表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
MEMOVERUS ~幻異界転生~  作者: 中島 弓夜
第七章 八重野奈波 17歳
96/146

奈波と海斗

――次の日。


奈波は朝起きて着替えると、都内を探すため家から近い駅へ向かった。

出掛ける時、父親の八重野兼人(やえのかねひと)が「何処へ行くんだ? 学校はどうした?」と心配して尋ねたが、奈波は学校が休みだと嘘を()いて誤魔化(ごまか)した。

罪悪感はあったが、この状況だと背に腹は代えられない。


(それにしても今日は寒いな……冬だから仕方ないけど)

駅へ向かう途中、そんなことを考えていた奈波は、急に立ち止まって違和感のようなものを覚える。

「あれ……? 確か熱海駅へ飛ばされた時は夏だったような気がする」

熱海での出来事を思い出すと、千里と愛華がアイスを美味しそうに食べていたため、冬の季節には不向きな食べ物だと思われた。

(そうか……分かったぞ! 刺客はメモヴェルスの欠片を転送したと言っていたが、あれは過去を書き換えて、場所を移動したように見せ掛けたんだ。危うく(だま)されるところだった)

刺客の手口が分かれば、こちらも相応の対策を講じることができる。

奈波は駅までダッシュし、新宿駅までの切符を買って電車に乗り込んだ。


――そして新宿駅へ到着すると、奈波は改札を出て中央通路の途中で立ち止まり、目を閉じて瞑想状態に入った。

(ここは様々な路線のハブになっている駅だ。きっとメモヴェルスの光に触れている人が通るはず。集中しなきゃ……)

奈波はしばらく目を閉じたまま集中したが、予期せぬ声で邪魔されてしまう。


「おっ、ちょっとカワイイじゃん。ねぇ、一緒にメシでも行こうよ。(おご)るからさ~」


急に声を掛けられたため、奈波は驚いて目を開けると、金髪のチャラそうな男が立っていた。

「なんですか?」

「ナンパだよナンパ。おおっ! 目を開けたらメチャクチャカワイイじゃん。平日の朝に一人ってことは、なんかワケありな人?」

「朝っぱらからナンパですか……それに私、ワケありでもなんでもありません」

「でも一人だと寂しいっしょ。話を聞くから一緒にメシに行こうよ~」

「しつこいな、絶対に嫌です」

「いいからいいから! とりあえず、近くのカフェに連れてってやるよ」

そう言うと、金髪の男は強引に奈波の手を引いて連れて行こうとする。

「ち、ちょっと! 放してください!」

「ヤダね。あんたみたいなカワイイ子、簡単に(あきら)められるかっての」

「あの……どうかしました?」

その時、背後から声を掛けられたため、金髪の男は慌てて振り向く。


(えっ……)

見ると、二人に声を掛けたのは穂積海斗だったので、奈波は目を丸くして驚いた。


「なんだおまえ? 邪魔すんじゃねぇよ」

「邪魔なんですか? 彼女、嫌がってるように見えましたけど」

奈波は素早く金髪の男の手を振り払い、海斗の背後へ隠れた。

「もしかして彼氏? ここで待ち合わせしてたとか?」

「いや……彼氏ではないですけど、前にクラスメートだった時があるんで」

「俺さ、ナンパしてたのよ。彼氏じゃないなら黙っててくれないかな?」

「八重野さん、嫌がってたよね?」

……海斗に質問され、奈波はコクリと(うなず)く。

「じゃあナンパは失敗ですね、このままお引き取りください。あ、ちなみに俺、空手の大会に出てますよ。今は本格派のボクシングジムに通ってます」

「私は合気道初段」

「……いっ!」

金髪の男は二人の言葉を聞くと、(うつむ)きながら悲し気にその場を去った。

「ふ~、とんだ災難だったようだね、八重野さん」

「あの……どうしてここに? 学校へ行かなかったの?」

「えっ、今日は高校の創立記念日だから、休みになってたの知らないの?」


……奈波は海斗の話を聞いて絶句し、しばらく黙ってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ