

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