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MEMOVERUS ~幻異界転生~  作者: 中島 弓夜
第一章 穂積海斗 22歳
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新たな刺客

――その頃。


ミゼラムはモルテーム教会にあるイラシャニアの像に向かって何かを祈っていた。

すると燭台(しょくだい)の青い炎が大きく燃え上がり、その(ほむら)の中に一人の男が映し出された。


「我を呼ぶのは貴様か、4年後の悪しき刺客よ」


その男の言葉に、ミゼラムは恭しく頭を垂れた。


「お初にお目に掛かります……我が名はミゼラム。穂積海斗を(ほうむ)る刺客として、モルテーム教団より送り込まれた者の一人でございます」

「ふん、知らん名だな。幻異界の核より20年以上も離れた刺客など、我らの同胞とも思いたくないわ」


ミゼラムの眉がピクリと動くと、少し怒気(どき)を含んだ口調で男に返答する。


「お言葉ですが、私がこの時代にいる必要性を我が同胞たちは理解しているはず。現に穂積海斗が力を付けぬ内に葬るのが、最も効率の良い解決策かと」

「だからどうした。その時代の人の子は覇気(はき)もなく欲深で(あやつ)りやすい。貴様のような腑抜(ふぬ)けの刺客に相応しい時代だ。皆口には出さぬだけで、貴様のことを見下しておるぞ」

「では、あなたなら穂積海斗を亡き者にできると?」

「当然だ。我は18歳の彼奴(きゃつ)をすでに何人か葬っている」


18歳の海斗を葬ったと聞き、ミゼラムは服の袖で顔を隠しながら密かに微笑んだ。


「恥を忍んで申し上げれば、私は穂積海斗に手を焼いておりますゆえ、何卒(なにとぞ)お力をお貸しください」

「ならば4年後の幻異界に(おもむけ)けと申すか?」

「……左様(さよう)でございます」


焔の中の男は腕を組んでしばらく考え込む。


「だが『善き者』の刺客が黙ってはおらんぞ。それは戒律違反(かいりついはん)になるからな」

「おやおや、この時代に飛ばされた『善き者』の刺客を恐れるのですか? 私と同様に力足らずの者ですよ」

「……なに? 我が恐れると? 聞き捨てならぬことを言うな!」


焔の中の男は苛立(いらだ)たし気にミゼラムを(にら)んだ。


「ならば出向いてやろう。憎き穂積海斗を一瞬で葬ってやるわ、待っておれ!」

「それは心強いことで……お待ちしておりますぞ」


ミゼラムとの会話が終わると、焔の中の男は姿を消した。


「ホホホ、あの程度の(やから)はプライドをちょっと刺激すればすぐに落ちますねぇ」


そう言うとミゼラムは呵々大笑(かかたいしょう)し、炎々と燃え上がる燭台の炎をしばらく見つめていた。

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