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第二話『期待とは裏腹に』

 カントリーと、カントリーの形を成したもの。その2つが死んだ。つまり、人間も殺したことになる__というのは少し語弊がある。

 たしかに、両方が死んだことは確かだ。しかし、元々カントリーは死んでいた。それはどういうことかと言うと、今目の前で死んでいるものは死者使いである。

 死者使いとは、死者の体を操る魔獣だ。死者は無論動けない。死んでいるからだ。つまり、目の前で朽ち果てているものはただの動く死体だったのだ。ノーティアたちは、そのように死体が操られている状態のことを“取り憑かれている”と称している。


__強いての懸念と言えば、ただの魔獣にしては自我があり余り、知能が高すぎることが気がかりではあるが死者を操るなど、死者使い以外が出来るはずない。



 魔獣を倒したノーティアとヴィルは、カントリーの家を探索した。人様の家に勝手に入り込み、物を漁るというのは少々気が引けるが致し方ない。カントリーが知識を豊富に持っていたことは確かなようで、目線の上まで高く積まれた本棚がたくさんある。それらを見てみることにした。

 ノーティアの病は、もはやオカルトと呼んでもいい。というのも、それだけ現実離れして、ファンタジー世界でも人間の体に起こる症状ではないのだ。

 だから、この世にあふれた知識の中で、ノーティアの病に関する情報はごく僅かだろう。もしかしたら無いかもしれない。

 オカルトだから、好む人はその情報を集めるが、それらの全てにおいて信憑性は薄く、事実無根であるものがほとんどだ。


「ヴィル、探索は進んでいまして?」


「いいえ。全くですよ」


「そう。わたくしもなかなか捗りませんわ」


 これだけの書物、もしかしたら手掛かりとなるものがあるかもと期待したが、それも期待外れだったようだ。

 これらの書物に書かれた内容は、大抵ノーティアが把握しているものばかりで、“博識の年長者の書物”と言うには惜しいものだった。



「仕方がありませんわ。ここはもうお暇しましょう」


「そうですね……期待していましたけど、残念ですね」


 ノーティアが釈然としない心持ちで飲み込んでいたことを、ヴィルは躊躇いもなく口に出した。そのおかげか心の鬱憤は次第に和らいで行った。


「ふふ、そうね。さて、ここを出ますわよ」


 「はい」とヴィルが返事をし、扉を開こうとした矢先__


「__?」


 ふと、違和感を感じたのだ。


 それはかすかなもので一瞬で、本来であれば気付かれるはずもないものだ。しかし、ノーティアがその一瞬を見逃すことはなかった。それは同様に、ヴィルも同じであった。


「__」


 ごくりと息を呑む。そして、互いが感じていた違和感を唇から紡ぐ。


「__ここの家、隠し部屋がありますね」


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