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とある教師の日記 / 著者不明・編者レサトステ・イマベシュ  作者: 夕藤さわな


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4月

【4月10日】

 いっそ過去の進級テストを使いまわしてしまおうか。この時期になると毎年のようにそんな考えが頭をもたげる。実際、昨年の日記にも一昨年の日記にも一昨々年の日記にも同じようなことが書いてあった。そうしている同僚もいる。しかし、年に一度の進級テスト。一問でも確実に解けた、半年前よりも、一年前よりも理解が深まったと思ってもらいたい。担当学年の子供たち全員に成長を実感してもらいたい。そのためにはその年、その年ごとの生徒に合わせて問題を作りたい。もう少し。もう少し頑張ろう。


【4月17日】

 進級テストの準備がようやく一段落した。ここからテストまでは進級が危うい子たちの補習で忙しくなる。今夜くらいはゆっくりと寝ておかなくては。

 そういえば、しばらく勇者一行の目撃情報を聞かない。諦めて人族の領地に戻ったなら何より。おかげでパンの値段は190リスティまで下がった。しかし、今年の初めは160リスティだったじゃないかと妻は不満顔。出来るかぎり儲けを増やしたいのは商売をする者なら当たり前。一度あがった値段が元に戻ることはないのかもしれない。


【4月28日】

 補習! 補習! 補習!

 何がわからないのかわからない子に勉強を教えるのも大変だが逃げ回る子を追いかけ、捕まえ、教室まで連行するのも大変! もう好きにしろ! と叫びたくなるがそういうわけにもいかない。

 うちの子をお願いします、どうか進級させてくださいと泣きついてくる保護者たちに言いたい。そんなことを私たち教師に言っている暇があったら今も逃げ回っている我が子を捕まえて教室まで連れてきてくれ!

 私たちが求めているのはいたずらズウォッティ、あの子の母親。襟首を掴んで教室まで引きずってきて、補習のあいだ、ずーーーっと腕組み、仁王立ちで我が子を監視している彼女のような存在だ!

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