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2025年 年末年始スペシャル 大晦日「年の終わりに、音は集う」

同じ一日でも、過ごし方は、人の数だけ存在する。 誰かは人波に揉まれ 誰かは台所に立ち 誰かは音に包まれる夜を待つ。

けれど――大晦日という日だけは、そのすべてが、同じ時間へと収束していく。

これは、少し騒がしくて、少し温かい、東縁高等学校吹奏楽部員達の大晦日。

まだ空が白みきらない時間帯。駅前の通りには、夜の名残と朝の気配が入り混じっていた。年末大商業祭の横断幕が、冷たい風に揺れている。


「……早くない?」


陽翔(はると)が小さくあくびを噛み殺しながら言った。


「大晦日なんだからむしろ遅いくらいだよ」


奏多(かなた)はそう言いながらも、目元は少し眠そうだ。


通りの店はまだ準備中で、シャッターの隙間から光が漏れている。


段ボールを運ぶ音

台車のきしむ音


開店前特有の落ち着かない空気。 来島は腕時計を確認し、周囲を一度見回した。


「この時間は、まだ人も少ないな」


「嵐の前の静けさ、ってことか」


久瀬(くぜ)が淡々と返す。若田(わかだ)は、まだ人の入っていないショーウィンドウをじっと眺めていた。新しいシューズが、きれいに並んでいる。


「まだ買うかどうかも決めてないのに、見るのは早いよ」


狩川(きりかわ)が笑う。


「……今のうちに、考えときたいだけだよ」


若田はそう言って、少し視線を逸らした。 香久山(かぐやま)はというと、早朝からすでに正月飾りコーナーを見つけていた。


「朝のうちに見ると、縁起物って新鮮だな」


「その感想、初めて聞きましたよ」


陽翔が苦笑する。


しばらくするとシャッターが、音を立てて上がった。 一枚、また一枚。金属が擦れる低い音が、通りに連なっていく。


「来たな……」


誰かがそう呟いた瞬間だった。 それまで足踏みしていた人の波が、一気に動き出す。開いたばかりの店の中へ、吸い込まれるように人が流れ込んでいった。


呼び込みの声が重なり

レジの起動音が鳴り


年末大商業祭は、完全に営業開始を迎えた。


「うわ、一気に来た!」


陽翔が思わず声を上げる。 さっきまで見えていた床が、もう見えない。肩と肩がぶつかり、紙袋が擦れ合う。


「早朝の静けさ、どこ行った」


奏多が苦笑しながら、人の流れに身を任せる。 来島(らいとう)は周囲を見回しながら、歩幅を調整していた。


「はぐれたら終わりだな、これ」


「いや、もう半分はぐれてる」


久瀬が淡々と返す。 狩川は人混みを楽しむように、少しだけテンポを上げた。


「この感じ、年末って感じするよな」


「感じするっていうか、押されてるだけだよ」


若田はそう言いながらも、表情はどこか明るい。 香久山は、少し後ろから全体を見渡していた。流れ、人数、空間。


やがて、一行は通りの先にある広場へと押し出されるように辿り着いた。 ここだけは、不思議と余白がある。人は多いが、立ち止まれる場所だった。


「よし」


香久山が一度、全員を見渡す。


「じゃあ、そうだな……」


少し考えてから、続けた。


「十一時半くらいに、またここ集合しよう」


全員が腕時計やスマホを確認する。


「了解」


「オッケー」


「迷子にならなければな」


来島の言葉に、何人かが笑った。


「じゃ、分かれるか」


自然と、三つの塊ができる。



陽翔・奏多・来島。


「どうせなら一番混んでるとこ行こうぜ」


陽翔が言うと、来島が即座にうなずいた。


「それな。年末は体力勝負だし」


「……二人とも、その発想がすでに間違ってる」


奏多はそう言いながらも、二人の後についていく。



久瀬・狩川。


「必要なもの、決まってる?」


狩川が聞くと、久瀬は一瞬考えてから答えた。


「まあ、大体は」


「じゃあ、無駄な動きしないね」


「する気もない」


二人は、人の流れを読むように、少し端を進み始めた。


若田と香久山。


「買いたい物は決まってる?」


香久山が聞く。


「……うん。とりま自分用と家用で分けてあるし」


若田はそう言って、視線を前に向けた。香久山は軽くうなずく。


広場に残った空気が、一瞬だけ落ち着いた。それぞれの背中が、人混みに飲み込まれていく。


同じ大晦日

同じ朝。


けれど、この瞬間から、過ごし方は分かれていく。


十一時半。その時間だけを、全員が共有したまま。 年末大商業祭は、ここから本当に動き出した。



キッチンには、三人分の動線ができていた。


今伊(いまい)は火口側。 永井(ながい)は調理台の中央。 そして――(ひびき)は、その間を縫うように立っている。


「……で、これはどうするの?」


永井が、伊達巻の材料を前に首をかしげる。


「卵とすり身混ぜるだけ。火は僕が見る」


今伊が即答する。


「じゃあ僕は……」


永井が視線を泳がせていると、横から静かな声が入った。


「それ、先に裏ごしした方がいいよ」


響だった。 二人が同時にそちらを見る。


「……裏ごし?」


「うん。そのままだと、焼いたときに層が荒くなるから」


響は自然な手つきでザルを取り出し、卵液を流し込みながら説明する。力は入れていない。急いでもいない。 なのに、卵液は均一に、なめらかに落ちていく。


「……いや、ちょっと待って」


永井が手を止めた。


「なんでそんなこと知ってるの?」


「え?」


響は一瞬だけきょとんとする。


「普通に……そうした方が、きれいになるかなって」


「“かなって”のレベルじゃないよ、それ」


永井は思わず今伊を見る。今伊は、特に驚いた様子もなく、鍋をかき混ぜながら言った。


「焼き物は、温度と粘度だからね。理にかなってる」


「先輩も普通に受け入れてる!?」


永井の声が少し大きくなる。響は困ったように首を傾げた。


「……変?」


「変とかじゃなくてさ」


永井は額を押さえる。


「いつも失敗するんだよ、こういうの」


「火、強すぎたんじゃないの?」


「……なんで分かるの」


「表面だけ先に固まると、中が追いつかないから」


響は言いながら、フライパンを軽く傾けた。火加減を見て、ほんの少しだけ弱める。その動きに、迷いがない。卵が、じんわりと色づき始める。


「……ねぇ」


永井が低く呟く。


「響君って、料理どれくらいやってきた?」


「うーん……」


少し考えてから、響は答えた。


「特別、やってきたってほどじゃないよ」


「じゃあなんでそんな判断できるの?」


「……感覚、かな?」


その一言で済ませてしまう。永井は完全に言葉を失った。今伊が、包丁を置きながらぽつりと言う。


「ほんと、何でもできるな。響君は」


響は慌てて首を振る。


「そ、そんなことないです。ただ――」


少しだけ言葉を探して、


「ちゃんとした形で出したいだけで」


その瞬間、フライパンの中の伊達巻が、完璧な焼き色を見せた。均一で、なめらかで、まるで最初から成功する前提だったかのように。 永井はそれを見て、深く息を吐いた。


「……無自覚って、ここまで来ると怖いな」


「?」


響は相変わらず分かっていない。今伊だけが、小さく笑った。


年末の朝。おせちは静かに仕上がっていく。 そして、この家のキッチンでもまた――“普通じゃない才能”は、何気ない顔で発揮されていた。


キッチンの奥から、静かに足音が近づいた。


「……ん、なにこれ……」


振り返ると、桜咲(おうさき)が布団の端を引きずるようにして現れていた。まだ髪は寝癖で乱れ、目も半分しか開いていない。視線が、台所の調理台の伊達巻に吸い寄せられる。ふわりと甘い匂いが鼻をくすぐる。


「……ちょっとだけ……」


そう呟くと、そっと手を伸ばして端をつまむ。指先にかかる感触は、ふわりと柔らかい。 桜咲は目を閉じ、一口。 そして――


「うま!!!」


思わず声を出してしまった。瞬間、台所の空気が止まる。


「……え」


永井、今伊、響。三人が同時に振り向く。 響は、両手にヘラを持ったまま目を丸くした。桜咲はぽかんと口を開けながら言った。


「……あ、バレた?」


「いや、普通にバレてましたけどね……」


永井が肩を落とす。


「いや、でも……美味しいから……」


桜咲は目を輝かせたまま、無邪気に笑う。 一方、こたつの中。


天奏(てんそう)は、まだ半分眠ったまま。丸くなった体をくねらせ、布団に埋もれながらつぶやく。


「眠い……うるさい……」


動きは最小限なのに、リビングに伝わる小さな音は確実に響く。 茅野が横で新聞を広げながらつぶやく。


「まあ、朝ですからね……」


布団の中で、天奏はさらにもぞもぞ動く。まだ起き上がる気配はないが、こたつの中での存在感は抜群だった。


「温かい……ムニャムニャ〜……」



「よし、まずは服屋だな」


陽翔は意気揚々と声をあげる。


「……体力勝負だしね」


来島も同意し、店の中へ。 店内はまだ人が少なめだが、商品はすでに新年仕様に整えられている。陽翔は棚をぐるりと見渡し、目を輝かせた。


「これいいな!」


手に取ったのは、鮮やかな色のニット。


「サイズもバッチリだ!」


奏多は、横で冷静に選ぶ。


「色の組み合わせが重要だから、落ち着いて見ないと」


手元のカーディガンをたたみながら、陽翔のテンションに微笑む。


三人は自然と分担を決めて動く。陽翔は冒険心で珍しい色に挑戦、奏多は実用的なものを中心、来島は二人の意見を聞きつつ自分の感覚で選ぶ。


通路の間を縫いながら、陽翔は周囲の人混みを避ける。来島は、混雑に備えてリュックを体の前に抱え、衝突を防ぐ。奏多は冷静に歩きながら、二人をサポートするように目を配る。


「これ、試着してみる?」


陽翔が持ってきたニットを見せると、来島が笑った。


「もちろん。年末くらいは冒険していいだろ」



「まずは生活雑貨か」


狩川が声をかける。


「あんまし無駄な動きはしたくないけど」


久瀬は淡々と歩きながら、買うものリストを頭の中で確認する。 店内はまだ人が少なく、二人にとっては動きやすい。久瀬はキッチン用品コーナーへまっすぐ進む。


「これ、来年も使えるね」


狩川は周囲を観察しつつ、棚の上段に手を伸ばす。


「在庫、まだ十分あるかな?」


二人は無駄のない動きでカゴに品物を入れていく。レジ待ちの列に並ぶことも想定し、早めに移動する。久瀬は小声でつぶやく。


「こういう効率重視の買い物も悪くないな」


狩川がくすっと笑った。


「まあ、年末だからね。楽しむより仕入れを優先しようか」



若田と香久山は、静かに商品の並びを見比べながら、歩いていた。


「これ、色合いどうかな……」


若田が手に取ったジャケットを香久山に見せる。


「うん、悪くないね」


香久山が小さく頷いたその瞬間、前方から声が聞こえた。


「おや、若田君に香久山君じゃないですか」


振り向くと、そこには瞬崎(しゅんざき)と、瀬戸川(せとがわ)が立っていた。瞬崎は、年末の商業祭の混雑の中でも落ち着いた雰囲気で微笑む。瀬戸川は少し眉をひそめ、全体を見渡す目つきは鋭い。


「二人も買い物ですか?」


瞬崎の声には、驚きよりも軽い好奇心が混ざっていた。 香久山は少し頭を下げて答える。


「吹奏楽部のみんなで、買い物に来ています」


瀬戸川が静かに言う。


「問題は起こすなよ。校外だからこそ、だ」


若田は、少し頷きながらも口元に笑みを浮かべる。


「もちろんです。静かに買います」


瞬崎は軽く笑い、肩をすくめる。


「そうですか。なら安心ですね」


若田は小さく呟いた。


「てか、瞬崎先生と瀬戸川先生が二人で買い物かぁ……」


その声はかすかだったが、瀬戸川の視線がぴたりと若田に向く。


「なんだ、何か問題でもあるのか?」


低く響く声に、若田は思わずぎくりとする。


「イ、イエ、ナンデモアリマセン……」


咄嗟に答えると、改めて瀬戸川先生の耳の良さに驚かされた。香久山は横で微笑みながら、若田の肩に軽く触れる。


「……さすがですね


「では二人もお気をつけて。早いですが、良いお年を」


そう言うと、商業祭の人混みに溶けるように歩き去った。若田と香久山は、少し安堵しながらも、再び買い物に集中する。 顧問二人が去った後も、耳に残る鋭い視線の感覚が、少しだけ心臓を高鳴らせた。



キッチンに、ふっと一息つく空気が流れた。重箱の蓋が閉じられ、作業台にはもう使い終えた器具だけが残っている。 黒豆、伊達巻、紅白なます、煮しめ――ひと通り、すべて揃っていた。


「……」


永井は、完成したおせちをしばらく無言で見つめてから、ゆっくり息を吐いた。


「……できた?」


「うん、ちゃんと」


今伊が時計を見て、少しだけ目を見開く。


「思ったより、かなり早い」


「だよね……?」


永井は響を見る。 響はというと、すでに調理台の端で洗い物を始めていた。終わったものはすぐ片付ける、という動きが完全に身についている。


「……ねえ」


永井が声をかける。


「さっきからずっと思ってたんだけどさ」


響は手を止め、振り返った。


「なに?」


「なんで一切、迷わないの?」


少しだけ言葉を選びながら、永井は続ける。


「手順とか、味見とか、火の調整とか……全部、最短ルートで行ってる感じするんだけど」


響はきょとんとした顔で首を傾げる。


「え……?だって、こうすれば一番きれいに仕上がるし」


今伊が小さく肩をすくめる。


「……それがもう、普通じゃないんだけどね」


「?」


相変わらず、本人だけが分かっていない。永井は苦笑しながら、ふと気づいた。


「……あれ?」


視線の先。さっきまで何もなかったコンロに、鍋が置かれている。


「……え、あれ何?」


「雑煮」


即答だった。


「え?」


「もうすぐ昼だし」


永井と今伊が同時に時計を見る。


「さっきまで一緒におせち作ってたのに?」


そう言って、響は鍋の中を軽くかき混ぜる。 昆布と鰹の香りが、さっきまでの甘い匂いとは別の方向で広がった。


「いや、早!!!」


永井が思わず声を上げる。


「さっきまでおせち作ってたよね!?」


「並行してただけだよ」


「その“だけ”が異常なんだって……!」


今伊は鍋を覗き込み、ふっと息を吐いた。


「出汁、もう完成してるね」


「はい。あと少し煮たら、餅入れるだけです」


言葉の通り、段取りはすでに終盤だった。リビングの方から、もぞもぞと音がする。


「……なんか、いい匂い……」


こたつの中から、天奏の声。桜咲も鼻をひくひくさせる。


「……雑煮?」


三人の反応を背に、響は鍋に蓋をしながら、いつも通りの調子で言った


「ちょうどいい時間だと思いますよ」


永井は額を押さえた。


「……この家、時間感覚おかしくなる」


今伊は小さく笑う。


「いや、正確すぎるだけだよ」


キッチンには、完成したおせちと、もう次の食事の準備。 中心にいる本人だけが――その異常さに、まったく気づいていなかった。



広場の時計が、十一時半を指した。人の流れは相変わらず多いが、集合場所だけは不思議と視界が開けている。 買い物袋を手に、次々と顔が揃っていった。


「よし、だいたい来たな」


香久山が人数を確認する。


「……ん?」

一瞬、首を傾げた。


「久瀬と狩川がいない」


「あれ?」


陽翔が周囲を見回す。


「さっきまで一緒じゃなかった?」


「雑貨の方行くって言ってたよね」


奏多がスマホを取り出す。若田は、少し嫌な予感がしたように呟いた。


「……あの二人、時間守るタイプだよね?」


「うん」


「うん……だけど」


来島も同じ方向を見て、静かに言った。


「来てないってことは、何かに捕まったな」


五分。 十分。 人の入れ替わりは激しいのに、二人の姿だけが見えない。


「……長くない?」


奏多が言う。


「ちょっと電話してみるか」


香久山がスマホを操作する。コール音が、数回。


『はいはい』


出たのは、狩川の声だった。少し周囲が騒がしい。


「今どこ?」


香久山が単刀直入に聞く。


『あー……えっとね』


一瞬の間。


『今、久瀬が福引きにどっぷりだよ』


「……は?」


周囲が一斉に静まる。電話の向こうから、はっきり聞こえた。


『あぁ〜〜!!また外れた!!』


久瀬の声だった。


『もう一回!!』


「……久瀬?」


香久山が名前を呼ぶが、返事はない。


『ちょ、ちょっと待って久瀬!もう十分引いたでしょ!?』


狩川の必死な声。


『まだ確率収束してない』


『いやその理屈おかしいって!!』


電話口から、ガラガラと抽選機の音。


『……あ、白』


『はい、残念』


『……次!!』


「……」


電話を持ったまま、香久山は完全に無言になった。 陽翔がそっと覗き込む。


「……何それ福引き?」


その瞬間、


『もうやめなよ〜!!』


狩川の叫び声と同時に、 ――ブツッ。通話が切れた。


沈黙。


そして、誰からともなく。


「……先輩ら何してんだ」


来島が呟く。奏多はため息混じりに言った。


「時間ぴったり集合の信頼、完全に裏切られたね」


「……久瀬ってこういう事は大好きなんだよな」


香久山はスマホを下ろし、軽く息を吐いた。


「……回収に行くか」


「だな」



人だかりができている一角の前で、香久山は立ち止まった。


「……ここだな」


掲示板に貼られた案内と、目の前の状況を見比べる。


年末福引き大会――その文字通り、箱の前には列ができていた。


「おーい!久瀬!狩川!」


声を張り上げると、係員の横で箱を覗き込んでいた狩川が気づいて振り返る。


「あ、やっと来た……」


その隣。久瀬はというと、すでに次のくじを手にしていた。


「よし、今度こそ……!」


ガラガラ、と軽い音。箱から出てきた玉を見て、係員が慣れた口調で告げる。


「――残念、はずれです」


「あぁぁぁぁ……っ!」


頭を抱える久瀬の横で、狩川が深いため息をついた。


「だからもうやめようって言ったじゃん……」


「いや、まだ。次こそ当たる気がする」


そう言って、久瀬はすでに財布を握り直していた。


「もう十分だろ!」 香久山が久瀬の腕を掴む。


「ちょ、待って!まだ!次は当たるのに〜!!!!」


久瀬は抵抗するが、若田ともう一人に挟まれ、ずるずると引きずられていく。


「やだ!私には分かるんだ!今が運命の――」


「分かってないからこうなったんですよね?」


来島は呆れた声でそう言うと、香久山たちはそのまま人混みの中へと消えていった。その後ろで、狩川は何度も頭を下げていた。


「すみません……本当にすみません……ご迷惑おかけしました……」


係員は苦笑いを浮かべながら手を振る。


「いえいえ、年末ですからね」


そうして、ようやくその場は静けさを取り戻した。



――数分後。


「……まだやっているみたいですね」


偶然通りかかった瞬崎が、福引き会場を見て足を止める。


「時間潰しにはちょうどいいな」


瀬戸川が淡々と言う。瞬崎は試しに一枚、福引券を差し出した。


ガラガラ、と箱が回る。


「――あ」 係員の声色が変わった。


「お見事、一等です!!!」


その瞬間、鐘の音が高らかに鳴り響いた。


「……え?」


「あら、瞬崎先生。一等ですよ!凄いじゃないですか!」


福引き会場に、ざわめきと拍手が広がっていった。



湯気が立ちのぼる。器の中で、澄んだ出汁が静かに揺れていた。


「……いただきます」


最初に箸を伸ばしたのは永井だった。餅をそっと持ち上げ、一口。 ――次の瞬間。


「……うま」


思わず、声が漏れた。


「え、何これ……出汁、どうなってる?」


驚いたようにもう一口、今度は汁をすする。角がなく、でも薄すぎない。鰹と昆布の旨みが自然に溶け合っていて、朝の身体にすっと染み込んでくる。


「普通の雑煮、だよね……?」


今伊も箸を止めたまま首を傾げる。


「普通ですけど」


そう言いながら、響は自分の分を淡々と食べている。


「いや、“普通”の定義がもうおかしいんだって」


永井は半ば呆れたように言いながら、もう一度餅に手を伸ばす。


「下準備も特別なことしてないよな?」


「はい。水に浸して、昆布入れて、火にかけて……」


「それができてない人間が世の中にどれだけいると思ってる?」


今伊が苦笑しながら言う。


「ほんと、何でもできるよ。響君は」


「……そうですか?」


響は首をかしげる。その様子があまりにも自然すぎて、永井と今伊は顔を見合わせた。


「無自覚って、ここまで来ると才能だよな……」


箸の音が落ち着いた頃。桜咲が何気なくリモコンを手に取り、テレビの電源を入れた。画面が切り替わり、スタジオの明るい照明が映し出される。


『――今夜、大晦日に開催される年越し音楽イベント』


アナウンサーの声とともに、派手なテロップが流れた。


【年越し特別音楽祭、音之宮おとのみや】


今伊が画面を見て声を上げる。


「毎年やってるやつだよね」


桜咲が雑煮の器を置きながら言う。


「夜になると家族でなんとなく見るやつ」


「年越し感ありますよね」


永井がうなずく。その横で響はずっと画面を見ていた。


「何か今年はVIPルームっていうのがあるらしいよ」


桜咲が呟く。茅野は静かに反応する。


「VIP?」


「そう、なんかすごい特別な席が用意されててそこで生で見れるらしいよ。まさにVIPって感じのね」


「へぇ~。どんな人がVIPルーム入れるの?」


「超一流のアーティストとか、芸能人、あと抽選でVIP招待券みたいのが当たった人とからしい」


「ふーん。その抽選って何なの?」


「さぁ、福引とかそういうのじゃないの?」



商業祭の喧騒から少し離れた通り。人の流れもようやく落ち着き、買い物袋の音だけが、足取りに合わせて揺れていた。


「……久瀬」


低めの声で名前を呼んだのは香久山だった。呼ばれた久瀬は、一瞬だけ肩を強張らせる。


「……なに?」


「何じゃない」


香久山は歩みを止め、はっきりと言った。


「集合時間、完全に過ぎてたよね」


「……」


久瀬は視線を逸らしたまま、答えない。若田が一歩前に出る。


「しかも、理由が福引って……」


責めるというより、困惑の色が強い声だった。来島が口を入れる。


「久瀬先輩、いつもなら『非効率』とか言って、ああいうの一番やらない人じゃないですか」


「……理屈上は、続ける意味があった」


「出た」


来島が即座に突っ込む。


「その理屈がもうおかしいんですよ」


「確率は偏ることがある。試行回数を重ねれば——」


「重ねすぎだ。見てみろよ。バック一つにテッシュ何枚入ってると思ってるんだ?」


香久山が静かに遮った。その声に、久瀬はようやく足を止め、全員の方を見る。


「……悪かったとは、思ってる」


その言い方が、妙に素直で。若田は少し意外そうに目を瞬かせた。


「……でも」


久瀬は続ける。


「“もう少しで当たる”って感覚が、どうしても切れなかった」


沈黙。


狩川が頭を抱える。


「だからそれが怖いって言ってるんだよ……」


「久瀬ってさ」 若田がぽつりと言った。


「普段は一番冷静なのに、こういう時だけ……豹変するよね」


「……自覚はある」


久瀬は苦く笑った。


「運が絡むと、どうも判断基準がズレる」


「ズレるどころじゃない」


陽翔が後ろから言う。


「目、完全にハンターでしたけど」


「だって!!音之宮の限定VIPチケット欲しかった〜。戸手悠仁(とでひさひと)を生で見たかった〜」


「あぁ、あの有名アーティストの?」


「うん」


変なところで暴走するけど、指摘されれば、ちゃんと止まれる。狩川が深く息を吐いた。


「ほんと……今年一番疲れた」


「まだ大晦日の昼ですけどね」


来島が淡々と返す。その言葉に、陽翔が小さく笑った。それにつられて笑いが広がる。そして買い物袋の音が、また歩調に戻った。


「おや」


背後から、聞き慣れた声。振り返ると、そこに立っていたのは――


「瞬崎先生!?」


「奇遇ですね。買い物帰りですか?」


相変わらず涼しい顔の瞬崎と、その隣には瀬戸川……はいなかった。若田が首を傾げる。


「あれ、瀬戸川先生は?」


「瀬戸川先生はもう少し買い物をしていくとおっしゃっていたので。あ、あともう一つ」


そう言って、瞬崎はコートの内ポケットから一枚の封筒を取り出した。


「実はこれを、誰かに渡そうと思っていたんですよ」


香久山が覗き込む。


「……チケット?」


瞬崎が差し出したそれを見た瞬間、全員が固まった。


「え……」


「……は?」


「音之宮……?」


そこに書かれていた文字。


《音之宮 限定VIP招待チケット》


一拍遅れて――


「えええええええええええええええええ!!!!????」


久瀬が叫んだ。


「な、ななななんでそんなものを!!?」


瞬崎は、あっさりと言う。


「たまたま福引を引いたら、一等賞でして」


「たまたま!?」


「私は夜から用事がありますし、瀬戸川先生も不要とのことでした。ですから……」


瞬崎は、久瀬の方へ一歩近づく。


「皆さんで行かれてはどうです?特に――」


一瞬、久瀬を見る。


「熱心な方もいらっしゃるようですし」


久瀬の目が、信じられないほど大きく開いた。


「……いいんですか?」


「ええ。良ければ受け取ってください」

次の瞬間――


「ありがとうございます!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


街中に響き渡るほどの大声。香久山が慌てて口を塞ぐ。


「ちょ、うるさいって!!」


若田は苦笑し、狩川は頭を下げた。


「……本当に、ありがとうございます」


瞬崎は満足そうに微笑んだ。


「いいんですよ。では、良いお年を」


そう言って、静かにその場を去っていく。残された一同は、しばらく無言だった。 そして――


「……福引ってすげぇ」


来島が呟いた。



「ただいまー!」


玄関に響く声に、居間から顔を出したのは響だった。


「思ったより遅かったですね」


「いやー、色々あってね……」


若田が苦笑いしながら靴を脱ぐ。香久山はため息をつき、久瀬はというと――


「ねぇ!みんな聞いてよ!!!」


まだ興奮が冷めていない様子で、真っ先に声を張り上げた。


「まず、私が福引にハマってね」


「そこから説明しなくていいだろ」


香久山と若田が即座に突っ込む。


「で!強制連行されて!そのあと偶然瞬崎先生に会って!」


その名前に、家組の視線が一斉に向いた。


「瞬崎先生?」


「買い物中に?」


響も少し首を傾げる。


「でね…」


久瀬は一拍置き、胸を張って言った。


「音之宮のVIP招待チケット、もらった!!!!」


一瞬、部屋の空気が止まった。


「……は?」


「え?」


「ちょっと待って」


次の瞬間。


「「「えええええええええ!?!?」」」


一斉に声が上がる。


「なんで!?」


「VIP!?」

「瞬崎先生、何者!?」


「いや僕らもそう思った!」


若田がすぐさま説明に入る。


「福引引いたら一等当たったらしくて……しかも“いらないから”って渡してきた」


「意味わかんないけどな」


香久山の一言に、全員が深く頷いた。


「……それ、現実?」  


響がチケットを見て、素直な感想を漏らす。


「現実だよ!!!」


久瀬はガッツポーズを決めた。


「今年の締めくくり、最高すぎ!!!!」


居間には、ざわつきと笑い声が広がっていく。


――こうして、何気ない買い物のはずだった一日は、思いがけない“年末のご褒美”を連れて帰ってきたのだった。



昼の喧騒を飲み込んだ街は、次の目的地へと向かう人の流れで、再び色を変え始めていた。久瀬は、コートの内ポケットを何度も確認していた。そこにある感触。折れないよう、濡れないよう、何度も確かめた“それ”。


「……ある」


小さく呟く。


「当たり前でしょ。さっきから三回目だよ」


今伊が呆れたように言うが、久瀬の顔は真剣そのものだった。


「だって現実感がなくて……」


「さっき家で全員に見せびらかしてたくせに」


若田が苦笑する。だが、その表情もどこか浮き立っていた。


「でも」


陽翔が前を歩きながら振り返る。


「実際、生で見に行くってなると、やばいですよね」


「うん。やばい」


奏多が即答する。


「年末の音之宮、しかもVIPだし」


桜咲は、アリーナの案内が表示されたスマホ画面を見つめていた。


「きらめきアリーナ……思ったより大きいね」


「音響も一級品だよ」


今伊が落ち着いた声で補足する。


「生音、相当来る」


その言葉に、久瀬は思わず拳を握りしめた。


「……戸手悠仁……」


名前を口に出すだけで、胸の奥がざわつく。


「そろそろ着くな」


香久山が前を見る。


「年末の本命イベントだ」  


夕方に向かう空の下、六人は迷いなく歩き出した。目的地は一つ――きらめきアリーナ《音之宮》。  



一方、その頃。家の中は、昼の賑やかさが少しだけ落ち着いていた。リビングではテレビがつけっぱなしになっている。画面には、音之宮の事前特番。


『――今夜はいよいよ年越し音楽イベント、音之宮!』


永井はソファに腰を下ろし

天奏はこたつに完全に埋没

茅野は静かに画面を眺めている


「……もう行った頃ですかね」


永井がぽつりと言った。


「VIP?」


天奏がこたつの中から、もぞっと動きながら聞く。


「久瀬先輩が福引で……いや、正確には瞬崎先生が……あの先生、やっぱり只者じゃない」


茅野が静かに結論づける。


その会話を背に、キッチンでは響が一人、包丁を握っていた。まな板の上には、長ネギ。鍋には、すでに下準備を終えた出汁。一定のリズムで、包丁が入る。トントン、と心地よい音。


「……年越しそば、か」


誰に言うでもなく、響が小さく呟く。


テレビからは、リハーサル風景と歓声が流れてくる。


『今夜は特別演出も盛りだくさん――』


響は一瞬だけ画面に目をやり、それから再び手元に視線を落とした。 派手な場所に行く仲間たち。 静かな台所で、年の終わりを整える自分。 どちらも、年末。


「……ちょうどいい時間に、出せるかな」


火を弱め、鍋に蓋をする。外では、少しずつ夕方の気配が濃くなっていく。


大晦日という一日は、 それぞれの場所で それぞれの“年越し”が、静かに準備を始めていた。



――瞬。会場の照明が、すべて落ちた。ざわついていたきらめきアリーナが、嘘のように静まり返る。


「……来るぞ」


香久山が息を呑む。


次の瞬間。


ドン――ッ!!!!


腹の奥まで響く低音とともに、床が震えた。


「うわっ……!」


若田が思わず声を上げる。 天井から降り注ぐ無数の光。ステージ中央に、巨大な紋章――音之宮の文字。 歓声が、爆発した。


「始まったぁぁぁぁぁ!!!!!」


久瀬は、もはや叫んでいた。


「やっば……生、すごい……!」


奏多が呆然と呟く。 音が、違う。スピーカー越しではない、空気そのものが震える感覚。


「これが……音之宮……」


桜咲は、目を奪われたまま動けずにいた。


VIP席から見下ろす景色。光、音、人――すべてが圧倒的だった。


ステージに立つ影が、ゆっくりと浮かび上がる。


『皆さーん!!!!!』


司会の声が響いた瞬間、会場は再び揺れる。


『お待たせしました!年越し音楽イベント――「音之宮」、開幕です!!!!!』


割れんばかりの拍手と歓声。 久瀬は、両手を握りしめた。


「……夢じゃないよね」


「現実だよ」


今伊が、はっきりと言う。


「この場所に、僕たちはいる」



テレビの画面も、一斉に切り替わった。


『――きらめきアリーナより、生中継でお届けします!』


「きた!」


永井が身を乗り出す。


「すご……」


天奏はこたつから半身を起こし、画面に釘付けになる。


「会場、でか……」


茅野は音量を少し上げた。スピーカー越しでも、はっきりと伝わる歓声。 その熱の中、キッチンから響が顔を出す。


「始まった?」


「始まったどころじゃない」


永井が笑う。


「これ、年末から飛ばしすぎでしょ」


テレビの中で、照明が走り、最初のアーティスト名が表示される。



瞬崎は、自室のデスクに向かっていた。部屋の明かりは、デスクライト一つだけ。年末特有の静けさが、窓の外に広がっている。 ノートパソコンの画面には、まだ完成していない書類。マウスを動かし、キーボードを叩き、確認しては修正する。


「……ふぅ」


小さく息を吐いた、そのとき。  


――♪♪ 机の端に置かれたラジオから、音が流れてくる。


『こちら、きらめきアリーナよりお送りしています。音之宮、会場はこの盛り上がりです――!』


瞬崎は、手を止めた。 視線はパソコンの画面のまま。けれど、意識は完全にラジオの向こうへ向いている。


「……始まりましたか」


音だけでも分かる。 会場の空気の密度。 観客の期待と高揚。 歓声の「質」が、普段の音楽番組とは明らかに違った。


『登場するのは――』


曲名が告げられ、拍手が起こる。瞬崎は、椅子の背にもたれながら目を閉じた。ラジオ越しの音。 映像はない。 けれど、頭の中では自然とステージが立ち上がる。


「……いい音だ」


低音の立ち上がり。テンポの安定感。 観客の呼吸すら計算に入っているような構成。


――一流だ。 瞬崎は、ふっと笑った。


「これを生で聴ける人は、運がいい」


そして、思い出す。


福引の箱。

まさかの一等。

大騒ぎする久瀬の顔。


「……大晦日に、音楽の神様は意地悪ですね」


パソコンの画面に視線を戻す。まだ仕事は終わっていない。自分には、立場がある。 それでも。 ラジオから流れてくる音が、確かに心を揺らす。


『会場のボルテージは、すでに最高潮――!』


「若いってのは、いいですね」


誰に向けるでもなく、瞬崎は呟いた。


「こういう音に、全力で飲み込まれていられる」


指を動かしながらも、耳はラジオから離れない。


その音の向こうに今夜、何人の生徒がいるのかを思い浮かべながら。



音之宮のプログラムは、気づけば何時間も進んでいた。 派手な演出。 人気アーティスト。 会場は一度も熱を落とさないまま、年越しへ向かって加速していく。  


そして――。


『ここで、音之宮・特別企画の発表です』


会場の照明が、ゆっくりと落ちた。


『人と人を繋ぐ夜』


その言葉が告げられた瞬間、アリーナにいる者も、テレビの前の者も、自然と息を呑んだ。


『今年、この企画に選ばれたのは――』


数秒の、意図的な間。


『戸手悠仁』


どよめき。 拍手。 誰もが納得する名前。――だが。


『そして、もう一人』


画面が切り替わる。


『一般応募で見事当選!長野県東縁(とうえん)高校、柊木真尋(ひいらぎまひろ)


一瞬、時間が止まった。


「……え?」


全員は目を見開いたまま、言葉を失う。香久山は、ゆっくり瞬きをしてから、もう一度画面を見る。


「……柊木?」


今伊が小さく息を吸い、陽翔と奏多は、同時に顔を見合わせた。桜咲は、口元を押さえたまま。


「……応募、してたの?」


誰も答えられない。――誰も、知らなかったからだ。


東縁高校吹奏楽部。その関係者で、この事実を知っていた者は、一人もいなかった。


テレビの前。


「……柊木?」


永井が、思わず声を漏らす。


「……マジで?」


茅野は、ただ黙って、テレビを見つめていた。 そして、キッチン。 年越しそばの鍋を火にかけていた響の手が、止まる。


「……」


画面に映る、ステージ中央。スポットライトの中に立つ柊木はホルン、ではなくなぜかトランペットを抱えていた。


『一夜限りの、スペシャルコラボレーション。では参りましょう!』


ナレーションが、静かに告げる。照明が、淡い青に変わる。


『青空ブラスビート!!』

音之宮のステージが、静かに幕を下ろした。会場に残るのは、拍手の名残と、胸の奥に沈んでいく音の余韻。


「……すごかったな」


香久山がそう呟くと、


「ああ」


「言葉出ない」


短い返事が重なった。 きらめきアリーナを出ると、夜の空気はひんやりとしている。冬の星が、いつもより少しだけ近くに見えた。


家のテレビの前。


「もうすぐですね」


画面の端に映るカウントダウンを見ながら、永井が言う。キッチンからは、そばの残香が漂う。


いつも通り。

けれど、今日は特別。


時計の針が、ゆっくりと、確実に進んでいく。テレビの向こうで、会場の声が一斉にカウントを始めた。

「十……」


全員が息を吸う。


「九……八……」


会場でも、家でも、それぞれの場所で、同じ数字を数えている。


「七……六……五」


一瞬、世界が静かになる。


「四……三……二……一――!」


――零。


「あけましておめでとう!!!」


声が重なり、 笑いが弾け、 拍手が起こる。


年は変わった。 けれど、音は消えない。 今日鳴った音も 今日交わした言葉も すべてが、次の一年へと繋がっていく。 新しい年の、最初の瞬間。


それぞれの場所で それぞれの形で Happy New Year.


そして―― これからも、心はB♭で、響いていく。



※本文に出てきた曲「青空ブラスビート」はYouTube、World of Tukimotoチャンネルにてフルで投稿されています。ぜひお聞きください。


まだ連載して3ヶ月ほどですが2025年、「心はB♭で響いている」を読んでくださりありがとうございます。本編連載開始は前告知した通り年明け後の予定です。では良いお年を!そして来年も「心はB♭で響いている」をよろしくお願いします。

次回正月パート、お楽しみに!

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