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MEMOVERUS ~幻異界転生~  作者: 中島 弓夜
第六章 コールダスク 18歳
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Fire Element

体内からの脱出に成功したマラーニャだったが、すでに満身創痍(まんしんそうい)の状態で、身体の所々が胃液で溶かされて()がれ落ちてしまっている。

だが、本人は気にする様子もなく、長身のツヴァイヘンダーを肩に抱えて、七奈美と門脇の前で互いに(にら)み合った。


「コールダスクは何処よ?」

マラーニャは質問するが、二人は答えない。

「時間がないんだ、さっさと喋りなよ。アタイが直々に原初の力をあいつへ伝授(でんじゅ)してやんだからさぁ」

「……どういう意味?」

「いいから教えろって言ってんだ! アタイが死んじまうだろうが!」

七奈美と門脇は困った様子で顔を見合わせたが、渋々、コールダスクが倒れている場所を指差す。

マラーニャは気を失って倒れている彼に歩み寄ると、胸ぐらを(つか)んで無理矢理起こし、パンパン! と2回ほど頬を引っ叩いた。

「うっ……俺は一体……?」

「目を覚ませ! テメェに原初の力の一つ、『火』の技を教えてやる」

「なんだと……」

「アタイの命と交換で、原初の力を与えてやるって言ってんのさ。メモヴェルスの欠片(かけら)を出しな! ここで過去を上書きしてやるから」

コールダスクは意識が朦朧(もうろう)としながらも、懐からメモヴェルスのカードを取り出す。

マラーニャはメモヴェルスが放つ光で(まぶ)しそうに目を閉じたが、手探りでカードに触れると、過去を書き換えるタスクに集中した。


――そして5分後。

過去を書き換えることに成功したのか、マラーニャは床にドサリと倒れ、そのまま動かなくなってしまう。


「な……なんとかやってのけたぜ。これでテメェは『火』の力を自在に操れるはずだ」

「ああ、理解したよ。大気中の熱を一点に集める力だとな」

「そいつで高田をぶっ殺しな。アタイは原初の力を奪われたから、復讐(ふくしゅう)することができなくなっちまった……」

すると、マラーニャの体から湯気のような煙が発生し、腕や脚などが徐々(じょじょ)に溶けてゆく。

「最後に言っておくけど……アタイはあんたに()れてたんだよ。今度生まれ変わったら、アタイと付き合ってくれる?」

「悪いが絶対にお断りだ」

「いや~ん、コールちゃんのツンデレ! 照れちゃってカワイイんだからぁ」


……そして、マラーニャは全身が蒸発するように消滅し、床には血の水溜まりだけが残されていた。


「ようやく終わったか……」

「おいっ、コール! 頼むから手伝ってくれ、俺だけじゃ原生種を抑え切れねぇ!」

門脇の言葉で、コールダスクは糸が解かれた日本刀を拾い、原生種たちとの戦いに加わった。

管理室の入り口は原生種に埋め尽くされ、何度斬り殺しても、後から後から湧いて来る。

「屋上へ逃げよう門脇さん、管理室の奥にあった階段から行けます!」

「おう分かった、そうす……」


しかし、門脇の背中に原生種の触手が突き刺さり、彼は血を噴きながらその場に倒れてしまう。

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